十五、めぐり逢い
二人がまた公園の中に駆けて戻っていくのを見送って、私も琉輝のところへ戻ろうとして、
「ねぇ。」
一つの声に引き止められた。
「あなたは・・・」
さっき、しゅうくんを追って最後に来た男の子・・・
「どうしたの?」
「ゆうかちゃんはね、ゆうかなんだよ。」
「そ、そうね・・・」
何が言いたいの?この子。
「しゅうは、しゅうやなの。」
・・・しゅうくんは、しゅうやって名前なんだ?
「えっと・・・おばさん、もういいかな?」
いまさらかもしれないけど、琉輝から目を離すのは、やっぱりまだ怖い。
「かぁさーん?アリさんー、いっぱいー!!」
「あ。あの子も呼んでるし、行くね。」
私は男の子に背を向ける。
悪いけど、何かあったら大変だし・・・
「おばさん、ゆみかとおなじ。」
え・・・?
今、この子・・・なんて・・・
私は、恐る恐る振り返る。
「今・・・同じって・・・一体・・・?」
「おーい、はやくー」
「おいてっちゃうよー?」
この子を、先に行った二人が呼ぶ。
「じゃあ、バイバイ!」
「ちょっと、待って・・・!あなたは・・・誰なの?」
「バイバーイ、ゆみかー」
男の子は、走っていってしまった。
私は、驚きのあまり・・・追うこともできなかった。
あの子・・・「ゆみか」って・・・
まさか、由美香のこと?
なら、もしかして・・・先に言ってたのは、
「優花ちゃんはね、夕香なんだよ。」
だったの?
それより・・・
なんで、知ってるの?
「かぁさん?どぉしたの?」
いつの間にか、琉輝は私の横に戻ってきていた。
「あ。ごめんねー、お買い物、行こうか。」
「うん!」
ホントに、あの子はなんだったの?
なんで私が由美香だと知ってるの?
〈私〉を「由美香」と呼び、夕香姉様を「夕香」と呼ぶのは・・・〈私〉の父様か・・・兄様くらいしか・・・
「かぁさん?」
琉輝の声に、考えを中断して目を向ける。
瞬間、目の前にまで何かが迫ってきていた。
私は、とっさに琉輝を抱き締めることしかできなかった。
目の前が、赤に染まった。
.
わかりにくかったらすみません。
とりあえず、歩道を歩いていたら、ものすごい勢いでぶつかってくるものがあって、裕美は気を失ってしまいました・・・ということだけ伝われば。
あとがきでこんなこと書いててすみません。一人称って難しい・・・精進します。




