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5.肉食女子と「小鮮肉」

 子どもたちのお肌って、なんであんなにぷりぷりしているんでしょう。ふわふわ、もちもち。お人形さんみたいにすべすべのお肌。かつて自分自身にもこんな時代があったなんて、信じられません。そう言えば、先日は親戚のお子さんに、「ちゃんと顔あらった?」って聞かれましたっけ。うん、ごめんね、これ汚れじゃなくって、シミとそばかすなんだ(号泣)


 そんな素晴らしき子どもたちのお肌について熱く語っておりましたら、先生が深く頷きながらこんな言葉を教えてくれました。


「中国には、『迷你(mini)(xiao)鮮肉(xianrou)』という言葉があってですね」


 ミニな新鮮なお肉……。ダメだ、スーパーのお肉コーナーに並ぶパック肉の薄切りしか思い浮かびません。『(xiao)鮮肉(xianrou)』ってなあに?

 はてなマークが飛び交う私を尻目に、先生は最近流行りの言葉だと教えてくれました。最近といってももう2年前くらいから使われているので、若者の中ではすっかり定着したとか。


 『(xiao)鮮肉(xianrou)』とは、直訳すれば『お肉ちゃん』です。もちろん使う相手は、若くて可愛い年下の男の子でございます。例外的に小さい女の子にも使うこともあるようなのですが、基本は若いイケメンくんへの言葉です。


 ちなみにどうでもいい話ですが、お肉屋さんのことは、『鮮肉(xianrou)(dian)』と言います。普通じゃないというか、日本にないお肉屋さんというのは、『熟肉(shurou)(dian)』です。こちらはすでに火を通してあるお肉が、部位ごとにバラされて売られています。見た目は正直、衝撃的!(だって、燻された豚の腕とか並んでるし……)


 さて先生曰く、『(xiao)鮮肉(xianrou)』と言うには3つの条件があるのだとか。

 1つ目は『(xiao)』、若い男の子であること。定義は色々あるそうですが、先生いわく12歳から18歳くらいだとか。もともとは若いイケメンアイドルを指していたみたいですが、今では身近な可愛い年下の男の子にも使えるそうです。


 2つ目は『(xian)』、恋愛経験やその手の噂がないこと。つまり、純情であることが必要らしいです。これももともとがアイドルに対して使っていたことを考えると納得です。だって恋愛ゴシップまみれだと、正直夢がないですもんね。


 3つ目は『(rou)』、色白でピチピチとした健康的なお肌であること。先生曰く、今ではイケメンであることよりも、綺麗で清潔なお肌が重要なのだとか。イケメンでも脂ぎってるとアウトで、フツメンでも健康的でサラサラお肌ならアリなんだそうです。


 ほほう、なるほど。若くてピチピチのイケメンくんのことを、『(xiao)鮮肉(xianrou)』と呼ぶなんてなかなかです。だから子どものお肌の話から、ここに飛んだのかあ。


 先生、男の子のことをお肉ちゃんと呼ぶなんて、中国人女性は肉食女子なんですね。すごく積極的でびっくりしましたと先生にお話ししたところ、先生は笑ってこう言いました。


「石河さん、『(xiao)鮮肉(xianrou)』はあくまで観賞用ですよ。どんなに可愛がっていても、それはお姉ちゃんが弟のことを可愛がるのと同じようなものです。年上女性×年下男子の恋愛のことを『姐弟愛』と言いますが、滅多にありません。滅多にないからこういう風に特別なネーミングが付くんです。普通の女性は、人生経験豊富な年上男性を好みますからね」


 な、なんですと。まさかの鑑賞用発言にドッキリです。可愛がるのは年下の男の子、恋愛するなら年上の男の人。しっかり使いわけるなんて、とってもしたたかです。『(xiao)鮮肉(xianrou)』と呼ぶ男の子に恋愛感情はないということは、その陰には年上女性にときめいていても、軽くあしらわれる可愛い男の子もいるかもしれませんね。いや、こういう発想もすでに妄想の域なのでしょうか。


 それにしても、これは中国ではオネショタは流行らないということなのでしょうかね。あ、ちなみにショタは中国語で『正太』だそうです。ショタコンの語源=正太郎コンプレックスに忠実な訳語ですね。

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