53.レビュー内容も交渉次第
こんにちは。突然ですが、皆さんは小説家になろうで開催されていた、「ネットレビュー大賞」をご存知でしょうか。いわゆるレビューコンテストなのですが、なんとこの『石河翠の試験に出ない中国語』を取り上げてくださったきら幸運様のレビューが、部門賞レビュー(その他部門)に選ばれました。きら幸運様、おめでとうございます。この機会に、拙作もいろんな方の手に取っていただければ嬉しいなあと思っております。(きら幸運様のレビューはこちらのレビューページでもご覧いただけますし、ネットレビュー大賞で検索していただければ該当のページに行き着きます)
というわけで、今回のお話は「レビュー」についてです。無理矢理ですみません。中国でレビューとか必要とされているのか。はい、そりゃあもうびっくりするくらい重要視されております。具体的に言えば、レビューと言いますか、一緒に表示される信用度が重要視されているのですが。
例えば、大众点评(大衆点評/dazhong dianping)。これは日本で言うところの食べログみたいなものですね。食べ物だけではなく、様々なレジャー施設やホテルの口コミも書けますので、ここを開けばたいていの情報が出てきます。(クーポンや割引プランなどもたくさんあるので、とても便利です。中国に行くなら、絶対に要チェックのサイトです。アプリもあります)ここには、点数、個人の感想、写真などを載せることができるのですが、お客さん以上に店主さんがこの評価を上げることに躍起になっていたりします。
例えば、レストランでの注文の際に「今日の食事内容で五星(wu xing、文字通り五つ星評価のこと)つけて口コミを書いてくれたら、お肉料理とデザートをサービスで人数分出すわよ」とか、「今、五星にした口コミを投稿して、それを僕に見せてくれたらちょっと割引するよ」とか言われたりします。特に新装開店したばかりのお店だと、そういう勧誘が多いです。いいのか、これ。
もちろん、あまりにも酷い内容の時はお客さんはそれをはっきり口コミとして投稿することができます。実際に私の友人(中国人)は、旅行先でとんでもないレストランに当たった時には、正直に書き込みをしたそうです。すると投稿した翌日、レストランから直接電話がかかってきたのだとか。「もう一度来てくれたら、お詫びに無料でご馳走します。だからこの評価は取り消して欲しい」って。
以前はお店にクレームを直接言っても、相手にされないことが多かった中国。そのため予約を入れたのに入っていない、ぼったくりにあうというのはそれほど珍しいことではありませんでした。何日か前に予約して、前日予約の確認に行って(電話ではダメ)、それでも当日予約が入っていないとか、普通にあったんですよ。それが最近では、この口コミでの評価が下がることを恐れて、ちゃんと何かあればお店の人が謝罪するだなんて。
若干なんだかなあという感じもしてきますが、ここではレビューというものが改善のために程度働いているように思います。なおレビューではありませんが、似たような評価制度は、以前もご紹介したタクシーの呼び出しアプリ(滴滴/Didi)など多岐にわたって存在しています。
かつてはぼったくりタクシーも横行していて、大使館が注意喚起をしていたくらいなのですが、このアプリが浸透してからだいぶそういうのも減りましたねえ。もちろん、タクシーの呼び出しアプリも、運転手さんに「五つ星にしといてくれよ」なんてお願いされます。言われる前からせっせと操作して五つ星にしといてあげると、にっこり笑顔になります。五つ星の多さでタクシーの運転手さんの評価とランクが上がりますので、そりゃあ向こうも必死ですよね。(評価する部分は、運転手さんの態度や、運転の丁寧さ、車内の清潔感などです)
ちなみに、個人の信用評価スコア「芝麻信用」もあったりするのです。でもこれはレビューとは異なりますし、評価の具体的基準が明確というわけではないのでちょっと別枠ですね。でもこれの勢いもすごいですよ。例えば、結婚紹介所。ここでは信用評価が低いと、相手にされません。そして就職活動でも企業側が学生をチェックするために使うのだとか。何それ、すごい。(気になる方はちょっとググって見てください。面白いですよ)「真面目な人が損をする」「信用できるのは血族だけ」という国が、少しずつ変わっていくのかもしれません。
評価制度については賛否両論ありますが(特に最後の「芝麻信用」はうまく運営されない場合、恐ろしいことになる)、外国人が気持ちよく、かつ安全に暮らすためには、結構良い仕組みのではないのかなあと思っている石河なのでした。