とあるAV男優の戦場
お題:戦場、魔法少女、AV男優
楓太は動画サイトで 自身の裸姿を投稿するAV男優である。
正確には撮影、投稿はユミコがしているので、楓太はカメラに映っているだけである。
カメラの前でありのままの姿を見せているだけである。
楓太はその撮影や投稿のどこがいいのかは分からないが、カメラを回すユミコはどこか嬉しそうであった。
人気はそこそこあるようで、それなりの反響があるらしい。
が、同じAV俳優のミーやシバはランキング入りしているというのに、楓太の動画は未だにランキングというものに入ったことがなかった。
それも致し方がない。ミミズクのAVなどそんなものである。
ネコのミーやイヌのシバに勝てるはず等ないのだ。
さて、その楓太は今は何故か少女の姿をしていた。
白いマント、青いヒラヒラのスカート、同じくヒラヒラのブラウス。
その手には何故か先端にハートが付いた小さな棒。
その姿は、魔法少女を連想させた。いや、今の彼は間違いなく今魔法少女だった。
「なんだこれ」
『よくぞ聞いてくれた』
頭の中で声がした。驚く間もなく、声は続ける。
『実は、再び世界を海に沈めようと思ったのだ。かつてそうしたように七日七晩雨を降らせてな』
「それとこれに何の関係が? なんでそんなこと」
『前者は、これから説明する。後者は、飽きたからだ』
楓太は思わず絶句した。しばらくして、声はもう一度言う。
『飽きたのだ。今の世界に。で、いっそ一回ぶっ壊して作り直してみようと思ってな。
ただまぁ、一から作り直すのもしんどいし面倒だから、何種類かの種族は残そうと思った。
思ったのはいいのだが、どの種族を残すか思い悩んだ。
前の時は正しき者と全ての動物を残したが、今回は趣旨が違うからな。
それで、地球上に生きる全ての種族からそれぞれ代表者を一人選び、生き残った100種類ぐらいを次の世界に残そうと決めたのだ。
お前は、ミミズクの代表者だ』
楓太は声の言っている意味が分からなかった。分かったのは、戦えと言われたことと、そうしなければミミズクが全滅するということだけ。
「でも、なんで魔法少女?」
『植物とかは不利だからな。公平性を期すために全員人型にしてみたのだ。
魔法少女なのは、私の趣味だ。いいだろう?
あ、元々持ってた特徴――お前の場合なら、夜目がきくとかはそのままだ。空も飛べるぞ』
「…………どうせなら、特撮のヒーローにしてくれればよかったのに」
楓太はぼやいた。
最近の特撮ヒーローは頭からフルーツを被ったり、タイヤをタスキ掛けしてたりするが、魔法少女よりはマシだと楓太は思った。
『まぁ、そう気を落とすな。とりあえず、説明は以上だ。必要があれば、また連絡する』
声は一方的にそう言って、会話を終わらせた。楓太が呼びかけても、もう声は答えなかった。
こうして、楓太は種の存続を賭けた戦場へと駆り出されたのだった。
物書きちゃんねる(現在閉鎖)の三題噺に投稿した物。
絶対に人間のAV男優だしてやるものか、という謎の決意のもとこうなりました。
戦闘シーンは入れようか悩んで、長くなりそうなのでやめました。
何も始まらない。