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25.叶姉妹と「叶氏兄弟」

 日本語と中国語、似ているようで大違い。思い込みはびっくりする間違いを引き起こすことは、以前に第十九話でお話ししたことだと思います。今回もまた、日本人ならではの勘違い話です。


 上海から高速鉄道に乗ってしばらく行くと、浙江省杭州という場所があります。上海から程よい距離にあるので、杭州は日本からの観光ツアーに組み込まれていたり、上海在住の方も観光に来たりします。


 その中でも西湖は、風光明媚な場所ということもあり、観光客も多いところです。ちょうど時期があえば満開の蓮の花を見ることができます。なお蓮の花が咲くのは沼のような湖ですので、澄んだ透明な湖を想像してはいけません。それを期待して行くと、濁った湖を見てびっくりすることになります。


 そして乾燥させた蓮の花が大量に売ってあります。(正確に言えば売ってありました。今も売ってあるんじゃないかなあ?) 何に使うかはわかりません。食用? 飾り用? よく雑貨屋さんでも売っているのを見かけました。


 さてこの浙江省の杭州には、とあるお店がたくさんあります。


 その名も「叶氏兄弟」です。私はこれを最初に見たとき、一人で大笑いしてしまったのです。

「叶姉妹」か! 中国には「叶姉妹」じゃなくて「叶(氏)兄弟」かいるのかとツボに入ってしまった私の気持ちを、同じ日本人ならばわかっていただけるのではないでしょうか。


 こんな場所に(失礼。結構田舎です)、フォビュラスでヘブンリーな兄弟がいるのかと思ったら可笑しくて可笑しくて私は腹をよじって一人でひいひいしておりました。ほんでですね、このお店が何屋かというと果物屋さんなんです。「叶姉妹」はハッピーなたわわなメロンをお持ちですからね。そりゃあ果物屋にもぴったりな名前でしょう。いや「叶氏兄弟」だからバナナか!(お下品で申し訳ありません)


 そうやって笑い転げる私に、友達が心配そうに話しかけます。

 伝えたいのに伝わらない、このもどかしさよ。そしてわけのわからない説明を終えた私に向かって、彼女は困ったようにこう言ったのです。「えっとね、これ、葉っぱ兄弟って意味なんだけど……」。


 そう、なんということでしょう。中国語の「叶(ye/イェ)」は繁体字で書くと、「葉」なのであります。まさかの簡体字と繁体字が全く異なり、さらに日本固有の漢字と被ってしまうというケースなのです。そんなバカな! だから「お茶っぱ」なら「茶叶(cha ye/チャーイェ)」なのです。


 ちなみに日本固有の漢字、例えば「峠」などを「国字」と呼ぶのは国語で習ったこともある方も多いでしょうが、中国に同じ字体があるのを知らずに日本で作られ、意味が異なるのに字体が被ってしまった漢字のことを「国訓」と言うのだそうです。さすがWikipedia、勉強になる!


 フォビュラスでヘブンリーなゴージャス姉妹とは無関係。このお店に入っても、ナイスルッキングガイはいないのです。なんという悪行! ここまで期待させておいて!(単なる勘違いです)


 では、中国語では日本語の「叶」という字はどう書くのでしょうか。それがですね、ないんです。少なくとも私が聞いてみた限り、「夢が叶う」というような言い方はないんです。中国語では、「夢は実現する」と表現するのです! なんだか国民性の違いを感じますね。大層、アグレッシブです。


 もしかしたら、「叶う」に該当する最適な表現があるかもしれません。石河の中国語レベルが低いから、うまくリサーチできなかった可能性も高いのです。ご存知の方、ぜひご教示いただければ幸いです。感想欄でも、メッセージでも情報をお待ちしております。


 なお先ほどのお店、多分しっかりした企業さんです。いえ買う機会がなかったのですが、やっぱりチャンスがあるときに買っておけばよかったですねえ。先ほどHPを確認して見たら、店舗も北から南までたくさんありました。なお日本語でHPを表示することもできましたが、テキトー翻訳なので笑えました。中国に行く機会がある方、ぜひお近くをお通りの際には記念撮影を。日本人以外、意味がわからない面白さですが(笑)


 というわけで今回は、漢字は中国と基本的に同じだと思いこんでいるとびっくりするよというお話でした。

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