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プロローグ

 World Of Magic Sword(W. O. M. S.)、VRMMORPG(Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)として日本で大人気の老舗タイトルであり、専用のコクーンと呼ばれるヘッドギア型の装置を使い仮想世界のキャラクターに5感を移すことで、飲食、運動、会話いった現実世界と同様のことが出来る体感型ゲームである。


 日本で初めてVRMMORPGが一般ゲームとして実用化されたのは、2030年である。

 その、わずか3年後にリリースされた魔剣をめぐる冒険と生産・商業系の両方を兼ね揃えたゲーム構成となっており、リリースから10年が経過した現在でも常にTOP5に入り続ける人気タイトルとなっていた。


 これだけ、長い期間でTOP入りを死守してきた背景には、大きく3つの理由がある。


 まず一つ目は、キャラクターの種類が豊富であること。

 その内訳は、人族を代表とする人間種、エルフ族や人狼族を代表とする亜人種、骸骨の外見やヴァンパイアを代表とするアンデッド、そしてスライムを代表とする異形種がある。

 これら計20種を超す基本キャラクターに任意で羽や角といったオブジェクトを追加することで数百通りの組み合わせのキャラクターを作成が可能であるのだ。

 また、キャラクターに依存する剣士、魔術師、盗賊、神官といったメイン職業の他に薬師、商人、料理人、鍛冶屋といった補助職業は、プレイヤーが任意にスキルポイント以内であれば複数の選択が可能なためオリジナル性が高いキャラクターを育成することが出来るのだ。

 

 二つ目は、広大なフィールドである。

 W. O. M. S.は大きく三層構造の世界で構成され、神族の住む天上を第一界、人属や亜人族と一部の魔族が住む地上を第二界、主に魔族と天上から追放された神族が住む地下を第三界と呼ばれている。


 各層には、山、川、湖、海、大森林、草原、砂漠、雪原といった多様な地形と気候が用意されている。

 そのため、遠征となる冒険をしようとするのならば数日かかることも珍しくない。

 また、プレイヤーはフィールドを踏破するために馬、船、飛龍といった様々な移動手段を自前で確保しなければならない。


 三つ目は、豊富な装備を初めとするアイテムの存在である。

 W. O. M. S.では、メイン武器を魔術ランクⅠ~Ⅴへ分類されており、ランクⅣ以上のメイン武器を総称して魔剣と呼び、特にランクⅤはオリジナルと呼ばれる神級のレアアイテムである。

 また、プレイヤーが鍛冶職や細工師といった職業で作成出来るアイテムは、使用した素材の組み

合わせで外観や機能、パラメータを任意に変更可能なためプレイヤーの個性が尊重されるシステムとなっていた。


 こうした、自由度の高い様々なシステムが用意されているため運営側に登録すれば仮想世界で作成したアバターやデザインなどの一部は現実の通貨で取引されることもある。

 そのため、プロのクリエータやデザイナーが小集団を組み運営しているギルドもあるのだ。


 こうした、プレイヤーの自由度が高いこと、そして定期的に行われる大型アップデートで新規クエスト、アイテム、フィールドや職業が追加されるため古参プレイヤーが飽きない工夫もあり常に数千人のプレイヤーがW. O. M. S.の世界で冒険を繰り広げている。


 W. O. M. S.の第二界地上にある始まりの城塞都市のスクルドは、ゲームを始めた冒険者が初めに訪れる街である。

 また、スクルドは運命の三女神の三女の名前でもあった。


 スクルドには、いつも様々な職業のプレイヤーやNPC商人と住人で溢れかえっていた。

 そして、スクルドの郊外にそびえる黒壁のレンガの建築物に悪魔と戦う天使が描かれた色彩鮮やかなステンドグラスが取り付けられたオーディン神殿に三人のプレイヤーがその日も仮想世界の生活を楽しんでいた。


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