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黒衣の角刈り男  作者: XX
3/14

第3話:王子様の魔法

専業主婦の概念が乱れる!

「旦那が家事をしてくれません」


 そんなことを掲示板に書き込んだら


『どうせお前専業主婦だろ』


『まーた湧いた』


『お前みたいなのが女の地位を下げるんだ』


 怒涛のように、そんなレスがついた。


 悔しかった。


 ……専業主婦が旦那に家事を求めることのどこが悪いのよ!


 私は玄関ドアを見つめた。


 あのドアの外。

 旦那は今は会社で仕事中だ。

 旦那は一応一流企業の社員だが、年収はギリギリ1000万円に届かない。


 私は結婚相手を間違えた。

 専業主婦をさせて貰えると思ったのに。


 一戸建ても建てないで、4LDK程度の狭いマンション住まいで甘んじている。

 情けない。


 おまけに家事のひとつもしない。

 クズだ!


 で、さらに私の身体まで求めてくる。

 私は子供を産む気が無かったから拒否したら


「別に拒否しても良いけど、セックスの拒否は離婚の理由になるの知らないの?」


 そんなことを言われたので、自分で調べたらどうも本当のようで。


 その後、泣く泣く抱かれた。

 離婚されたら私は路頭に迷うの目に見えているから。


 こんなの、まるで売春婦じゃん!


 この国は女に厳しすぎる。


 そう思ったから掲示板に書き込んだら


『はぁ? 頭湧いてんの?』


『根拠を示せ』


『お前が悪いんじゃねえかwwww』


 ……誰も同情してくれない。


 悔しかった。


 あまりにも悔しくて 

 空想してしまった。


 私が理想としていた結婚生活を。


 私は一切何も仕事しなくても良くて。

 お城のように広い家に住み。

 お金は自由に使えて。

 私は日々、ドラマを見てゲームをして過ごすの。


 それが、私の理想の生活。


 空想の中で生き、空想を日記に書いた。


 そしたら、ある日。

 夢の中で、私は男の人に出会った。


 それは角刈りで、黒の全身タイツ。

 亀の甲羅のアーマーを背中に背負い、スニーカー。


 そんな姿の若い男性。


 彼は私の夢に現れて、私の不幸を黙って聞いてくれた。

 そして私を抱きしめて、こう言ってくれたんだ。


「近いうちに、キミのことを全て肯定してくれる王子様が必ず現れるよ」


 ……目が覚めたとき。

 私は泣いていた。


 夢だったのか。

 でも……なんだか予感があったんだ。




『気の毒です。あなたのことを助けてあげたい』


 ……すると。

 次の日に掲示板に返信があったんだ。

 私のことに同情してくれる人から。


 一瞬目を疑った。

 この掲示板にいるのは、共感性も優しい心も一片も無い男尊女卑の悪魔ばかりのはずだったから。


 だけど


 近いうちに、キミのことを全て肯定してくれる王子様が必ず現れるよ!


 この夢のお告げがあったから


『離婚しましょう。慰謝料なら私が肩代わりしてあげます』


『あなたは幸せになるべきだ』


 その人の、とても優しい言葉を私は受け入れた。

 私の、理想の王子様……




 そして私は離婚した。


 元旦那は「慰謝料を取る」って息巻いていたけど。

 彼が「どうぞ」と平然と言ったのをみて、悔しそうな顔をした。


 ざまあみろ。


 ……掲示板の彼は、20代のイケメンで。

 複数の企業経営をしている富裕層だった。


 ……神様は私を見てくれていた。


 理想の生活が始まった。


 私の新居はタワマンの最上階で、家事は一切しなくて良くて。

 お手伝いさんが複数いた。


 素敵……。


 お金も自由に使えて、欲しいものは何でも買えた。


 そして好きなことをし続けて。

 2カ月が経過した。


 ……ふと、真夜中に目が覚めた。

 連日ご馳走を食べ、好きなことだけをやり続けたせいで。


 ……だいぶぽっちゃりしてしまった。

 体重3桁に到達してしまったせいで、私の胸がHカップになった。

 ますますセクシーになってしまった。


 ……お腹、空いたな……。


 寝床から重い身体を鞭打って這い出し、台所に向かう。

 多分冷蔵庫にアイスクリームが入ってるはず。


 そして、冷蔵庫のあるキッチンに向かっているとき。


 その前にリビングの前を通るのだけど。

 そこで話し声が聞こえて来た。


「そろそろ食べごろですよね」


 ……今の旦那の声だった。


 何が?

 思わず聞き耳を立ててしまった。


 声はこう、続いていく。


「あの食肉女、良い感じで仕上がってますし、そろそろですよ……3日後くらい?」


「次くらいが食べごろですよね。最高級の赤ワインを次、持ってきますよ」


 複数の男たちの会話。

 ……話が見えない。


「ねぇ、あなた。何の話をしているの?」


 私は話が見えなかったので、リビングに顔を出した。

 そこには今の旦那の他に2人の男が居て。


 私を見て、とても嬉しそうに微笑んだ。

 涎を垂らしそうなくらいに。

究極の愛って何?

それは2人がひとつになること

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませ頂きました。エピソード3まで読みました。黒衣の角刈り男が様々な人間に、アドバイス?おまじない?などを伝え、初めは上手く事が進み、そして最後は最悪な結末を迎える。読んでいてまるで世にも…
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