56.夏の匂いと言ったなら(2)虫除けスプレーと蚊取り線香編
こちらは、銘尾 友朗様主催の夏の匂い企画参加作品です。
さて、今回は蚊取り線香のお話です。
皆さんは蚊に好かれるタイプでしょうか。とある研究によれば、O型B型AB型A型の順で蚊に刺されやすいのだとか。(蚊の胃に残っている血液を採取して、その量で研究をしたようです)ちなみに私はO型でして、昔から蚊の餌食になっております。今は虫除けスプレーも一般的になりましたが、私の子ども時代は登山などに行くとき以外は使うものではなかったので、そりゃあもう刺されまくったものでした。しかも腫れるので皮膚科が友達という有様。
中学時代からは自分のお小遣いで買って毎日虫除けしていたのですが、当時は無香料とかフローラルタイプなものがなくって、えらい香害扱いされましたっけねえ(遠い目)今は虫除けグッズにもバリエーションがあり、とても素晴らしいことだと思います。パッケージが可愛いので、某メーカーの桃色のキティちゃんの虫除けが好きです。
ちなみにこの虫除け、ちゃーんと中国でも手に入ります。輸入品ということでややぼったくり価格ですが、日本のものが簡単に手に入るのはやっぱり中国ならではだなあと思うのです。(アメリカ……うん、何も言いますまい)まあ私は、価格が半分以下のドローカル商品を吟味して使ってましたけれどね! またこのスプレーが、たいてい、なんともいえないにおいがするんですよねえ。なんだろう、昔のお父さんたちが使っていたようなヘアトニック臭(笑)しかもそういうものに限って、パッケージがミッキーなんですよ。絶対に無許可でしょ、あれ。香港や台湾メーカーのものは香りがオシャレな柑橘系のものが多かったです。さすが!
さて何でも強い国の中国ですが、やっぱり蚊も強いです。まず大きい。これは刺すタイプじゃないだろうと思うサイズの蚊が、がっつりこちらを襲ってきます。私なんか、ディート入りの虫除けスプレーをしていても蚊に刺されていました。それがまた痒いんですよねえ。
ちなみに中国でいうところの「普通の蚊」というのは、薄茶色のかなり大きな蚊です。アカイエカなのですが、日本のものよりサイズが大きくなります。見た目がユスリカに似ているので、油断しているとがっつりと刺されます。私はこれに刺されれてもかなり痒いので窓を開けるのは嫌だったのですが、中国人は気にならないらしく、窓もドアもフルオープンでした。ちなみに網戸はありません。赤ちゃんがいると蚊帳をつけるよう。強すぎます。
そんな中国人が非常に警戒しているのは、「毒蚊子(du wenzi/ドゥ ウェンズ)」と呼ばれる蚊です。字面がすでに強い。どれくらい警戒されているかというと、毒蚊子対策に殺虫剤を大量に撒いているんです。国が率先しているシンガポール並みとまではいきませんが、相当に足並みを揃えて撒かれています。
実は私、とある都市で蚊に刺されて病院に駆け込んだことがあります。足がぱんぱんに腫れて、痛みで動かせなくなったんですね。もともとアレルギー体質なので、ステロイド剤を出してもらえばいいやと軽く考えていたら、病院で「毒蚊子ではないか」と言われて宿泊していたホテルで大騒ぎになりました。夜間に病院に行ったのを見られていて、実はこういう理由がありまして……と宿泊していたホテルのマネージャーさんに伝えたら、ホテルで一斉消毒が始まってしまったんです。
謎の毒蚊子、おそるべし。こちらの正式な学名はヒトスジシマカと言います。そう、日本にもよくいるヤブ蚊ですね。あの白と黒のストライプが憎いあんちくしょうのことです。ところが日本のヤブ蚊と違って、中国では病原菌を撒き散らす疫病神として忌み嫌われています。(もちろん日本でも時々話題になりますが、嫌われ具合と恐れられ具合が比較にならない)何しろ刺されると、腫れる、発疹が出る、発熱する、下痢、腹痛、嘔吐、肝臓障害が出る……というのですから、すごいのです。
じゃあ窓を開けっ放しにする方が愛用するのは何か。そこで登場するのが蚊取り線香です。蚊取り線香って、日本だけで使うものではないんですよ。中国以外でも各国で使われています。もちろん、一般的には電気式の蚊取りノーマットタイプが売れ筋なのですが、圧倒的にお安いのは蚊取り線香。そしてコンセントがない場所でも使えるのが便利です。火事にだけは気をつけないといけませんがね。
ちなみにこの蚊取り線香、中国では蚊香と言います。まさにそのままのネーミングですね。大体どのお店でも小さなお子さんがいる場所でも使えるタイプと、そうでないものが売ってあります。どういうこっちゃと思われますが、含有成分が異なるようです。子どもがいる場所での使用を推奨していないものについては、「微毒(wei du/ウェイドゥ)」って書かれています……。ねえ、「毒」ってどれくらい毒なのでしょう。人間にも毒性があるの? それとも、有効成分が強いよってことなのでしょうか。漢字で書かれるとインパクトが強すぎるのです。
香りはそうですね、ほとんど日本の蚊取り線香と変わりませんね。ただ日本の蚊取り線香の方が、もっと優しい気がします。(今現在、両方を嗅ぎ比べることはできないので記憶の中での比較なのですが)日本のものより、中国のもののほうがちょっと強め? 煙を吸い込んだ時のむせ具合が酷かったような……? これが「微毒」の効果なのでしょうか。
なお中国では、蚊遣り器(蚊取り線香を口に入れた豚型の焼き物など)は一般的ではないようです。普通にはなかなか売っていなくて見つけるのに苦労しました。蚊取り線香は、T字型の小さな金具に取り付けて、直置きで使用が一般的なようです。灰が……とか、安全性が……とかはあまり気にならないようですね。
ただ、私はひとつ言いたいのです。殺虫剤を撒いたり、蚊取り線香を使うより、網戸を設置する方が先だよねえと(遠い目)あと、腹を出して歩くのはやめた方が良いと思います。いや、おっさんに群がる蚊はいないから良いのでしょうか……。
そんな虫除けスプレーと蚊取り線香のお話でした。