27.野菜の洗い方
中国のシンクは、なぜか真ん中に仕切りがあります。私はあのシンクの仕切りが大嫌いでした。あの仕切りがあるせいで、お鍋やフライパンといった大物を洗うのがとても洗いにくいのです。皆さんもお鍋やフライパンを斜めにしか置けないシンク、嫌じゃありませんか? 頑固な汚れのつけおき洗いなんて、できませんよ!
もともと中国のシンクは、日本のシンクと比べて劇的に狭いのです。それを半分に区切った日にはもうとんでもないことになっています……。
男性陣は、この辺り気にならない方が多いようです。毎日使うわけではないからかもしれませんね。これから中国に住まれる方は、物件選びの際に台所やお風呂場はしっかり確認してくださいね。
別途お風呂については語る予定ですが、水回りは本当に日本と違って残念です。会社の人事やご主人などの男性だけに物件選びを任せると、その後の生活でグギギギとうめき声をあげる羽目になります。
余談ですが、中国のローカルスーパーには排水溝のごみ取りネットが売ってありません。そのくせ配管は細いのでうっかり雑に食器を洗うと、ゴミがたまって即詰まります。私は一時帰国の時に、貴重なスーツケースのスペースにごみ取りネットを入れていました。
同じマンションの方に聞いたら、油もゴミもガンガン流すようです。流れが悪くなったら熱湯を流す、それでも駄目なら直せば良いのだとか。ワイルドすぎる。
本当にスペースの無駄でしたけど、配管がショボい建物が多いので、背に腹は変えられませんでしたね。とはいえ今は便利な時代だから、上海なら日系スーパーでなんでも手に入るのですが、まあ日系スーパーは割高だからね。地域によっては日系スーパーないですし。ちなみに台所の配管は返しがついていなかったので、本当に夏場はにおいでイラつきました。
さてシンクの仕切りに話を戻します。これがなぜに中国的にスタンダードなのか、何人かに聞いてみたことがあります。みなさんに言われたのは、「野菜を洗うから」というものでした。「野菜を洗う」のにシンクに区切りが必要?
はい、私も最初はそう思っていました。でもそうなんです。中国では野菜は、水に長時間浸けて洗います。しかもただの水ではありません。野菜用洗剤が入った水で洗って使うのです。正直なところ、料理する時間そのものより、すべての野菜を洗って浸けている時間の方が長い気がします。
この野菜用洗剤、各種メーカーが出しているのですが、日本人がよく使っているのはホタテの貝殻で作った製品です。石灰のような粉を水に入れて野菜をつけるとあら不思議。いちごやトマトを浸けておくと、みるみるうちに透明な水が赤くなります。もちろんオクラやほうれん草をつけると、緑色の水になります。茄子はね、色落ちしませんでした。キャベツは色落ちしてるのかどうか、確認できません。
ホタテの貝殻の成分で、農薬が取れるのかはわかりません。単純に野菜の色素が落ちただけかもしれません。でもですね、たまたまかもしれませんが、とあるスジから頂いた某高級野菜(オイシック○なんかめじゃないような、富裕層向けの有機野菜)をその水に浸けたときは、色が落ちなかったんですよねえ。市場の野菜は農薬まみれだし、売れるように上から色をつけているから、水が濁るんだと言われているのですが、どうなんでしょうね。
中国ではときどき、注射器で成長促進剤を打った野菜が見つかったり、重量をあげるために水を野菜や肉に注入した業者が摘発されるので、このホタテの洗剤をエセ科学と笑うこともできません。本当に洗剤に効果があるのか、理系の方に解説してもらいたいような気もします。
それに中国人は無駄なことはしない方々ばかり。その彼らがわざわざこんな洗剤で野菜を洗うということは、やはりきっとそれなりに理由があるのだと思います。この野菜用洗剤、実は楽天でも取り扱っていますので、気になる方はご覧になってみてください。
ちなみにですね、私は日本でこの洗剤を使ったことがありませんので、日本の野菜を洗うとどうなるかわかりません。実験した結果を見るのがちょっとだけ怖いですしね。だってどんな解答が出ても、なんだかモヤモヤしませんか?
海外に住んでいる時には、詳細を突き詰めるのではなく、ぼんやりと体に良い方向の情報だけ適宜すくって使わないと、心身ともに疲れてしまいますからね。耳をふさいでしまうのは良くないことでしょうけれど、安全かどうか考えすぎると生きていけなくなります。チャイナフリーとか言われたら、食べるものも無くなっちゃうし。
ところで、昔の食器用洗剤には、「野菜洗い」という項目があった気がするのですが、あれは私の幻だったのでしょうか。今、台所にあったジョ○を確認したところ、そんな項目はありませんでした。どなたかご存知の方がいらっしゃれば、情報お待ちしております。




