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第1巻「Fourth Wall Breaking」:6章

・・・・・・・・・・・・・・・

主POV:カメリオ

・・・・・・・・・・・・・・・

その夜宿題をし終えると、冷泉はペンを置いて、スマホで再生していたリリックスの曲を停止し、イヤーフォンも外してベッドに座った。今日何の進展ができたのかを反省しようとしている時に俺は再び彼の前に現れた。

「今時間いいか?少し話をしたいんだけど俺たちはこれから長い付き合いになるからちょっとお互いのこと話し合おうじゃないの。」

冷泉はため息しながら返事した。

「僕はお前のことはほとんどもう知っている、お前のアニメを見ていたんだぞ、それ以上に知る必要な物はあるのか?」

冷泉はそう言うと思っていたから、俺は指を鳴らした。

「ほう、でも俺は釣りが上手い事はしっているか?」

「あっそうだね、お前は何やっても優秀だからなー?お前は作者がただお前に『よくするため』余計な才能を仕込んだバカだよ。それだけお前はうまく書かれたキャラじゃないってことだ。適当な理想を浅いキャラにぶち込むことなんて誰だってできるんだよ。

『ほーら、ボク、堕天使レイゼンアイズ、エースパイロットで宇宙飛行士で医学の博士で忍者で聖騎士(クルーセイダー)で料理もうまいみんなメロメロのスターだよー』って、バカバカしい。」

はぁ、評論家だとは聞いたが、それは言いたい放題すぎるんじゃないか?それでも俺はクールに、冷泉の悪口雑言から気を取り直す。

「俺はちょっと風露から聞いたが、お前は無名の二次元キャラにすごく惚れていて、彼女を人気にするために命を捧げているって?」

冷泉はちょっと口ごもった。やはり冷泉みたいな奴にも弱点があるんだな。

「そうだが?それで僕をバカにする気のか?」

俺は頭を振る。

「いや、全然、むしろ正直に言うと感動したよ。お前が俺の器になれたのはリリックスのための情熱のおかげだなんて、恩返しのためにプロジェクトを手伝いたくなるぐらいだよ。」

冷泉は俺から目を逸らして、自分は悪口ばかり言ったのに俺がまた一方的に感心してやっているから、罪悪感を感じ、やはり俺と仲良してもいいじゃないかと考えているようで、俺に質問した。

「お前は音楽を作れるのか?」

俺はちょっと横を見て、困った笑顔で返事した。

「残念ながら、俺は多才だが、音楽だけは無理だそうだ。」

冷泉は指でベッドの毛布に何かを落書きをする。それは一体なんのジェスチャーだろう?


俺はもう一つの徹甲弾のような質問を吐く。

「それではお前はこの世界で生身の二次元キャラに会えると知ったから、お前の新しい目的はリリックスがメタキャラにすることか?」

「バカ、シングロイドは原典のストーリーがないからメタキャラになれないってお前も知っているはずだろ。」

えっ、なんでそんな夢のないことを言うんだよ?

「それは本当だけどな、だがメタキャラになれなくてもその看板キャラと同じぐらいに人気にしたいんだろ?あの子ってなんて名前だっけ、ヒダマリ―」

「ヒマワリ・ミックスだ。それに違うな、僕はあいつほどにリリックスを人気にしたくない、それはフウロとヒナゲシにももう言ったことだ。僕は彼女を支えるために命を捧げるのは事実だが、あれほどの偶像的なキャラにしたくない。百合飾りの狙いはミコミコで再生数を200、000取ることだ、最大でも400、000まで。」

「なぜそこだけ狙うんだ?お前の彼女に向く情熱はメタキャラの器になれたほどで、それも他のシングロイドファンよりも高くて誠実だぞ。お前はできる限りリリックスを成功させたくないのか?」


深刻で少し切ない声で、冷戦は返事した。

「だからこそ、僕はリリックスを成功させたい。そしてあんな制限がなければメタキャラになって欲しいとも望んでいる。だがそうするには僕はリリックスを通らせる自分を許せないある段階を通さなければないんだ。」

「ある段階?」

「僕は彼女に向く情熱、誠実で、純粋な愛情があるが、他人にはそんな物はないんだよ。お前は何人の『アニメファン』がアニメの女子を性具として見ていると思うんだ?僕は一般化しないが、それでもエロ同人誌と他のアニメ関連エロ製品の市場を急成長させられるほどに多いのは間違いないんだ。

僕はリリックスを愛している、何よりもだ。そして思春期後の男子としてリリックスに性的な魅力を感じたことがあるのは否定しない。だがそれは僕の愛情の2%以下さ。リリックスはシングロイド、だから僕はデザインでも服装でもセックスアピールでもなく、彼女の()が一番好きなんだ。

彼女の声こそ僕に希望を、霊感を、この心の底からの愛情を沸き起こしてくれた!他の奴らはそう感じないんだ。他のアニメキャラに見てみろ。ヒマワリとか、お前のアニメのヒロイン(ハルト)とか、お前だって、何千何万人のアニメファンがアニメキャラを自分専用のセックストーイにする物のために馬鹿げた金額をホイホイ払う覚悟をしている。

僕はリリックスをそんな扱いには絶対させない。僕は『百合飾り』で彼女を救って、自分が彼女の思いに値すると証明しようとしている。だから彼女が何千人に読まれる同人誌の表紙に載せられることを喜んだら、僕はどういう恋人なわけだよ!?」

そうか、ハルトまで例外ではないというと、俺もすごく冷泉に同情するよ。

「なるほど・・・・俺にも分かるような気がするよ・・・・ハルトも同じ扱いされていると聞いたら・・・」

「あまり気にしなくていい、お前は僕のプロジェクトを手伝えないなら百合飾りは自分の問題じゃないと考えればいい。」

待ってよ、それは絶対おかしいだろ?

「それは俺の問題だよ!お前は俺の器だぞ冷泉、なぜ自分が命を捧げている献身が俺の問題じゃないなんて言えるんだ!?」

やはり俺の同情は余計だと考えているみたいに、冷泉はちょっと横を見てから、ため息を吐いた。

「好きにしろ。」


こんな話を続けてもただストレスになるだけだからか、冷泉は提案を出した。

「っでその話しは済んだし宿題ももう終ったから、僕のパソコンでアニメを見ないか?」

それはなかなかのアイディアじゃないか。

「ほう、じゃあ『ガンダインExxied』見ていいか?」

「僕はストレス解除が欲しいんだ、お前のアニメを見たらもっとストレスになるだけだよ。それにこの家にガンダインExxiedのDVDはないぞ、他に提案は?」

それは残念な話だが、ここは妥協に甘んじようか。

「じゃあ、他に勧めるガンダインのDVDならあるのか?」

「まぁガンダインのボックスセットなら3個あるけど、一番勧めるものというのなら『ガンダインR-0』だ。それは一番うまく書かれたアンチヒーロー系の主人公がいる。お前は彼を見習えばいいじゃないかな。」

ダークヒーローのガンダイン主人公?それはどうになるのか気になる一方、そんな主人公がいると聞いただけでもちょっと気の毒だ。


冷泉はスタジオから『ガンダインR-0』のDVDを回収して、ノートパソコンで再生するために部屋に戻り、食卓からカメリオのためにもう一つの椅子も取ってきて、説明した。

「これは2008年のアニメだったが『ガンダインR-0』の画質は今日の標準に達している。いや、今の平均アニメよりもいい画質を誇っているんだ。」

「それは楽しみだな」

アニメは砂嵐に包まれる街の中の戦場に幕上げ、様々の色のガンダインは泥緑の飛べないモビルアンドロイドと戦っている。このシーンでは数人のガンダインパイロットを紹介して、皆は綺麗な白と金のユニフォームパイロットスーツを着ていると示すんだ。

数機の騎士のようなモビルアンドロイドもガンダインたちを応援している。この機体たちは灰色のスーツのパイロットによって操縦され、重要キャラであるガンダイン騎士と違って撃墜される。彼らは普通の兵士なんだろうね。

この戦場に出てくる対話はこの場面だけだ。パイロットの騎士たちは戦っている敵はテロリストで、一人のパイロットはテロリストたちに奪われた母と兄妹を返せと叫ぶ。


戦場のシーンは時々バンカーの中に隠れていて、止まない爆音に怯える非戦闘員の市民たちをカットし、その中には母と数人の子供の一つの家族がいる。それは外に戦っているガンダインパイロットの家族じゃないかな。

テロリストの機体がどんどん減っていったら、テロリストのリーダーの一人は象と戦車の間に見えそうな巨大モビルアンドロイドを出してきた。

この巨大戦車に敵対する機体はボックスアートに乗っている2機のガンダイン、パイロット自身は巨大な三刀を使う赤いガンダイン『Α/VII(アルファセブン)』と、ランス使いの青いガンダイン『β/IX(ベータナイン)』と呼んでいる。

圧倒的な移動と接近戦スキルで象戦車の遠距離砲撃を上回り、2機のガンダインは同期チームワークでΑ/VIIは戦車の砲身を斬り落としてβ/IXはランスを戦車のコックピットに刺し、テロリストのリーダーを殺して戦車を爆発させる。

敵のボスを撃破したら、Α/VIIはバンカーまで飛んで長い赤髪の主人公、アルブレ・J・ケルシス・イスカリオットは一言を呟く。

「今助けてやる。」

だが剣でバンカーをこじ開けて中に監禁されたテロリストの人質であるはずの人々を解放するのではなく、その赤いガンダインは三刀を合わせて一つのレールキャノンに使ってバンカーに撃ち放ち、中の市民を一瞬に灰と化すんだ。


その瞬間、俺はアニメを停止させようとノートパソコンのスペースキーを強く叩き、しかし幻覚状態の自分が物理的の物体に触れないと忘れてしまっていたから、冷泉は代わりにそのスペースキーを押した。

俺はいきなり叫び出した。

「なっ、なっ、なんだったんだあれ!?主人公は助けるべき人々を殺しただと!?」

それでも冷泉は冷静に返事した。

「これから一分待てばここはテロリストたちの街だと説明してくるが。」

「それでもなぜこいつは平然に何百人の一般人を殺したんだ!?女、子供、老人まで!?」

「それはやったけど、まぁとりあえずアニメを見ろよ、理由はこれから説明されるから。」


ここはおとなしく続きを見るしかなさそうだが、やはり納得できない。ボックスアートを見なかったらこの赤髪のパイロットは主人公だとじゃなくて、こんなことしてもおかしくない悪役だと思いたいが、アルブレは間違いなくこのアニメの主人公だ。

その数分後、解説ナレーションはこの世界で多くの大きな国は核兵器を持っているから核戦争に脅かされていると語ってくる。

だから、このフィリスティア国も他の国に弄られたくないつもりで自分の核兵器を開発したんだがその開発の過程で失敗してフィリスティア自らの首都を破壊し、その核放射線は全国に広げ、遺伝子的免疫がない全ての市民の寿命にタイマーをつけることになってしまう。よって放射線に汚染されたフィリスティア人たちは他の国に逃げるためにテロを始めた。

主人公の国、ナザレスは最初で助けるためにその医療を研究したんだがテロはまた続いて、どうせこのままではフィリスティアの国民は一週間以上に生き残れる時間はないからナザレスの王はフィリスティアから逃がせないためにテロリストたちに慈悲の止めとして全滅命令を出した。


だが解説を聞いても、やはりそれは納得できない。

「それでも、なぜ諦めたんだ?最後まで医療を研究すればいいじゃないか!?」

冷泉はため息を吐いた。

「これは『Exxied』とは違うんだぞ、都合のいい『奇跡』なんて起きないよ、こう考えてみろ、王様はその命令を出していなくてもどの道その国の皆はもっと苦痛に死ぬだけだぞ。」

「でも勝手に皆を殺せって言うのもダメだろ!?そっちだって死にたくないんだから、生き延びるために足掻いていたんだから!それのどこかが慈悲なんだよ!?」

「その通り、このアニメでは『正解』と『間違い』なんてないよ。慈善と優しさは同じじゃない、そしてこのアニメはたった最初の8分でそれを見事に表示している、『Exxied』のように『俺と賛成しない奴らはみんな間違っている』理屈とは違うんだよ。」

カメリオは返事を出せない、現実世界だけでなく、他のガンダインアニメの世界までこれほどまでに俺の世界とは違ったのか。

俺は何も言えなくなっているから、冷戦は尋ねだした。

「じゃあ見続けたいのか?それともここまでにする?」

「いや、少なくとも1話の終りまで見るよ。」


その続きのシーンがアルブレに深さを加える彼とナザレスの姫様、マグダレーネ・ナザレス姫と話して姫様に対する忠義を見せるシーンだ。

アニメの暗い空気は若い男女の対話で明るくなったら、やはりこのアニメも暗い物ばかりじゃないと見て安心し、俺は言い出した。

「この二人っていいカップルじゃないか。」

それでも冷泉はまだ反論してきた。

「実はさ、これはちょっとのネタバレになるが、この終わりの最初から最後まで姫様に対するアルブレの忠誠は揺らがないが、彼の気持ちは恋愛的ではなく完全に騎士の忠誠だけだ。それでもここは他のファンにもよく勘違いされる所だがね。同年の男女はお互いのこと恋愛以外に思えないと考える奴は多いから。」

「ほらそうなるなよ、だからこの二人はよくお似合いだろ?」


1話の話しは続いて、アルブレはもう一度Α/VIIを使って姫様を暗殺しようとする戦闘機、カブトガニとカマキリの間みたいなモビルアンドロイドを使うテロリストの残党のエース一人と空中戦に持ち込む。

戦闘は長く続かなくてΑ/VIIは難なくその敵の虫モビルアンドロイドを撃墜できるが、それはカメラの回転をうまく使って空中戦の物凄いスピード感を表現し盛り上がらせた素晴らしい戦闘シーンだ。

第1話のクレジットが流れてきたら、冷泉は俺にガンダインアニメを見た感想を聞く。

「どうだった、ガンダイン主人公君?」

それは答えにくい質問だな。

「ただ俺のアニメとは全然違うんだが、戦闘のアクション指導がすごいことは否定できない。」

「それこそはガンダインの水準だからな、お前は自分でそれをよく知っているだろう?」

「それでも主人公はあんなことしたなんてまた納得できないんだ。」

「どんだけの甘ちゃんだよお前は?意地の悪さにしてはこれはまだまだソフトコアだよ、もっと気の毒になるアニメがいいとは言わないが、グロしかないアニメもくだらないからな。どちらにせよこれからも見続ける方がいいぞ、最初の数話はまあまあだが、その後はずっとよくなるから。」

俺は頭を振る。

「今日はこれまでにしよう、俺はまた1話の内容を反省したいんだ。だがここで止める気はないよ、お前が今度暇になったらまた一緒に見ようか?また明日とか。」

1話だけでも俺はこれほどまでトラウマを受けているんだからな。

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