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6.中国語の「女装」は普通の言葉です。

 中国語と日本語は同じ漢字を使うのに、意味がまるっきり違うことがよくあります。例えば、『手紙』という言葉。これは日本語でしたら、みなさんご存知の『letter』ですね。くろやぎさんとしろやぎさんが、えんえん食べ続けてしまうアレでございます。


 ところがこれ、中国語では『手紙(shouzhi)』は『トイレットペーパー』という意味です。どうして『トイレットペーパー』が『おたより』の意味になってしまったのでしょう。伝来の過程で、何かが変わってしまったのでしょうか。


 それから、『先生』という言葉。日本語では、教育現場で指導される方を指す単語です。まあ政治家のお偉いさんなどにも使いますが、そのあたりは置いときましょう。


 一方中国語では、『先生(xiansheng)』とは『Mr.』という意味に変わります。私が男なら、『石河先生』となるわけです。なんだか偉そうですが、ちっとも偉くありません。


 では、いわゆる『学校の先生』のことはなんというかと言いますと、『老师(laoshi)』というのです。決してハードな修行を弟子にかしたり、超人的な必殺技を繰り出すお師匠様のことを指すわけではありません。もちろん、私の『腐女(funu)』な家庭教師の先生だって、呼びかける際は『老师(laoshi)』なわけです。


 そして、これから紹介いたします単語ほど意味の乖離が激しいものはないと思います。まあ石河のエッセイですからね。しょうもない単語ですよ。


 それは、『女装』という言葉です。反対語は『男装』ですよ。

 まあ日本語では、『女装』といえば男性が女性の格好をすることを指しますし、『男装』といえば女性が男性の格好をすることを指すわけです。


 けれど、中国語で『女装(nuzhuang)』や『男装(nanzhuang)』は何らおかしくない、普通の言葉なのです。


 中国で本屋に行けば、とってもオシャレな雑誌の表紙に『女装(nuzhuang)』とでかでかと掲げられています。ちなみに日本のファッション雑誌も、中国語版が販売されています。

 

 デパートに行けばワンフロア一面『女装(nuzhuang)』。もちろんフロア名も『女装(nuzhuang)』です。日本人的には、ツッコミを入れたくて仕方ないのですが、言えませんよね。だってみんな当たり前の単語として、受け入れてるんですもの。


 さらに言えば、最初は違和感しかなかったの私もだんだんと馴染んでしまい、この違和感も忘却の彼方。先日、エッセイで『(おとこ)()』について書いたことがきっかけで、当時の違和感を思い出しました。


 中国語の先生にも、このニュアンスをうまく伝えられませんでした。伝わらないのは、私の語学力の問題か、はたまた文化的背景によるものかはわかりません。


 さて、『女装(nuzhuang)』の意味は、もうお分かりですよね。

 『女装(nuzhuang)』とは、スカートやブラウスといったいわゆる女性用品のことなのです。ですからデパートには、『女性用品フロア』という意味で『女装(nuzhuang)』や、『紳士用品フロア』という意味で『男装(nanzhuang)』とあるのです。


 そういえば、日本のデパートではどう表記してあるのでしょうね。今度デパートの中国語パンフレットをもらって、日本語パンフレットと見比べてみようと思います。


 「女が装う」ことと、「女を装う」こと。ちょっとした違いで、びっくりする違いを生んだというお話でした。


 

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