表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

王女ジェンマと傭兵部隊

闇夜、王女は外を眺める

(よりによって子供を出産し死んでそのまま娘に転生するなんて)

王女の魂は死んだ王妃メリルなのだ

(陛下に会いたく無い)

しかし父娘だから無理であるのだが、王女は周りを見る

王女の寝室なのに硬いベッドに高さの合わないテーブル、衣類も最低限しかない

(陛下は再婚し王子が産まれ大切にしてるのね、お飾り王妃の娘を捨てて)

王女は立ち上がる

(なら、王女が消えても何も問題無い)

王女は一番地味な服を着て最低限の金を掴み王女宮から出る

使用人達は酒を飲んで騒いでるからバレやしないだろうけど王宮から出てどこへ?

(実家に行ってもメリルの娘だから塩対応だろう、ならず者が集まる傭兵部隊が適切だろう、王室のならず者なんだから自分は)

王女はそう考え傭兵部隊の溜まり場へ向かう事にした。


朝方男が庭に出ると犬に寄りかかり眠る子供が居た。

「子供がなんでここにいんだよ」

男は子供に近寄り子供を見る

まだ幼いが体が傷だらけで顔色も悪いと察し命の心配になる

男は子供を抱き上げて中へ入る

仲間は幼子を見てベッドを用意し医師を呼びに行く

虐待を受けた体で弱く熱が下がらない、医師が来て診察する

「かなり衰弱してる、安静と食事をきちんと取らせなさい、栄養剤だ」

「わかったありがとう」


痛みから寝覚め体を起こす

ベッドから起きて部屋から出ると女が居た

「起きたね」

王女は頷く

食堂へ連れて行き食事をさせる

「名前は?」

「しらない、誰も自分を呼ばないから」

自分として寝覚めたのは昨夜、それ以前の記憶が無い、即ち名前など知らないのだ

自分の名前を知らない娘

「どうしてここに」

「ならず者だから」

ならず者

まだ幼い娘が何故ならず者なのだ、この子供の親は何をしている

冷たい瞳に全て諦めた娘


グリオンは執務を行う

最近は忙しくジェンマに会えてない、グリオンはジェンマを心配して騎士を王女宮へ行かせた

騎士が向かうと王女宮は荒れていて使用人達は慌てて王女を捜していた。


王女は食事を貰い、兵士としてトレーニングを行う

傭兵部隊はそんな彼女を見守る

自分をならず者と言う娘

その時騎士が現れ王女と口論する

「王女様何故このような場所に王女宮へお戻りください」

「嫌よ!戻らないあんな場所よりここで平民として暮らす方が幸せよ!」


しかし王女は連れ戻され、使用人達は騎士の前で泣き王女に抱きつき、中へ入るなり物のように引っ張って閉じ込めた

「お飾り王妃の娘が迷惑かけるんじゃ無いわよ!」

騎士はグリオンに王女の事を報告する

「王女様は王宮から飛び出して傭兵部隊に居ました、すぐに連れ戻しましたが」

「傭兵部隊に王女は何故」

「わかりません」

グリオンはジェンマが心配でならない

騎士は何故王女の地位より平民の地位が幸せと叫ぶのか解らない


夜中王女はまた抜け出し傭兵部隊に向かう

傷だらけの姿で彼らはすぐ手当てと食事をさせて休ませる

彼らは彼女の家に問題があると理解する


騎士は苛立つ

王女がまた王宮から抜け出したと言うのだ

騎士は何故王女が抜け出すか理解出来ない、王宮が安全と言うのにだ、平民、まして傭兵部隊を求めるのか

騎士が付くと傭兵部隊が立ちはだかる

(此奴らに王女様とバレてはならない、大体王女様が逃げ出さなければいいものを)

「お嬢様のお迎えに」

「断る」

一人の男が言う

「何故です!」

男が騎士を見る

「なぁ、あの嬢ちゃん四才だろう?

なのにあの嬢ちゃん、自分の名前を知らないし、誰も呼ばれなかった、自分はならず者と言う娘だ、こんな放置する親に返す訳無いだろう!」

男の口調が後半怒鳴り声になる

騎士は男の言葉が理解出来なかった

(王女様が自分の名前を知らない?

王女様自身がならず者と口にした?

そんなバカな、陛下は王女様を大切にしてる、しかし王女様は陛下の事を誤解してる)


騎士は王女を連れ帰らせると騎士団長に相談する

「王女様が王女の地位よりも平民が幸せと言い、自分の名前を知らずならず者と思い込んでると」

団長が聞く

「はい」

騎士が答える

「マルクルス、王女様の護衛降りろ」

「え?」

マルクルスは理解出来なかった

陛下に言われ王女様の護衛になり、王女様の逃走を止めてただけなのに、護衛を降りろとは

「何故です私は「メリル王妃様」」

団長は静かにマルクルスを諌めるように口にする

陛下が唯一愛した令嬢にして王妃様

「王妃様は陛下に愛された方だったが、王妃様は陛下の愛を信じられず、形だけの王妃として殺された、何故か解るか?

今の王女様は亡き王妃様と同じ状況だ」

亡き王妃様と同じ状況

「王女様を見てないお前に王女様を任せたら王女様もいずれ王妃様のように殺される」

王女様が亡くなれば後継者がいなくなる

陛下も再婚する気がないし、側室も居ない、もし王女様が亡くなれば陛下も自害する可能性もある


団長オーウェンは自ら王女様の護衛に名乗り出た

「王女様の護衛をやらせてください」

グリオンはオーウェンを見る

「マルクルスは」

「彼は優秀でありますが王女様の護衛には不向きでありますので降ろしました」

「そうか」

オーウェンは王女宮を見る

庭も宮も荒れて使用人達は仕事せずに飲み潰れてる

(これが幸せだと、あのバカは何を見ていた)

オーウェンは頭を抱え王女を捜す

(見つけた)

薄暗い部屋にベッドに横たわる王女

食事も最低限食べられてないだろう

オーウェンは怒り使用人達を怒鳴り牢屋へ連れて行く

オーウェンの行動にグリオンとマルクルスが来る

オーウェンに抱えられた幼い王女

オーウェンはグリオンの目の前にも関わらずマルクルスを殴る

「これが幸せの姿か!貴様は王女様の何を見て幸せと言う!」

傷だらけで弱々しい王女の姿

グリオンがジェンマを抱いて泣き出す

王妃メリルの時と丸っきり同じ状況なのだ

使用人達は地位を奪い王族を侮辱した事で生涯牢獄の生活になる


ジェンマはグリオンの寝室で深い眠りに落ち、グリオンはジェンマから離れようとしない

マルクルスは王女の姿を見て自分が王女様を見てなかった事を理解し騎士を辞めた



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ