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第1話

捜査第一課に来てから6年目になった伊坂が昼休憩を取り始めたころ。


伊坂の目には2徹を物語る大きな隈が広がっていた。先程、2ヵ月前から伊坂班主体での捜査が続いていた殺害事件がやっと終幕を迎えたのだ。




「伊坂先輩。これ知ってます? 」




伊坂がコンビニで買ったサンドイッチを食べていると後輩の佐々木がSNS上に挙げられた1つの投稿を見せてきた。




【 僕は、10年前人を殺しました。そして2度目の殺人をします。そんな僕を誰か愛してくれますか】




投稿は初期アイコンの黒鴉を名乗る男のようだった。


嘘くさい内容の投稿はすでに100万回以上見られておりバズりにバズっていた。コメント欄は、嘘くさ(笑)。デジタルタトゥー乙wwwと捨て垢であろう人たちであふれかえっている。


伊坂は大きなため息を一度すると佐々木に向かって言った。




「佐々木。そんなことに注目していたら事件の手柄上げられないわよ」


「先輩、嘘だと思うじゃないですか。特命の同期が言うにはこの投稿日の十二年前に一件だけ殺人事件起こってるんですよ。先輩なら知ってると思いますけど」




12年前…の7月11日。




「もしかして新城財閥長女殺人事件のこと言ってる? 」


「さすが先輩!! その事件との関連性があるんじゃないかって言われてて。少年Aはもう既に出所してますし」




新城財閥長女殺人事件は、当時16歳の被害者である新城ひとみが同級生で恋人だった少年Aによって殺された事件である。少年Aはある日、ひとみの家から2㎞離れた廃工場内でひとみに「殺してほしい。」と言われ扼殺。少年A自ら警察に通報し現行犯逮捕された。現場にはひとみの遺書らしきものが見つかったため少年Aは嘱託殺人罪として、3年の少年院送致と判決が下された。だが、遺族側が判決に異議を申し立てたことで話題を呼んだ。


また少年Aは刑事だった伊坂の両親が殉職前、最後に逮捕した被疑者だった。




「確かにあの事件は当時すごく話題にもなったからわかるけどたまたまであって関連性は低いんじゃないの? 」


「そうですかね。やっぱ関連性はゼロかぁ 」


「ごえらいさんだったからほんとはお金目当てで少年Aが意思を無視して殺したんじゃないかってデマも流れたし結構終わりがひどい事件だと思うよ 」




佐々木はまだ納得がいかないのか不服そうな顔をして伸びきったカップラーメンを口に運んだ。机には事件の資料と監視カメラ映像が残ったDVDが散乱している。伊坂も、呼び出しに備えて急いで報告書の記入を始めた。


まだ、この時伊坂は黒鴉と新城財閥長女殺人事件の関連性を気にもしていなかった。

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