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人生最後のフィナーレ  作者: ニ斜 龍名(にななめ りゅうな)
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 01 ある町の噂


 人は生まれてきたら必ず通る道がある。


 死だ。


 生きている限りこの道からは脱線できず必ず毎日、毎時間、毎秒その時は近ずいてくる。


 いつ終わってしまう道のりかはわからないが、その日、その一瞬はいつか必ずやってくる。


 いつしも終わりより始まりの方が明るくて大切に思える。


 結構な事だが、終わりが暗くて悲しいものと思ってわいけない。


「終わらなけばいいのに」なんて言うものでわない。

 

  

 ◼️◼️が許さないから



 ある町では最近、奇妙な噂話が後をたたない。


 自殺者の人数が他の町に比べ圧倒的に多いという事である。


 その町は高層ビルが多くある割には大きな川があり、踏み切りが多いことから自殺スッポトとしては充分過ぎるが問題はそこではないのだ。


 自殺した者の表情は穏やかに笑みを浮かべていたのだ。


 少なくともここ50年間で発見された遺体は表情を確認できるもの全てが笑顔だったという。 


 このことを不気味に感じたのか「悪災の予兆」といいこの町を出て行く人も多くいる。


 この町には悪魔が住み着いた、と・・・・・・





 ある日、自殺をしようとしていた少年がいた。

 

 遺書も書き終え、人生とこの世の全てを捨てる覚悟ができた少年。


・・・・・・・


 「生まれときから終わっていた人生。


 ただただ植物の様に栄養を取っては、寝るだけの日々。


 毎日毎日同じように永遠かの様に。


 こんな人生なら新しく生まれ変わって人生をやり直すべきだろう。


 自分が生まれてきたのは間違えだ。


 奇跡でもないし運命でもないただの偶然。


 生まれてきた意味がわからない。


 生きていく意味がわからない。


 意味がわからない以前に意味なんてないのだろう。


 考えるのが辛い。


 考えたくもない。


 何もできない。


 この腐れきった人生を終わらせる。」


・・・・・・・・




 しかし、少年は自殺することをやめた。


 生きる意味ができたから。


 普通ならただ怖気付いたのだろうと考える。


 だが、そんな考え方をする者は最終的に誰1人としていなかった。


 自殺しようとしていた少年のことを見ていた者がいたからだ。


 その者は話し始めた。


「俺は確かに見たんだ。


 少年がふらふらと病院の屋上から飛び降りようとした瞬間時が止まったところを


 俺は目を擦りながら少年が宙に浮きなが倒れている姿に目を奪われた。


 どうなっているんだと俺が混乱している間、時間は巻き戻されるように少年が飛び降りる前に戻った。


 それだけじゃない。


 戻った少年はまるで自身に驚くかのように身体中を見て興奮しているようだった。 


 何をするのかと思えば少年は風に乗り屋上(そら)を走り回ったんだ。


 俺はこの病院に来て長いからよく知っている。


 あの少年は心臓と肺に不治の病を抱えていてとても走れる状態ではないことを。


 


 時間を操り、不治の病を癒し、少年のあるべき心を取り戻した。


 雲が移動したかわからないくらい一瞬に。


 こんなことができるのは神ぐらいだ。


 きっと神はこの少年を哀れに思い祝福を与えたのだ。 


 やはり神は存在したんだ。」 





 

 町の者はこの話しを聞き嘘はったりだと唱えた。


 しかし、その意見は一気に裏返る。


 この少年が生まれつき持病を持ち親から捨てられたことは変えられない真実で、そんな状態の少年が周りの子となんら変わらない活気あふれる姿に変貌したこともまた真実なのだ。


 このことに改めて驚いた町の者はその者を「天の魔導師」呼び、必死に探し続けた。


 この町で起こっている謎を唯一解き明かせる希望であり、鍵だったからだ。


 少年は白い髪に赤い目をしたまるで天使のように優しくて綺麗な人だったという。


 「天の魔導師」は未だに見つかっていない。


 もちろん見つかるハズもない。


 彼女に出会える者は死を求めている限られた人間のみだから。


 ・・・・・・

 

 死ぬことを決意した者の前に現れる不思議な世界。


 暗闇でもなければ光で満たされているわけでもない、色彩で表現できない死の世界。


 そこに佇む白髪で真紅の瞳をした死神は体の大きさに余る鎌をもって問いかけてくる。


「あなたは最後をどんな彩りに溢れた(フィナーレ)にしたいのかな」


 名はアレフローティア


 

短いですがこまめに投稿しようと考えています

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