十九、暁の禍
・・・あれ?
なんで・・・?
体が・・・
頭が・・・痛い・・・
どうして・・・
誰か・・・助けて・・・!
「裕美ちゃん?!どうした?どこか痛むのか?!」
お義兄さんが、慌ててナースコールをしているのが聞こえる。
おかしいな・・・さっきまでは、気持ち良く寝てたのに・・・
「大丈夫か?!・・・僕が分かるか?」
「・・・ぉ・・・にぃさ・・・」
「辰郎や雪菜にも連絡させてる。お母さんや琉輝もすぐに来るから。がんばれ!!」
なんでだろう・・・
私、知ってる
この苦しさを・・・経験したことがある。
いつだったっけ・・・?
体はこんなに苦しいのに、頭の中は、何故だか冷静だった。
「裕美!!」
あ・・・母さん・・・来てくれたんだ・・・
でも・・・ごめんね・・・
たぶん、私・・・
この苦しみは・・・前世で味わったものだ。
前世の・・・最期のときに・・・
また・・・こんなに早いなんて・・・
いいの?このままで・・・
まだ・・・私・・・
よくない。
まだ、私・・・会ってない。
『会いたいと思っていれば、絶対に会える。』
・・・お祖父様・・・ホント・・・?
「ぁ・・・・・・ぃ・・・」
「裕美ちゃん?!」
「あ・・・いた・・・い・・・!」
「・・・・・・・・・由美香?」
「えい・・・たつ、さま・・・。たつ・・・ろ・・・さん・・・!」
「!」
ねぇ、お祖父様・・・
ううん。
お義兄さん、教えてくれる?
私の大切な人は・・・どこにいますか?
「・・・篠原さん、琉輝は?」
「え?!」
「琉輝は、どこにいますか?」
「・・・看護婦さんと、談話室に・・・」
「連れてきます。」
「え・・・ちょっと、あなた・・・!あんな小さい子に、母親が苦しんでる姿を見せるつもり?!」
「必要なことです。」
「ちょっと・・・!」
琉輝を・・・?
お義兄さん・・・どういう・・・
「裕美、先生もうすぐ来るから、頑張るのよ。」
時間としては、すごく短い時間だったんだと思う。
けど、今の私には、すごく長い時間に思えた。
「由美香!」
お義兄さんが、琉輝を抱いて入ってきた。
後ろに、先生も続いてきた。
「先生、裕美は・・・?」
「これは・・・」
先生も、原因がわからなくておたおたしている。
・・・当直医の、研修生かなんかかも?
「ほら、りゅう・・・」
「・・・かぁさん?・・・どうしたの・・・?」
目を擦る琉輝は、眠そう。
そうだよね、まだ、朝早いし・・・
「りゅう・・・ちゃ・・・」
「かぁさん?・・・・・・くるしーの?」
「・・・ぅん・・・とっても・・・」
この息苦しさよりも・・・
このまま、死んでしまうんだろうってことが、一番苦しい。
「・・・・・・」
琉輝の表情が固まった。
・・・やっぱり、まだ・・・早かったかな?
「死」というものを理解しろなんて・・・
難しいよね・・・
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