表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Notitle癖  作者: 碧郎
9/37

No title信任に基づく君人称

 常々、自分があと15人いれば世界は上手く回るのに、と思っていると私は本当に分裂し16人になった。


 それからの人生はイージーだった。

 私は曜日ごとに担当を決め、7人を日常生活に、残り8人を非日常に放り込んだ。一日交代で日常を生き抜く7人とは別に、世界各地で8人が様々な人生経験を積んでいる。

 私は監督だ。毎日25時の夢の中で私たち16人の記憶が統合されるので、私は適当に街をブラつき、その日ぐっすり眠るだけで、大学の授業もブラジルのコーヒーの味も味わえる。役得だった。


 しかし、そんな日々も長くは続かない。何の因果か、滅びゆく世界で私達16人だけが生き残ってしまったのだ。兄だって死んでしまった。

 私は割と地球が好きだし、このまま滅亡するのは悔しいので、縄文時代から文明をやり直すことを決意する。


 やがて私暦3年程で私のコピーでしかなかった15人に個性が出てきた。生物が生き残るコツは多様性だったのだ。

 子孫のなかから私より私らしい個体も誕生し、私は『私』の座を降りる。ここ数百年で随分擦れたし、色んなものを諦め過ぎて、私はかつての『私』では最早在れなくなっていた。


 『私』の席を追いやられた私は、いつの間にか『兄』になっていた。『私』らしい妹を見つめながら、ああ、兄はいつもこんな気持ちで私を見ていたのかと、寂しいながらも、やはりそこはかとなく役得な気持ちで、生きて、死んで、生きて、死に死に、生きて。

「縄文時代なら俺はモテてた」

「あはは! まさか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ