表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/23

十八、見つけた・・・!

「じゃあ、君のお母さんを呼んでこようかな。」

「あ。あの・・・」

「・・・どうかしたかな?」



あの時・・・聞こえた声・・・

あれは・・・

夢とごちゃごちゃしてたけど・・・

あの声は・・・



「お義兄さん・・・」

「何かな?」

「・・・・・・桜海(おうみ)の姓は・・・御存じですか?」



あの声は、確かに・・・お義兄さんだった。

そして・・・あの声は確かに・・・

私を、「ゆみか」と読んだ。



「・・・・・・おうみ・・・?」


お義兄さんは、足を止めて私を私の目を見た。


「・・・・・・。」

「・・・・・・字は?」

「・・・さくら・・・桜の・・・海。」

「・・・・・・驚いた。由美香は、覚えているんだ?」


見つけた・・・!

前世の記憶を、共有する人・・・!



「お義兄さんは・・・誰なんですか?」

「・・・桜海道鷹(みちたか)。」

「おうみ・・・みちたか・・・?」

「志保沢由美香、君の・・・祖父だよ。」

「お祖父様・・・・・・?」


ついさっき・・・夢に見た・・・?



「・・・期待はずれだったかな?」

「え・・・いえ、そんなことは・・・・・・」


無い、とは言いきれないけど。

でも、お祖父様でも・・・会えたことだけでうれしい・・・!



「あ・・・でも。・・・だから、赤ちゃんを抱き慣れてたんですね?」

「あぁ・・・実子三人に、孫も七人もいたからね、〈僕〉は。」

「かなり、慣れてましたもんね。」

「・・・僕も、驚いたんだよ。君に記憶があったことに。・・・」

「そうなんですか・・・?」

「 あぁ。・・・雪菜も・・・、辰郎も、覚えてなかったから・・・」



・・・・・・え?

今・・・なんて・・・



「あ・・・あの・・・今・・・」

「ん?・・・あぁ、これは知らなかったのか。じゃあ・・・これも、また・・・話さないとな。」


え?またって・・・


「別に、僕は今からでもいいんだけどね。・・・君は、寝たほうがいい。」


でも・・・


「大丈夫。明日、教えてあげるから。・・・明日は、術後の検査があるしね。辰郎と雪菜も、明日のお昼までには来る。」

「あし・・・た・・・?」



話を聞きたいのに、気持ちに反して眠気が襲ってくる。


「ほら。やっぱり眠そうだ。疲れてるんだから、もう寝ないと。」

「で・・・も・・・」

「無理をすると、ケガに響くよ。命に別状は無いとはいえ、腕は十針以上縫ったんだから。」


・・・そうなんだ・・・だから、腕が少し、痛かったんだ・・・

でも・・・


「おに・・・ぃさ・・・ん・・・は?」

「しばらくここにいるよ。心配しなくていい。徹夜は慣れてる。・・・・・・それに、義妹に・・・前世の大切な孫娘に、手を出したりもしないよ。」


お義兄さんは、そう言って、お茶目に笑った。



「ぉゃ・・・」

すみなさい。


全部言えないうちに、私は眠りに落ちた。


「いい夢を・・・由美香。」


.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ