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永遠の初心者と学ぶ、試験に出ない中国語  作者: 石河 翠@11/12「縁談広告。お飾りの妻を募集いたします」


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36.インフルエンザの脅威

 インフルエンザが流行っておりますね。


 少々の咳や鼻水くらいなら病院に行かずに様子をみた方が良いのではと悩むくらい、近所の病院がインフルエンザの患者さんで溢れかえっています。もうすでにさっき行ってきた後なんですけどね。ちなみに私のお隣の方は、おたふく風邪の罹患だったそうです。私、おたふく風邪にかかったことないんだけど大丈夫かなあ……。(田舎なので、感染性の強い病気でも待合室や出入り口が一緒なのです)


 さてこのインフルエンザ、中国語の「流行性感冒(略して、流感)」といえば、ちょっとした思い出があります。と言っても、これは上海ではない地域でのお話です。いえ、上海の病院関係の思い出だって事欠かないのですけどね。上海にある病院について書くとリアル過ぎるのですよ。読む方が読めば、「これはAのことね」「こっちはBのことね」「じゃあこちらはCかしら」って感じですぐにわかっちゃう。日本人が行く病院なんて限られてますし。なので、そんな際どい話は書かずに、別の地域のお話だけ書いておきます。


 中国の地方都市に行くと、インフルエンザの検査ができる病院が意外となかったりします。いくら多少の日本人が住んでいる場所とはいえ、北京や上海などのような大都市とは違い、かなりの大きな病院でないと検査ができません。どれくらいのレベルかっていうと、その地域の大病院と言うか大学病院レベルです(笑)

 うそーって感じですけど、マジです。日本なら、どこでも検査できるのになあ。だから、「この感覚はぺろり、インフルエンザ!」とコナン風に推理しても、検査できないので大抵風邪として処理されます。酷い。


 さてそんな地域では検査ができないのみならず、「外国人対応可」を謳っている病院でも実際には通訳さんがいないということがよくあります。人数が少ないから対応してもらえないのか、通訳と呼ぶレベルに達していないので事実上通訳がいないのと同レベルなのかは、病院にもよりますが。私が駆け込んだとある病院は、きちんと日本人対応可能な通訳さんがいる病院でした。けれど、あの時も真冬の時期で人手が足りずに出払っていたようです。


 必死で症状を説明し、なぜか消炎鎮痛剤として「蒲公英エキス」と妙な丸薬を処方されてブルーになっていた時のことでした。(中国の病院は、中医的な考え方が大好きです。田舎に行けば行くほど顕著な気がします。すぐに何かの生薬や、よくわからない漢方薬を処方されます。胃痛で病院に行ったのに、信じられないほどに不味い液体の胃薬を出された時の絶望感と言ったらありません。あああの時飲んだ、真っ黒な臭い丸薬の成分って何だったのかなあ……)


 私がボーッと受付で手続きをしていると、ちょうど電話がかかってきました。受付の人が電話に出ると、何やらざわざわ。聞き耳を立てていると、電話をかけて来た人は日本人らしいのですが、ちょうど受付には日本語を話せる人がいません。


 そして彼女たちは気がついたのです。目の前にいる患者が、日本人だということに。使えるものは患者でも使え。まさかの病院で、電話番をする羽目になりました。金払って病院にいるのに、なぜ無給で働くのか。それでもつい気を使う日本人。できませんとは言わずにちゃんとやりとりしました。これ、特に救急対応じゃなかったから良かったですけど、患者にさせることじゃないですよねえ。(ちなみにこういう電話対応、飲食店とかホテルとかでも頼まれたことがあります。誰でも使う国だ)


 この時の問い合わせの内容が、冒頭でお話ししていた「インフルエンザにかかっているかどうかの検査を、この病院でできるのか」というものだったのです。受付のお姉さんたちに聞いてみれば、当たり前のような顔をして「できないよー」と一言。つい日本人的には、「じゃあどこならできますか?」って聞きたくなりますよね。それに対して、お姉さんたちは口を揃えて「知らないよー」。もうわかっていたこととはいえ、がっくりです。


 だいたい皆さん、自分の担当区分のこと以外はご存知ありません。さらに言えば、「◯◯病院ならできるよ」と答えて、もしできなかったら自分の責任になっちゃうんですよね。だからみんなリスクの高いことには関わりません。


 ちなみにそこの病院、インフルエンザの検査はできないみたいでしたけど、「インフルエンザの予防接種はできる」って受付のお姉さんたちが言っていました。ますますもって意味がわかりません。打つなら検査までやったらいいじゃーん。さらに子どもに関してはノータッチで、その地域の保健センターみたいな場所に行かなければ接種ができないのだとか。中国の医療システム(特に地方)は本当にややこしい。


 関係ないですけど、ローカル病院は基本的に取りっぱぐれがないように「問診部」というところで受付の上、前払いです。さらにそこで番号を割り振られて、呼ばれるまで何時間でも待ちます。「急性脳卒中は最優先」と書かれた注意書きを見たことがありますが、んなこと言ってないで治療しないと死ぬだろ!ってツッコミ入れたかったです。でも病院によっては、支払いもまだだったり、受付番号が来ていないのに、治療を受けさせろと病室に殴り込む方が多いのでしょうね、人がごった返す受付と診察室の間の廊下にガードマンが立っているのも見たことがあるので、仕方のないシステムなのかも。


 さて話を戻しまして。インフルエンザの判定って、簡易キットでできるイメージなんですけどね。どうして中国では普及していないんでしょう。ちなみに簡易キットが普及していないので、場所によってはタミフルも手に入らなかったり。予防接種は万能ではありませんが、冬場に仕事や旅行で海外に渡航予定の方はインフルエンザの予防接種なんかも打っていった方が良いのかもしれませんね。

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