28.謝罪あれこれ
以前中国のローカル番組のニュースで、「彼氏と喧嘩した女の子が公道で数時間膝立ちになり、謝罪した」というニュースを見ました。
わざわざニュースで流すほどかいなと思ったのですが、中国版SNS微信でも話題になっていたので、やはりショッキングな光景だったのでしょう。
まあ確かに、日本の新宿のような都会の往来で、若い女の子が彼氏に向かって土下座していたらドン引きです。一体喧嘩の原因は何だったのでしょうか。こちらの方は愛情表現も喧嘩の方法もアグレッシブで、ぶっ飛んでいます。
(なお微信は中国版LINEです。ちなみに中国では、場所にもよりますが当局の規制により基本的にLINEやフェイスブックは使用できません)
私的には膝から血が出ているのが可哀想で、やるならジーパン履いてやりなよと思いましたが。うん、足の傷は目立ちやすい。流血良くない!(発想が完全に日本人です)
中国では、「男儿两膝有黄金(男子、両膝に黄金を持つ)」と言われます。膝立ちなんて、男子に限らず女子だってやるものではありません。よちよち歩きの赤ちゃんが膝立ちで歩くのを、おばちゃん達が注意するくらいです。もうほんと、よく日本人ママさんがいきなり知らないおばさんに注意されています。いやあの勢い、マジで怖いんですよ。こっちはよく中国語わかんないのに、ノンストップだからね。気にしすぎじゃあないのかなあ……。
日本では誠意を見せる謝罪と言えば、さきほどもちらりとでた土下座ですよね。「倍返し」のセリフで有名になった半沢直樹。これは中国でも人気を博したのですが、わざわざ例の土下座の回で、「土下座とは、日本の礼儀の一種で最上級の謝罪をあらわす云々かんぬん」というテロップが流れた記憶があります。
今ちょっと気になって百度で調べてみたら、やっぱり同じような解説が載っていました。わざわざ「日本の」と書いているので、やはり珍しいのかもしれません。関連情報で「三跪九叩頭の礼」が出てきたのは流石!(こちらは謝罪ではなく、皇帝に対する臣下の挨拶です)
少し脱線しますが、中国では日本のドラマや映画も見ることができます。日本独自のものを説明するときは、テロップで説明が入ります。例えば「リーガル・ハイ」で、みんなでスポーツチームを作る場面があったのですが、とあるキャラクターの背番号が「53」だったんです。
その理由が、「ゴミみたいなお前にぴったり」という理由だったのですが、わざわざ「日本語のゴミという言葉は、数字の53と音が同じ」という説明が入っていました。丁寧だなあと思ったのですが、これもモノによるんですよね。
「君の名は」を中国で見る機会があったのですが、あれはシーンによって日本語がわからないと困るんですよね。例えば挿入歌とか、頬や手に書かれた言葉とか、ノートやスマホの内容とか。それが映画では一切字幕に反映されていなくて、館内かざわついていました(笑) それでもドラえもんの記録を抜いて大ヒットしたんだから、すごいですよね!
というわけで、話を戻しましょう。もう一つ日本のお家芸の謝り方と言えばハラキリ、そう切腹です。 たまに話の脈絡に関係なく切腹するキャラがいて、憤死しそうです(笑) そう言えば日本のとあるお菓子屋さんで売られている切腹最中もまた、日本ならではだなあと思います。うん、そのセンス大好きだぜ。でもそれを持ってお詫び行脚する勇気はありません。普通に土下座するわ。
というわけで、土下座も切腹も日本的な謝罪の仕方なんです。じゃあ中国ではどうやって謝るの?という疑問が発生します。膝立ちで謝罪? まさか! そんなことは滅多にないから、冒頭の女性もニュースになったわけです。では、どうするか。基本的に謝らないなあという印象が強いです(笑)
おいっと思われるかもしれませんが、体感的にはほんとそんなかんじ。店員さんなんか、自分の間違いは絶対に認めません。だからたまに「不好意思」なんて丁寧に言われると、えっどっかから教育的指導が入ったんかいな?!と焦ります。(事実何かの行事などで、お店や会社の偉い方が店舗に来ていると、末端の店員さんの態度が劇的にかわっていたりして笑います)
基本的に何事も謝らないし、面子を重んじる国ですので、街中で喧嘩はしょっちゅう見かけます。お互い、引くに引けないんですよね。謝ったら負けだと言うのでしょうが、はたから見てるとどっちもどっちということも多いです。
交通事故や道の譲り合い、順番待ち、子供の遊び場、なぜか至る所で喧嘩が発生しちゃうんですよねえ。靴を踏まれただけで、女性同士キャットファイトが始まったのには驚くました。そりゃあお姉さんが履いていたのは真っ白なスニーカーだから、クリーニングに出す必要があるから怒るのはわかるけどさあ。
素直に「すみません」と言える文化がある日本って、良いなあと思う石河なのでした。(国によってすぐ裁判が起きるから、うっかり謝れないというのもわかるんですけどね)




