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Cシリーズ

カカオと桃 番外編

作者: 若松ユウ

キヨミ「幸子さん、お久しぶりです」

サチコ「あら、清美ちゃん。久しぶりね。愛実ちゃんの入学式で、六甲で会って以来かしら」

キヨミ「どうも、ご無沙汰申し上げて。愛実も一緒なんですけど、お店の前の花壇で雪子さんと」

サチコ「同じ学校の先輩後輩として、トークに花を咲かせてるのね」

キヨミ「そんなところです。コチラも、女子校談義をしますか?」

サチコ「そうね。お作法のリトルミィ先生のことは、ご存知?」

キヨミ「えぇ。定年で退職されたって、同窓会報にありましたよね。送別会には、参加されたんですか?」

サチコ「まさか。わざわざ叱られに行くような真似しないわ」

キヨミ「あたしも同感です。悪い先生じゃないんですけどねぇ。――あっ、あのステッカーは」

サチコ「気が付いた? 関西の街中をブラリ歩きする、あの朝のロケ番組で、ちょっと前に苦楽園が取材されてね」

キヨミ「隣の無形文化財さんに認定された訳ですか。忝いお言葉は?」

サチコ「インタビューは、お姉ちゃんに任せたの。どうも、カメラを向けられるとドギマギしてしまって」

キヨミ「鶴子さんなら安心ですね。あ、そうだ。今日は、これをお渡ししようと思って伺ったんです」

サチコ「何かしら? ――まぁ、歌劇のチケット」

キヨミ「次の土曜日なんですけど、空いてますか?」

サチコ「特に、外せない予定は無いわ。大丈夫よ」

キヨミ「良かった。それでは、開場一時間前までに、一度、あたしのマンションまで来ていただけますか? 一緒に行きましょう」

サチコ「分かったわ。ここ、ホールの居心地がいいのは勿論だけど、一方通行で回遊式のお手洗いがあって、休憩時間に行列しなくて済むところも、ポイントが高いわよね」

キヨミ「そうですね。いくら素敵なショーを観ても、お手洗いが不潔だと興醒めして幻滅しますものね」

サチコ「仮に、その演目が『ベルサイユのばら』であってもね。非日常の世界に浸ってたのに、急に現実に引き戻されちゃ、かなわないわ」

キヨミ「フフッ。ガル・デ・ルー、ですね。あぁ、そうそう。当日は女子が、もう一人居るんですけど、よろしいでしょうか?」

サチコ「構わないわよ。どなた?」

キヨミ「博巳の高校時代の同級生なんですけどね。声を掛けたのは博巳で」

サチコ「たしか、博巳くんはシンガポールへ留学したのよね。お元気?」

キヨミ「父と息子、二人水入らずで楽しく過ごしてるようです」

サチコ「そう。ん? 待って。博巳くんの出身校って、男子校よね?」

キヨミ「ご記憶でしたか。そのあたりのカラクリは、当日の鑑賞前に、本人を交えてお話します」


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