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9.あなたは「人造美女」ですか?

 突然ですが、皆様二重まぶたですか。それとも一重まぶたでしょうか。

 私は今でこそ二重まぶたですが、高校生まではぽってり一重まぶたでした。ものもらいなどの眼病にかかっても、もとのまぶたが腫れぼったいせいで、目の異常を訴えても、両親も首を傾げるほどでした。

 ちなみに両親ともに二重まぶただったのです。そもそもそ二重まぶたの方が優勢遺伝なんですけどね。どういうことなんでしょうか。メンデルの法則はどこへ行ってしまったの?!


 修学旅行の際に、朝起きたら同室の友人たちに「目が腫れてる! 虫に刺された?! 大変、誰か先生呼んできて!」と心配されたのも、今ではいい思い出です。ちくしょう、泣いてなんかいませんよ。

 大人になった今では、ぱっちり二重まぶたになったのですが、学生時代の一部の友人からは疑惑の目元と評判のようです。数年ぶりに結婚式で会った友人からは、二重まぶたになった経緯についてしつこく聞かれました(笑)


 一重まぶたをディスっているのではありません。アジアンビューティーな方々の一重まぶたのアーモンドアイなんて、最高に素敵です。けれど最初からまぶたを蚊に刺されたような、パンパンな状態はあんまりではありませんか。


 ちなみに中国語で二重は『(shuang)眼皮(yanpi)』、一重は『(dan)眼皮(yanpi)』です。皮……、確かに皮膚ですけども。


 さてある日のレッスン中。部屋に飾られた写真を見て、先生がお口をあんぐりあけてびっくりしています。


「石河さん、あなた『人造(renzao)美女(meinu)』だったんですか!」


 先生、むしろ私が聞きたいです! 先生がそんなに驚く『人造(renzao)美女(meinu)』ってなんですか?!

 ドラゴンボー◯世代の私にとって、『人造』といえば、クリリ◯と結婚した人造人間1◯号です。人造人間なのに結婚したことに当時は衝撃を覚えました。(いや、ブル◯がヤムチ◯を捨てて、ベジー◯と子どもを作ったことの方が衝撃だったけど)。人造人間夫妻には娘のマロ◯ちゃんも生まれてましたよね。


「『人造(renzao)美女(meinu)』っていうのは、中国語で整形をした女性のことです。すごく綺麗に整形してもらったんですね」


 まじまじと私を見てくる先生。近いよ、先生近すぎます! それにちょっと、違いますよ!

 学生時代の同級生からもネタにされる疑惑の二重まぶたですが、これはひとえに私の努力の賜物でございます。アイプチがうまくいかずにへんてこりんな二重まぶたで学校にも通いました。暇さえあれば、自己流のフェイスマッサージもやりました。

 何より大きかったのは、体重を5キロほど減らしたことでしょうか。どうやら顔にお肉がつくタイプらしいのです。さらにつけまつげをしたことで、目元のお肉が二重まぶたの型を覚えたらしく、その後は何もしなくても二重まぶたをキープしております。

 というわけで、私の二重まぶたはいたって美容整形という意味での『人造(renzao)』ではないのです。ある意味では『人造』なのですが。


 そう答えるとなんだか、テンションが下がった先生。もしかして。もしかして? もしかして?!

 ちょっぴり疑惑の目で先生をみてしまっても、仕方ありませんよね。


「私は『人造(renzao)美女(meinu)』ではありませんよ。確かに高校や大学のクラスメイトには必ず2、3人は『人造(renzao)美女(meinu)』がいますけど。中国では韓国系の美容整形か流行ってますからね。でも私から見れば整形した女性の顔は不自然です。見ればすぐにわかりますよ。術後すぐの腫れなんてひどいですし、落ち着くのは1ヶ月後くらいです。石河さんの二重はとても自然だったからまさかと思ってびっくりしたんです」


 クラスメイトに必ず『人造(renzao)美女(meinu)』がいるの?! いくら二重まぶたなどの美容整形が普及してきたとはいえ、高校は早い気がします。何よりまわりにバレているのがすごい。こっそりやるわけではないのでしょうか。そして先生、美容整形に詳しすぎませんか? 怪しい……。


「お友達にやっている子が多いですから、これくらい常識です。二重まぶたにするだけじゃなくて、鼻を高くしたりあごを削る人も多いですよ。でもね安心してください、ほら、私は一重まぶたでしょう?」


 そう言われてみれば確かに、先生は切れ長の一重まぶた。涼しげな瞳で、まさに東洋美人なアーモンドアイ。さらに涙袋もぷっくりしていて、すごく素敵なんです。けれど、さっきの先生のテンションの上がり具合と博識具合を思い出すと、ちょっとだけ胸のドキドキが隠せない石河なのでありました。


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