No title2022/01/30消去法的、運命捏造
修学旅行2日目。迷子になった私は変わったお店を見つけ立ち止まる。
こんな場合じゃないと思いながら入ってみると、そこには大量の公衆電話ボックス擬きが並んでいた。
糸電話みたいだ。公衆電話と言っても、それぞれボックスの壁からは糸が出ていて、糸の先にある受話器も一つ一つ形状が違っている。
ボックスにはネームプレートが下げられていて『運命』と書かれたボックスには赤い毛糸と鉄製のコップ。試しにそこで10円を入れれば、出てきた相手は兄じゃなかった。
誰だお前。もしやバスで隣りの席だったクラスメイト? これが私の運命の相手?
私は激怒した。必ずかの兄を引き当てなければならないと決意した。しかし兄は中々来ない。物欲センサーに妨害されているのか、手当り次第10円を入れてみるが兄は出てこない。
体感ではバスの集合時間をとっくに過ぎている。しかし兄は来ないし、両替機もお金もまだあるので私は止め時が分からない。残す糸電話はあと数個だが、それの何れが兄に繋がるのかどうかもよく分からなかった。
願掛けに、私は最後の1つを残して、全ての糸電話の糸を切った。
切った全ての糸電話はもう使えないし、数個のまだ使用していない糸電話は誰に繋がっていたのか知ることもできない。切れない糸は結局なかったので、きっとあれらは運命じゃないし血縁でもない。
いざ目の前にした最後の糸は、白くて、鎖のように頑丈で、長く太く、間違っても私1人で切れるような代物ではなかった。
10円を入れる。
「もしもし? あの、お土産なんですが、金銭的に木刀は買えそうになくてですね」
あと迎えに来て欲しいです。|運命や修学旅行運営会社と《兄以外》との縁が切れてしまったので。




