No title2022/03/07兄食ってハイYEAH
兄はとても贅沢な嗜好品だ。血は舌が蕩ける美味しいし、匂いを嗅ぐだけで有り得ないほど安心する。その声は天使が如く神聖で、兄の肉を燃やし、煙を吸えば快楽が脳をじんじんと痺れさせた。しかも、兄には中毒性がある。
兄1人を取り合い容易く戦争が起きた。国は滅び、大陸の3分の2が沈んだ。
兄にはなんてことない顔をしたが、正直なところ、私がいっそ争いの素を殺してしまいたかった。
しかし、そんなことが出来る筈もない。生まれた時から傍にいて、兄の中毒性に私の脳はとっくのとうに侵されているのだ。
兄が死ねば禁断症状が出て私も死ぬ。
兄はとことん麻薬のような人だった。私は今や兄の吐息がないと呼吸も出来ない。兄の汗を舐めさせてもらい、兄が切った爪を集め、兄の匂いが染み付いたタオルに顔を埋めて寝る。
人類なんて殆どが滅んだ。行き着く宛てもない泥舟に乗って、私と兄はそれでも生きている。どうしようもなく生きている。
もっと、とねだれば、兄は笑って左手を差し出した。兄の左手には親指が無かった。私がかつて、骨の髄まで燃やして吸って、身勝手に楽しんだ痕跡だった。
これはもう、食欲なのだろうか。生存欲なのだろうか。何処かに愛さえがあれば救われるのに、見当が付くのは肉欲程度。
終わってる。そう思いながら兄の左手をしゃぶる。
堪えきれない欲で、私は兄の薬指を噛んだ。付け根から噛みちぎるよう、何度も。脳みそを麻薬でじゃぶじゃぶ漬け込みながら、理性を飛ばしても、何度も。贅沢者の、私は。
しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ。




