40.愛しきもふもふ
40話は、秋月忍様主催のモフモフコンテスト参加作品です。
ああ、愛しのもふもふ。どんなに心が荒んでいても、もふもふがあれば穏やかな気持ちになれる、そんな方も多いのではないでしょうか。
残念ながら私の周囲にはもふもふ率が大変低いのです。現在住んでいる場所は暑いせいかサマーカットが主流の地域。馴染みのわんちゃんを見かけた時に、「わあ〜、こんにちは、もふも……ふちゃん?」となって困惑することもしばしば。長毛種のわんちゃんたちが、全体的に毛をカットされて、見知らぬ犬種になっています。サマーカット、皮膚病対策には良いのでしょうが、もふっではなく、何とも言えない手触りです。ああ、切ない。まあ、夏場にもこもこは暑いから仕方ありませんね。
そして久しぶりに思い出したのです。中国で主流のサマーカットを。みなさん、かの有名な『動物のお医者さん』という漫画をご存知でしょうか。あの作品内で紹介されたサマーカット……と申しますか夏場のわんちゃん丸刈りスタイル。あれが中国で主流のサマーカットです。結構各地で見ることができます。しかも中国の場合、ほとんど毛が残っていません。どのわんちゃんも、人工的に作られたスフィンクス(生まれつき毛のない種類の猫ちゃん)状態になっています。
犬種によっては首から上はそのままふさふさの場合もありますが(歩く雑コラ状態)、全体的に丸刈りにされ桃色の素肌を晒して歩くプードルにはよく出会ったものです。ハスキーやサモエドが丸刈りになると、ものすごくサイズ感が変わって脳が混乱します。不思議な生き物(正直犬かどうか悩む)を見ている気分です。あそこまで丸刈りにしちゃうと、逆に日差しが暑いのではないかしら。そう言えば、靴下を履いて真昼に散歩するわんちゃんも多かったなあ。日本なら日差しを避けて、早朝か夕方に散歩するものですけどね。
ちなみにこちらのわんちゃん達は基本的にノーリード。それでも大人しく飼い主さんの後をついて歩くのですから、本当にすごいです。躾のやり方が、めちゃくちゃ厳しいのだろうなあ。(無駄吠えもほとんどありません。噂によると厳しい躾の他に、声帯への手術もあるのだとか。そこらへんも中国っぽいです)
さらに中国では、猫ちゃんもサマーカットになります。猫ちゃんってもともとクーラーの効いたお家にいる場合が多いので、サマーカットって必要ないのではないかしら。そう思っていたら、毛を刈られたお友達の猫ちゃんが大理石の床の上でぶるぶる震えていました。そうだよね、もともと猫ちゃんは夏場は自分で気持ち良い場所を見つけて猫のひらきになって、涼んでいるもんね。その格好でひらきになったら、凍えるよね。(中国のマンションの床は、板張りではなく大理石のことがよくあります。夏場はひんやりしていて気持ちいいですが、冬はヤバイです。そして物を落とすと、落とした物が壊れやすい上、簡単に床にひびがはいります。個人的には、住みにくい印象です)
まあそんな感じで、サマーカットも思いっきり刈り上げる中国。もふもふ率が極端に下がる夏のお話でした。
参考文献
『動物のお医者さん』
作者:佐々木倫子
出版社:白泉社