表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

漫才の台本

漫才「旧一万円札」

作者: 沢山書世

漫才15作品目です。どうぞよろしくお願いいたします。

「銀行強盗、うまくいったなあ」

「喜ぶのはまだ早いようだぞ」

「え? なんで?」

「見てみろ、お札が全部聖徳太子だ」

「まじかよ、なんで銀行に旧札が置いてあったんだ?」

「古物商も兼ねてやっているっていうのかねえ、迷惑を掛けやがって」

「戻って新札に交換させようか?」

「だめだ、捕まりに行くようなものだ」

「他の銀行に行って、両替してもらうか?」

「旧札の大量持込みは危険だよ」

「でも、お金には違いないんだぜ」

「量が問題なんだ」

「タンス預金だって言い張ればいいだろう。一か八か、それでやってみようよ」

「そうしたけりゃそうしな。半分持っていっていいからさ」

「半分だけ?」

「お前の取り分だよ」

「もしも没収されたら?」

「イコール逮捕だな」

「お前はどうするんだ?」

「とりあえず、残りの半分を持って逃げるよ」

「ずるいぞ」

「そう思うんだったら、他の方法を考えることだな。銀行のことは忘れろ」

「うーん。旧札でも、使えることは使えるんだよなあ」

「もちろん。だけど、店からは怪しまれる」

「そうだよなあ」

「待てよ、二丁目のおばあちゃんのやっているたばこ屋だったら、大丈夫かもしれないぞ」

「なんで?」

「長く生きているんだから、旧札の方にも馴染みがあるだろうからな」

「なるほど。違和感なく受け取ってくれそうだ」

「あの店にはお前のほうがよく通っていたよな」

「やだよ、俺、せっかくたばこをやめたんだぜ」

「吸わなくていいんだよ」

「これだけあれば相当な数買えるな。持って帰ってこれるかなあ」

「一度に全部は使わなくていいんだ。おつりを貰ってくるのが目的なんだから、一個買ってお釣り受け取る、それの繰り返しだ」

「十億円もあるんだぞ。いったい何回通えばいいんだ?」

「考えない方がいい」

「計算してみようか」

「しないほうがいい。とにかく今はこれでいくしかないんだ、一度試してきてくれ」

「わかった、行ってくるよ」


「ただいまー」

「どうだった?」

「お釣り貰って来たぞ」

「でかした、うまくいったんだな」

「千円、五百円、それと百円、すべて古いお札でくれたよ」


読んでいただき、どうもありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろいですね。旧札、もう忘れちゃった。
2019/08/27 05:28 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ