15.ハロウィーンと「不给糖,就捣乱」
本日はハロウィーンですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、このハロウィーン。中国語では『万圣节(万聖節)/wan sheng jie』と言います。これはカトリックの祝日で、11月1日が『諸聖人の日』、古くは『万聖節』と言ったことからきているようです。日本語と中国語が同じ名詞を使うパターンです。ハロウィーンとキリスト教との関係は意外と細かくてややこしいので、詳しく知りたい方はウィキペディアをご覧ください。
そして、ハロウィンと言えば「トリックオアトリート」です。ご近所さんのために、お菓子を用意していらっしゃる方も多いでしょう。私の友人は、同じマンションの子どもたちのためにお菓子を200袋用意したそうです。何でしょう、この大掛かり感。大型マンションの怖さを思い知りました。何でも最近では、バレンタイン商戦に匹敵する経済効果があるのだとか。ひええええ。
前置きが長くなりましたが、『不给糖,就捣乱(不給糖、就攪乱)』これが「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ」の中国語版です。週末もひっきりなしに私のウェイシン(中国版LINE)にこのメッセージが届いていました。イベント好きな中国人です。中国の大型ショッピングモールでは無料の室内遊園地(ハロウィーン仕様なのでおどろおどろしい)や、真っ赤な生絞りスイカジュース(オレンジジュース同様、レストランの定番。個人的にはキュウリ風味に感じて嫌い)や、仮装パレードなんかの催しが目白押しだったようです。そしてタイトルの言葉を合言葉に、お菓子を配った店舗も多かった模様。ちなみに中国のとある地方のユニクロは、お買い上げ金額に応じてハロウィーン仕様のオレンジ色のタオルだか毛布を配っていたそう。需要あるのでしょうか。
『不给糖』はそのままですね。『キャンディーをくれなきゃ』です。後半は中国語初心者の私はなかなかお目にかからない単語です。だって、『攪乱』ですよ。すでにヤバそうな雰囲気が漂っています。中国語読みの「ダオルァン」もなかなか強そうです。(正確な発音ではありませんので念のため)
この『捣乱』の雰囲気がわからなかったので、またまた先生に聞いてみました。辞書を読むと、日本語と同様に「騒ぎを起こす」とか載ってますけど、この場合そんなわけないですし。辞書に載っている意味って、実生活で使えないこと多いんですよね。やっぱりネイティブの方に聞くのが1番です。野菜の名前も辞書に載っているものを使うと、大概通じませんし。(植物学的には正解かもしれませんが)
「これはねえ、小さい子がママが言うことを聞いてくれなくて床にひっくり返ってドタバタしている感じね。わがままというか、ひどく駄々をこねているって感じかしら」
ちょうどうちの孫みたいな感じね。
じたばたする男の子を抱きながら、そうにこかやかに、近所の老婦人が答えてくれました。
はい、近所の老婦人です。一人息子さんはもうすでに独立されていて、昼間はこのご婦人がお孫さんの面倒を見ているのだとか。
え、ボーイズラブ好きな先生はどうしたかって?
よくぞ聞いてくれました。こちらの先生、何と就職が決まったからと言って日本を出国して、故郷に帰っちゃったんです。思い返してみれば、中国の学校は秋が新学期ですから、ちょうど就職活動の時期だったのかもしれません。
ちなみにそれがわかったのは、中国語の予定をすでに2回すっぽかされたあと。ちょうど中国の10月あたまの大型連休である『国庆节(国慶節)』を挟んでいたので、てっきり中国あるあるの休みボケで忘れられているだけかと思ってました(笑) こちらから連絡したら、軽いノリで「辞めました〜」と返ってきたのですが、聞かなかったら永遠に連絡なしだったかもしれません。事前に言ってくれたら、就職祝いくらい渡したんですけどねえ。
でも、まあいきなり辞められても気になりません。だって、これこそ中国あるある。予定は未定、約束契約なんのその。お金支払ったあとに音信不通になったりしていないだけ、マシなのです(力説) 月謝、先払い形式じゃなくて良かったわ。とはいえあまりのあっさりした返事に、ちょっぴりびっくりしたのは確かです。あれだけ日本通の先生だったのになあ。辞めるときには事前に伝える、日本式の礼儀がやっぱり好きです。
というわけで、私の語学の先生はピチピチの女子大生から、熟女もとうに過ぎた老婦人になりました。教えていただく単語が、流行語からだいぶシフトチェンジしそうな予感です。これこそまさに、私に訪れた『捣乱』だったのかもしれません。