16.「本命年」と赤い下着
楽しかったクリスマスも終わり、もう年の瀬を迎えますね。ネット上で福袋をポチるか悩む石河です。もう時間がありません! とはいうものの家族の誰も好まないためおせちも準備せず、年末まで通常通りのためこれ以外のお正月感はゼロでございます。
ちなみに中国では西暦の1月1日ではなく、陰暦での1月1日をお祝いします。2017年のお正月休みーー春節--は、1月末から2月あたまにかけての1週間です。一応1月1日も祝日なのですが、1月3日から通常通り仕事も学校も始まります。(そもそも祝日が土日なのに考慮ないし……。ハッピーマンデーとかある日本人的にはやっぱり不思議)
それでも日本と同様に、クリスマスが終わった中国の街でもお正月ムードが漂い始めます。門松などはもちろんありませんが、干支のオブジェがあふれる時期なのです。今年は酉年ということもあり、ペンギンやら、鶏やら、卵に入った産まれたばかりのヒナやら、節操ありません。自撮りしている方も多いですが、可愛いかどうかは、うーん……日中の差を感じるなあ。SNSで写真をもらってもなあ……。去年は申年でしたので、写真のお友達の隣には西遊記の彼がいらっしゃいました。うん、あれを思えば今年は平和かも?
ご存知の方も多いかもしれませんが、中国の干支と日本の干支はほぼ同じです。亥年がイノシシではなく、ブタであることを除けば……。ちなみに韓国の干支でも、亥はブタなのです。一体、中国→韓国→日本に至るまでに何がおきてしまったのでしょうか。わかりません。(そして有名宝飾ブランドからは、その年の限定アクセサリーか出たりします。いらないなあ、ブタのネックレスとか……)
なお近所の老婦人いわく、中国には別の意味で人気のある干支というものがあるそうで、イチオシは辰年だそうです。ここでの辰は龍のことを指します。辰年生まれのお子さんたちは、「龍宝宝/龙宝宝(long bao bao ロンバオバオ)」と呼ばれ出世できると言われていて、人気があるそうです。でもそういうのにあやかって、たくさんの方が子どもを計画出産するので、結局はベビーラッシュとなり、12年の中で1番受験や就職が大変になるのだとか……。そしてそもそも人気過ぎて、妊娠初期の段階で予約しないと、分娩できる病院がなくなってしまうのだという……。むむむ、恐ろしいなあ。
さてそんなこんなでお正月が近づきますと、ショッピングモールの中でもある変化が訪れます。そう、1番目立つ場所が赤い下着売り場に変わるのです。赤いブラに赤いパンツ、赤いトランクスに赤いステテコ、赤い長袖肌着に赤い靴下。これが下着売り場から遠征してきて、特設会場にお目見えします。そりゃあもう、すごい勢いでどどーんと。
しかもお正月が終わるまでクリスマスの飾りは撤去しないデパートやショッピングモールが多いので、クリスマスの赤と、下着の赤が両方目にまぶしい時期となります。ついでに大きな正月飾りもどんどん飾り付けられてくるので、赤だけでなく黄金も目にまぶしい。
一体なんでこんことになっているかと申しますと、年男や年女は「赤い下着」をつけなければならないと言われているためです。こう知ったような口を聞きますが、詳しい経緯など今年まで全く知らなかった石河です。中国語では、年男や年女のことを「本命年(ben ming nian ベンミンニイェン)」と言います。私は「本命」という響きから、てっきり「今年は君が主役だよ☆」というニュアンスで燃えるような色の下着をつけるのかと思ったのですが、違いました。はい、老婦人にも呆れられました。というか、なぜそう思い込んでいたのか自分でもわかりません。
老婦人「本命年だからねえ」
私「本命ですからね!」
老婦人「赤は縁起がいいのよ」
私「赤はめでたいですよね!(主役にぴったり)」
老婦人「やっぱり本命年は心配だから」
私「え? 」
老婦人「え?」
こんな感じのやりとりの後に、こんこんと諭されました。思い込みって怖いですね……。言い訳させてもらうと、中国の皆様はかなり赤いお召し物が好きなのです。普段から男女問わず、バリバリに着こなしていらっしゃるのでそういうものかと……。本当に申し訳ありません。
正解は、これ日本で言うところの厄年なんです。つまり赤い下着は厄除けなんですね。年配の方だけでなく、意外と若い方も気にされて購入するそうです。プレゼントすることも多いのだとか。なにやら、自分で購入するのではなく誰かにプレゼントされる方が効果が高いそうで……。それってアパレル業界の陰謀なんじゃない……?
ここで私が主人の「本命年」に赤い下着を用意しなかったことがバレ、ちょっとお叱りを受けてしまいました。いやあ、でも日本で真っ赤な下着って見かけないと思いませんか。女性用のいわゆるセクシーランジェリーとかはありますけれど、赤いトランクスとかステテコとかあるの? 一体どこで買うの? ユニク◯のヒートテックもカラーバリエーションが豊富なイメージがありますけれど、赤なんてあったかしら?
そもそも会社の男性社員が赤い下着を着けていたら、ワイシャツから透けて見えて叱られそうな予感しかしません。日本のようなサラリーマンスタイルで出勤しないから、中国の男性も気にせず赤い下着を着けられるのかもしれませんね。
というわけで、今年は厄年という方や家族に厄年の方がいらっしゃる方は、赤い下着を買ってみてはいかがでしょうか? 運気もアップするかも!
次回はお正月つながりで中国流のお年玉のお話か、セクシーランジェリーつながりでセクシー(という名の下ネタ)なお話でお会いしましょう。お餅の食べ過ぎにはどうぞお気をつけくださいませ。それでは皆様、どうぞ良いお年を!