基盤Ⅷ ニート3
みなさんこんにちは。エルナです。
今回はですね、私の1日を見せていきたいと思います。
そもそも何で私はここにいるのか?って?
それについてお答えしましょう。
ある日の私は借金の期限を明日に迫られ絶対絶命のピンチに陥りましたのです。
と、ちょうどその時彼が私に話しかけてくれたのです。
なんでも、彼は狩人として登録するために〝人〟が欲しかったのです。狩人に登録するために必要なのは二人以上のパーティー。ぼっちな彼は私しか頼れなかったのですね(笑)
私は二つ返事で了承しました。彼が提示した報酬は私の借金を丁度帳消しにできる額だったのです。
……ええ、そうです。確かに彼はある程度の金は持ってました……。しかし彼は私に約束の報酬を支払うことを何度も何度も先延ばしにしたのです!
その結果、期日までに間に合わない上、有り金全てを使ってしまうという大失態。
だから今もこうして隠れて生活しているのです。見つかったら何されるか分かりませんからね。
つまり!私の借金を払い終えるまで、私はここに居候するのです!
養われる生活サイコー!
じゃあ本編いきましょうか。私の一日です。
朝6:00……まだ多くの人々が眠っているような時間帯(主にニート)彼は勤勉に働くため起きるのです。
ちなみに未だ寝場所は床の上。最初のうちは床が硬くて眠れませんでしたがもう慣れました。
いやー慣れって恐ろしいですよね。
彼はむくっと起き上がるとそのまま横で寝ている私を踏みつけたのです!
私は悲鳴をあげましたね……
「ふぎゃっっ!」
彼は一瞬不安そうな顔で心配してくれましたが、数秒後には「まぁいっか。ニートだし」とでも言いたげな顔でスルーするのですよ!?許されませんよ!ホント!
その後彼は朝ごはんも食べずに家を出ます。
そこからは私の世界の始まりです!
たった一人で同じ漫画を繰り返し読むのです!
最初の頃の何もない生活よりかは断然マシですからね。
外出もできない私はそこから彼が帰ってくるまでひたすら漫画を繰り返し読むのです。
おしまい
(内容薄っ!)
△▼△▼△▼△
かーん!
かーん!
金属が岩に打ち付けられる音。その音がこもって洞窟内に響く。
俺が今いるのは巨大な炭鉱内。
俺が数日前から働いているここは、城郭都市アルカトラズの地下に広がる巨大な採掘場だ。
なんでもここは〝魔鉱石〟が大量に取れることでちょっとだけ有名らしい。
魔鉱石ーー言わなくてもなんとなくわかるだろうが、この世界にある九つの属性、『火』『水』『風』『雷』『土』『氷』『陰』『陽』『無』のどれかが凝縮されて石のことだ。
この炭鉱は〝火〟の魔鉱石が取れる。火は利便性が高い。
叩けば火を吹き、擦ると熱を発する。魔術が使えない一般人が調理の時や暖房器具の代わりなどに重宝しているものである。
だが残念なことに需要に対して供給が限界突破しているので、ここで採掘されている魔鉱石が特産というわけではない。
そんな説明口調を終え、俺はただひたすらにツルハシを振る。砕くべき目の前の岩石を睨みつけて。
やがてどこからともなく、チャイムの音が鳴り響く。
いつかの学校時代が思い出される。
やめてくれチャイム。その音は俺に効く。
「よぉ〜ヒラン。お疲れ〜」
「あ、ガウス先輩お疲れ様です。ここで昼飯ですか?」
「おおそうだよ。…ってか、前も言ったじゃん俺のことは〝ガウス〟でいいって」
俺が手を止めたタイミングで話しかけてきたのはこの採掘場の先輩だ。
配属された部署のリーダー的存在で俺もよくお世話になっている。
「いやいやいや……流石に先輩を呼び捨てにするのは俺が許しませんよ。ここはガウス先輩で…!」
「いやいやいやいやいや!親しくなるのもまず名前から!だから……!」
「いやいやいやいやいや……!」
「いやいやいやいやいや……!」
……
押し問答は数十分続いた。
結局折衷案で〝さん〟づけとなった。
「んでヒラン。おめぇ飯くわねぇのか?」
俺が弁当を出さないのを不審に思ったのかガウスさんは俺にそう聞いてきた。
「あはは、実は弁当家に忘れてまして……」
「それはいけんな。肉体労働の職場だぞ?体調は自分で管理しなあかん」
「すいません……」
うそだ。本当は敢えて持ってきてない。というか作ってすらない。
理由としてお金がまずあがるが、他にもあるのだ。
あのリステリアの朝飯を食ったあたりか……。食べようという気が起きないのだ。なのに体は常に健康……。ってか飯を食ってた頃よりも健康かもしれない。
どうなってんだ?俺の体。
そんなことを考えているとまたチャイムがなった。どうやら作業再開らしい。
「うしっ、行くか」
「そうですね」
そう言って俺とガウスさんは立ち上がる。
ーーと、その時
「……ん?」
俺はふと背中に何かがついてる感覚を感じた。とってみると小さな岩の粒だ。
「粒……?」
そう呟いた瞬間、はち切れた。
天井の岩がどっと崩れたのだ。まるで一週間溜め込んだ糞のように堰を切って流れ込んできた。
もちろんだがその真下にいる俺たちに降りかかる。
「「うわわああああーーーー!!」」
降り注ぐ。
△▼△▼△▼△
私は今夢を見ているのでしょうか?
私の目の前の床には大金が堆く積まれているのです。ざっと見たところ5,000ゴールドはあるでしょうか………
私はたまらず呟いた。
「ああ、ついに強盗にまで手を染めてしまいましたか…。無能扱いで職場をクビになったからといってそんなこと……」
「ちげぇよ」
強盗もしてないし、クビになってねぇと言う彼。じゃあ一体この金はなんなんでしょう?
「この金はな、あー……言うならば人助けの報奨金だ」
「報奨金」
「ああ。俺の働いてる職場でな、落盤事故があったんだよ。それで近くにいた先輩を身を挺して庇って俺が助けたらしいんだ」
と、なぜか自信なさげにいう彼。人助けをしたんですからもっと誇っていいでしょうに。
そのことを言うと、
「実は俺はその時何が起きたか分かってないんだ。落盤する直前の記憶はあるんだが……気がついたら岩石と岩石の隙間に挟まってたんだ」
「へぇ〜そうなんですね」
「興味ねぇだろお前」
興味ないとは失礼な。私だって興味はありますyp。目の前の金の使い道とかね!
「じゃあ早速!この金で焼肉いきましょう!」
「あほちん。この金はお前にやるんだ。これでさっさと借金返して家に帰んな」
え?今なんて?これで借金返せる……ですって?
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
「!?いきなりなんだ!?お前も嬉しいだろ?借金返せて」
「まぁ確かに嬉しいですけど!そうじゃないんです!養われ足りないんです!」
「……は?」
わたの悲痛な叫びを彼はぽかんとした顔で聞いている。
つまり、だ
「私は!養われる快感を学んだんです!貴方が働いて金稼いで!その金でごはん食って寝て……!そんな生活が私にはとても素晴らしいモノだったんです!」
私の話を聞いてようやく意味がわかったようだ。
「知るかーー!!ニートの話なんて!
と に か く!これで借金返せれるから俺とお前の縁もそこまでだ!」
「なんてことを言うんです!?
養うなら最後まで養ってください!責任とってくださいよ!」
わーぎゃーと深夜遅くまで騒いだ結果、一階からお叱りを受けてしまった。