魔法使いの弟子
お題:魔法
北の森には、ミイラ姿の魔法使いが居ます。
私はその一番弟子であり、住み込みで教えを乞うていて、今日も熱心に勉強中。
今日は、魔法で暖炉に火を点けるという課題に取り組んでおります。
ちなみに今は真冬。早朝だと氷点下何度、とかいっちゃうような季節です。
ばっちり防寒してますが、それでも寒いです。
「エリカ、早くしないと死んでしまうよ」
師匠が他人事のように、優雅に本を読みながら言いました。
師匠は寒さを感じませんから、実際他人事でしょう。……ずるい。
「分かってますよ。ええっと、火を点ける指示を出して、どの範囲を燃やすか指示して、火力の指示も出さなきゃ……。
暖炉の火って何度ぐらいだろう。ああ、そうだ。燃えている時間も必要かな」
呟きながら、紙にメモしていきます。
このメモを基に別の紙に呪文を書き、対価として精霊達に魔力を払えば魔法は発動します。
私みたいに手順を書かなくても呪文を書けちゃう人は居ますが、私には無理です。
呪文というのは、一文字でも間違えれば全く違う効果になったり、発動しないことすらありますから。
複雑になればなるほど、先に手順をまとめる作業が必要になります。
「もう課題内容変えません? 私、凍死してしまいます」
私は、師匠に提案してみます。
「私の仲間をを作るんでしょう。初歩魔法ですよ。
昼ぐらいまでは頑張ってみなさい。それでも駄目なら、私が代わりに点けてあげますから。今日は」
明日も同じ課題やらせるつもりですね。師匠。
「師匠の呪文をそのまま教えてくれれば、目標達成なのに」
私は頬を膨らませながら、師匠を軽く睨みました。
包帯で人の形を作り、人のように思考し、人と同じように自立して行動するよう呪文を構成した魔法を。
それが、私の師匠の正体。
私が憧れ、いつか自分も構成してみたいと思った、奇跡のような魔法。
「ところで、師匠を動かす魔力ってどこから供給されてるんですか?」
「ん? 私の周囲の人間とか、自然とかから勝手に借りてるよ」
「へー。って、被害者主に私じゃないですか! どうりで弟子入りしてからやたら疲れると思いましたよ!」
小説が書けない.com(現在閉鎖)で、
「恩返し」、「魔法」、「海」
の中から少なくとも一つお題を選び、掌編を投稿するという企画がありました。
その中から、「魔法」を選択した作品です。
珍しく一人称で書きました。