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永遠の初心者と学ぶ、試験に出ない中国語  作者: 石河 翠@11/12「縁談広告。お飾りの妻を募集いたします」


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33.上海の地下鉄はフリーダム

 みなさんのお住いの地域は、地下鉄や電車などの公共交通機関に乗る際に整列乗車をする地域でしょうか。ちなみに、私の地元も現在住んでいる地域も、「整列乗車? 何それ美味しいの?」って感じの場所でございます。人間味はとってもある良い場所なのですがねえ。


 さて、お隣の中国でも「整列乗車」というのが大変難しいことのようです。地下鉄では乗車マナーに関するCMがガンガン流れていますけれど、あんまり効果があるとは言えません。扉が開いた瞬間から、降りる人と乗る人で扉付近はもみくちゃです。整列乗車以前の問題ではないだろうか。日本とは違って、乗車運賃が破格の安さというのも魅力的です。(いや日本の鉄道は、料金が高いですよねえ)


 それにしても上海の地下鉄は、とても自由な空間です。だいたいいつも異臭がしています(失礼)。多くの方が車内で好き勝手に持ち込んだ食べ物を食べているからですね。ひまわりの種などの各種ナッツを食べてはそのカスを座席周りに捨てたりとか、飲み残しを放置したりとか。スナック菓子のみならず、小吃シャオチーと呼ばれる屋台系のファストフードも平気でもぐもぐ。これは子どもに限らず大人だってそうです。そういやお化粧の香りもキツイですね。夏場は電車内でパックをしているお嬢さんたちもいます。


 さらに時々田舎から来たと思われる幼児が、股割れズボンからおしっこを垂れ流しにしていたりすることもあります。ちなみに股割れパンツとは、その名の通り下半身の大事な部分が丸出しになった幼児用のズボンです。トイレトレーニングに最適という話ですが、お腹は冷えないのか、中国にロリコンはいないのか、とても気になるところ。たまに、今日の地下鉄は良い匂いがするなあと思ったら、車内中にみかんの皮が捨てられていたこともありました。何かのイベントだったのか、ゴミが撒き散らされていたのかはわかりません。


 そしてそんな車内を、カラオケの機械を持って練り歩く物乞いの方々。一応、先に記したそのほかの迷惑行為と同様に電車内での物乞いは禁止されているのですが、夏は涼しく、冬は暖かいということで、外での物乞いよりも格段に快適な環境のため、しょっちゅう出くわしました。ほんとフリーダムだぜ。


 だからなのでしょうか、中国の地下鉄やバスの座席はプラスチックでできています。掃除のしやすさが優先されていると私は睨んでおりますが、とにもかくにも座り心地が悪いのです。まあ布のシートに座って、なぜかじっとり異臭がする液体で濡れているとかより、ずっとマシですけどね!(たまにレストランのソファなどでそういう目に遭いました。最悪です)


 とはいえ、この情報、私が以前に住んでいたときの状況ですからね。今はだいぶ雰囲気も変わったかもしれません。あるいは相変わらずそのままという可能性も存在しますが。上海以外の地下鉄も利用したことがありますが、フリーダムっぷりは上海がダントツだなあと思いました。


 でもね、良いところもあるんですよ。上海の地下鉄は大抵どの路線も混んでいます。雨の日でタクシーがつかまらない時なんて、普段は結構空いている路線ですら激混みです。もちろん優先席にも人が座っています。そこに、妊婦さんや、ご老人、お子様連れ、体の不自由な乗客が来たらどうなるでしょうか。みんな気にせずに座ったままにしているでしょうか。


 ところがどっこい、さっと、数名が一斉に席を立つんです。特に若いおにーさんたちが席をさっそうと譲る姿の多いこと。きゅんとする爽やかさです。譲られた方も変に遠慮なんてせずに、さっと座ってくれますから、こちらとしても譲りやすいのが良いなあと思っていました。


 ちなみに上海在住時に独身だった私は、「おばちゃんに、ありがとうって言おうね」「おばちゃん、ありがとう!」と中国人親子に笑顔で言われて、「お、おばちゃん……」というフレーズの方にしばしばダメージを受けておりました(笑)(今では自分でも平気でおばちゃんって言えますけどね。あの時はうら若き乙女だったものですから)


 もちろん、公共機関で全員が全員譲ってくれるとは言いません。日本では考えられないくらい、遠方まで走る路線バス。一度立ったら、何時間も立つ羽目になる長距離バスは席を譲らない人が多いことだってあります。とある路線バスに乗った時もそうでした。


 大きな病院の前を通るので、妊婦さんも乗る路線です。その時、たまたまとある妊婦さんが座れずに立っていました。誰も席を譲らなかったのですが(私は立っていたのでそもそも譲れない)、運転手さんが「おいこら、妊婦さんに席を譲らんとはどういう了見だ。ちゃんと妊婦さんが座るまで、俺は発車しねえからね!」と啖呵を切るのを目撃。その後、妊婦さんは席を譲ってもらってバスは無事に発車いたしました。日本だとなかなか考えられないですよね。


 乗車マナーについてはいろいろ考えるところも多い中国の公共機関なのですが、席をさっと譲ってくれるスマートさや親切さ、自分よりも弱いものは大事にするべきという考え方が浸透している点はとても素敵だなあと思う石河なのでした。

10月14日は鉄道の日でした。お気に入りユーザ様が鉄道にまつわるエッセイや小説を投稿なさっているのを読みまして、むらむらと何か鉄道にまつわるものをと思い、こちらを書いてみました。


企画には参加しておりませんし、企画主様と面識がありませんので勝手にご紹介するのははばかられるのですが、「鉄道記念日」などのキーワードで検索すると、素敵な作品が読めます。お時間のあります方はぜひ!

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