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14.中秋節と月餅

 お久しぶりです。

 中国語の先生が、夏休みということで実家に帰省されておりまして、ラッキーとばかりに中国語の勉強をサボっておりました。おかげでこのエッセイも、めでたく赤文字の注意書きが表示されていたようです。もう中国語すっかり忘れちゃったよ。どうしましょうか。


 さて、先日9月15は中秋の名月でしたね。中国語では、『中秋(zhongqiu)(jie)』と言います。皆さんのお住いの地域からお月様は見えましたか? まあ私は雨戸を閉めていた上に、中国の友人から、「中秋(zhongqiu)快乐(kuaile)!」と言われてから気づくような、疎い人間なんですけれど。


 私の地元では、春(と言っても暦の上なので体感的には冬)のランタンフェスティバルに引き続き、秋のお月見まつりとして中秋節を盛り上げようとしてるようですが、当日は結局曇りだったようです。実に悲しい。いえ、晴れてても距離的に参加できないのですが、なんとなく。


 ところで、中秋節にお月見をするのって何故だと思います? まあ由来は諸説あるようですが、ここでは私が上海で見たCMのお話をご紹介します。CMは切り絵のアニメーションだったような気がしますので、物語口調でどうぞ。(あやふやな中国語で見ているので、間違いがありましたらご容赦ください)


「昔むかし、空にある9個の太陽を撃ち落とした英雄がおりました。そのおかげで太陽はひとつになり、この世界は過ごしやすいものになりました。この英雄には、嫦娥という美しい妻がおりました。ある日、仙人になれる秘薬を手に入れた英雄は、その薬が悪用されぬようにこっそりと妻に預けました。ところがそれを盗み見たものがおりました。それは英雄の弟子です。弟子はある晩、英雄が留守をしたことをいいことに妻を襲い、その薬を我が物にしようとしました。必死で抵抗するも、なすすべもない英雄の妻。彼女は、こんな悪漢に薬を渡してはならないと、秘薬をすべて飲み干してしまいました。」


「すると英雄の妻は仙女となり、月へとのぼってしまいました。帰ってきた英雄は、侍女からことの顛末を知り愕然とします。弟子はすでに逃げてしまい、どうすることもできません。深い悲しみの中、愛妻の名を呼び続ける英雄の前に、美しい満月が現れました。月には愛しい妻にそっくりの人影も見えます。そこで英雄は、庭に妻が好んでいた果物などを供えました。これ以降、中秋節には、家族みんなでお月見をするようになったのです」


 CMではそのあといきなり実写となり、3世代の家族が微笑ましくお月見をする姿が映し出された覚えがあるのですが、私は「全然めでたくねえ!!!」といつも気になってしょうがありませんでした。しかもバスに乗車していても、しょっちゅう車内のテレビで流れてたんですよ、コレ。こういう切ない由来だから、省みて家族を大事にしろってことでしょうか。わからん、全然わからん。


 そうそう、こちらのCMはそもそも『月餅(yuebing)』のCMだったはずです。日本で言うところの『月餅げっぺい』ですね。中国では、中秋節には『月餅(yuebing)』を食べるんですけれど、これがまた日本のお中元お歳暮合戦のような熾烈さで、各企業頑張っております。お味は……、うーん私の知る限り日本人女性には不評です。だってね、あんこの中に黄身がまるまる1個とか、金華ハムとか入ってるんです。そりゃあ確かに時代は「あまじょっぱい」ブームが来てますけど、これはなんか違うってば! 日系のホテルの月餅も食べたことありますけど、やっぱり微妙なお味。


 個人的には、スターバックスとハーゲンダッツの月餅がイチオシです。特にハーゲンダッツ! 限定の月餅型アイスは、見た目も可愛くお味も抜群。ですがもちろん私に月餅を贈ってくれる相手なんていないんで、自腹で購入しました。ネット通販で、不慣れな中国語で月餅カードを買ったんですよ。ああ懐かしい。(月餅は事前にビール券みたいなカードを購入して、それから中秋節以降にお品物と引き換えたりします)


 おぼろげな記憶ですが、かなり割高だったと思います。小さい月餅型のアイスが5個入って、250元くらいだったかな? 縁起良くするために、中国あるあるで248元だったかもしれません。今のレートが1元15円くらいですから、5000円弱と考えるとやっぱり高いですよね。というか、スターバックスもハーゲンダッツも、中国の物価水準的にかなり高級な気がするんですけれど、売り上げはどうなんでしょうか。


 この月餅、家庭内にだぶつくことも多いらしく、この時期中国のネット(百度)では「月餅リメイク料理」がトレンドに上がってきたりします。日本のおせち料理のリメイクみたいな感じでしょうか。でも、栗きんとんをモンブランにするリメイクならともかく、月餅は晩御飯のおかずにはならないって! 無理すんなよというリメイクだったりするんですけどね。そんなに余るなら、贈り物は普通の月餅じゃない、ハーゲンダッツのにしようぜ。(ステマではありません、念のため)


 ちなみに私は月餅カードを購入した後、引き換えになかなか行かなかったせいで、引き換え店舗が極少数になってしまい、住まいから離れた場所にわざわざタクシーで出かける羽目になりました。アホです。


 つらつらと書いていましたら、なんだか月餅が食べたくなってきました。中華街に買いに行ってこようかな。なお、日本の中華街の月餅の方が確実に美味しいです。というか完全に別物だと思います。(中国の月餅好きの皆様、申し訳ありません)



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