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婚約破棄っ、オムニバス

ふふっ、攻性強制溺愛モードですよ〜。

アフロにするかディーテにするか迷いました。

気になる方はディーテでどうぞ 

「アフロディーテ、ラブアンドピース侯爵令嬢、あなたとの婚約を破棄するっ」

 キマジメー、ムッツリー王太子が大声で言った。

 卒業式のパーティーだ。

 周りの令息や令嬢は、”またはじまった”というような表情を浮かべているのだが。


 キマジメーの視線の先には、

 白い肌。

 ソバージュにした柔らかそうなピンクブロンドの髪。

 エメラルド色の瞳。

 顔だけを出した貞淑、淑女なドレスに身を包んでいる。

 頭一つ分くらい背が小さい。

 

 分厚い生地のドレスの上からでもわかる、厳ついとは表現しがたい柔らかそうな胸部装甲。 

 キュっとくびれた腰。

 座りの良い安〇型の腰つき(尻)。


 美の女神の化身、アフロディーテ侯爵令嬢が立っていた。(以下長いのでアフロと短縮する)


「まあっ」

 キマジメーの視線を正面から受けながらアフロが小首をかしげる。

「ふふっ」

 アフロは、胸、腰、尻と移動したキマジメーの視線に満足気に笑いながら、


 ススススッ

 ピトッ


 キマジメ―の胸にそっと手を当てた。

 アフロは、彼の胸の中から上目つかいに見上げる。

 柔らかい感覚に甘い香り。


「何故婚約破棄なのですか?」


 ウルウルと目を潤ませながらアフロが優しく聞いた。


「くううう」

 バリイ

 キマジメーが両手でアフロを引きはがした。

 大体、公務や用事の時以外はこの距離感であるのだが。


「このままではこの場であなたを押し倒してしまうっ」

「いつもいつもやましい気持ちが抑えられないんだ」

「……僕はあなたにふさわしくない……」

 顔を下に向けた。


「ふう」

 アフロは困った人ねと言わんばかりの視線を送りながら、

「婚約破棄をしてどうするおつもりですか?」


「ZEN寺で修行してくるっ」

「このままではアフロのご両親に顔向けができないっ」

 卒業式のパーティーの中でもやましい気持ちが抑えられないのだっ。


「あら、お父様にお母さま」

 アフロが声を上げた。

 保護者席には椅子に座った男性。

 その膝の上に横向きに座った女性がいた。

 ラブアンドピース侯爵夫妻である。


「はい、あ~ん」

 女性が男性の口にクッキーを差し出した。

「おいしいよっ、マイハニー」


 チュッ


 軽いキスをした。

 溺愛だっ。


「アフロちゃんきたよ~」

「きましたわよ~」

 侯爵夫妻はにこにこと笑っている。


「ずるいですわ、お母さまっ」

「今日はお父様の膝の上は私の番ですわよっ」


 基本、膝の上がラブアンドピーススタイル。


「まあっ、何を言っているの」

「貴方の婚約者はそちらですわよっ」

 夫人が扇子を差し向けた。


「えっ、僕っ」

 侯爵夫妻の溺愛に赤い顔をしていたキマジメ―だ。


「確かにっ、ですわね」

 スッとアフロの目が鋭くなった。


 アフロの、”攻性強制溺愛モード”発動っ。


「セバスッ」


「はっ」

 どこからともなく長身白髪白髭の執事が現れた。


「やっておしまいっ」


「はっ」


「えっ」

 セバスがキマジメ―の後ろに、椅子を置き彼を座らせた。


 ふわりっ


 アフロのソバージュにされたピンクブロンドの髪が、キマジメ―の頬を微かに撫でる。

 アフロはその鍛え抜かれた体術を使って彼の膝の上に座った。


「な、ななななな」


「はい、あ~ん」

 アフロがクッキーをキマジメ―の口に運んだ。

 が、固まって動けない。

 顔が真っ赤である。


「もうっ、仕方のない人ね」


 チュッ


 アフロが唇をついばむようなキスをした。


「あああ~」

 

 鼻血を一筋たらしながらキマジメ―は意識を失った。

 

「まあ、だらしないわね」

「そういってやるな、マイハニー、彼はまだ若いんだ」

「アフロッ、しっかり看病してガッチリ彼のハートをつかむのですよ」


「はいっ、お母さまっ」

 アフロが元気よく言った。


 侯爵夫妻の後ろに、王陛下と王妃殿下が気まずそうな顔で立っている。



 ラブアンドピース侯爵家に密かに王命が下されていた。

 最近王国でパーティーの時に婚約破棄をする貴族が増えているのだ。

 ひどい時では、一度に()()の婚約破棄が起きていた。

 王太子とその側近、取り巻きである。

 この状況を何とかしようと開発されたのが、


 ”攻性強制溺愛術”


 である。


 もともと溺愛する夫婦を多数輩出してきたラブアンドピース家が監修したものだ。


 強制的に殿方をドキドキさせ溺愛状態にしてしまう攻撃性の高い恐ろしいすべである。


 貴族女子が受ける閨教育を日常生活に、発展、拡張、進化、させたたものと考えて欲しい。(キリッ)

 

 本気を出したラブアンドピース家の令嬢に歯向かう術もなく、キマジメ―は十人の子宝に恵まれ幸せに暮らした。


 王太子をテストケースにした、”攻性強制溺愛術”。

 この術が浸透したムッツリー王国の国民の出産(溺愛)率は、他の国に比べ飛びぬけて高い。

 ”政略結婚、何それ美味しいの”と言わんばかりの溺愛率。

 近い将来、その人口の多さに周りの国を席巻するのは別の話である。


 了

婚約破棄と溺愛を同一人物での両立を目指しました。

破棄後追放され、武骨巨漢の辺境伯令息が攻性強制溺愛される姿もよかったかもしれない。

因みにお父様は公務の時もお母さまを膝に上にのせているぞ。

そのままお母様の補助もあり仕事がはかどるのだそうな。

キマジメ―とアフロの未来の姿でもあるのだが。

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