『師頼、成通の揶揄に独言し速記競技会の責任者を務め終えること』速記談2082
源師頼卿は、長い間、朝廷の役職に就いていなかったが、久しくして中納言に任ぜられ、宮中で春と秋に行われる速記競技会の責任者を務めることになった。競技会の当日、進行の段取りにたびたび疑問を呈し、そのたびに周囲の者や先任の責任者に尋ねる姿が見られた。それを見た藤原成通卿が、長い間官職から離れると、形式どおりの段取りすらお忘れになるのですね、と嫌味を言った。師頼卿は、言い返すのではなく、ひとり言で、わかっていても手落ちがないようにいちいち確認するのが正しい、速記の心にも通じるのに、と言った。成通卿は何も言えなくなり、後日、速記の心など知らず、とんでもないことを言ってしまった、悔やんでも悔やみきれない、と言ったという。
教訓:物の道理がわからない者は、余計なことを言うものであるが、おくれて理解することも後悔することもないやからと比べれば、まだましである。