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知られざる学園の異才  作者: 杉崎ユウ
8/11

赤いスーツの男

「な、なんだよオッサン」


二人は立ち上がりベンチを挟み、赤いスーツの男と向かい合う。


「ふ~む」


赤いスーツの男は二人の発言に反応しない。だが(まばた)き一つせず、視線を()らす事無く二人を見つめる。


「気色わりぃ、帰ろうぜ」

「そうね」

「運動感覚と電気感覚ですか……」


赤いスーツの男は自分に背を向け、帰ろうとする二人に聞こえるか聞こえないかの声量で(つぶや)く。


「なんで、うちらの感覚を……」

「運動感覚の女はともかく、男の方の電気感覚は是非とも欲しいですね。感覚くれませんか?」

「相手にすんな、早く帰ろうぜ」


二人は強く手を握り合い、小走りで公園から出ようとする。


「第二感:空間斬エアスラッシュ


赤いスーツの男は手刀を作り、腕を横に()(はら)う。すると、ビシビシと大気が震え旋風(せんぷう )が生じる、当たっても涼しい程度の優しい旋風は、徐々に激しさを増しながら三日月型の(やいば)の形に変形する。


(やいば)は男子生徒へ猛スピードのまま一直線に進む、二人は背を向けているため、気付かない。


「危ないっ!」


女子生徒は背後から迫っていた刃に気づき、とっさに男子生徒を横に押し倒す。


刃は倒れる男子生徒の左腕をかすめ、花壇(かだん)に咲く花の上を通り、公園の壁にぶつかり消滅した。

綺麗に咲いていた花の上部分は一つ残らず刈り取られ、色鮮やかだった花壇は緑一色になる。


壁には鋭利えいりな刃が通った跡がハッキリと残っており、壁の向こう側の道路が見えてしまう。


「そっちがそのつもりなら……やってやるよ 第三感:稲妻(エレクトリカル)一超線(ディスティンクション)


男子生徒は右手を広げて、赤いスーツの男に向ける。手の中心からは薄暗い公園を照らすほどの、青白い閃光を発した稲妻が出現し、稲妻は真っすぐ、(やり)のように赤いスーツの男へ向かって走る。


「私もサポートする! 第二感:筋力強化」


女子生徒はクラウチングスタートの姿勢を取り、つま先に力を()める。


右足を蹴り上げると、40㎝ほど宙に浮いたまま猛烈なスピードで前方へ突き進む、(またた)くまに赤いスーツの男との間合いを詰め、顔面に蹴りを放つ。


「……」


赤いスーツの男は動じず、右腕を顔の横に持っていきガードする。蹴りを食らった腕は1mmも動かず、そのまま女子生徒の足首をつかみ、地面へ叩き付けた。


土で出来た硬い地面にも関わらず、あまりの衝撃に叩き付けられた女子生徒は、地面にバウンドし、意識を失う。


「試しに使ってみるか……第三感:稲妻(エレクトリカル)一超線(ディスティンクション)


そう言うと同時に赤いスーツの男は左手を大きく開き、ビリビリと威嚇(いかく)しながら向かってくる稲妻に向ける。

すると手の中心からは男子生徒と同じ、青白い閃光を発した稲妻が出現し、バチンッ! という轟音(ごうおん)とともに男の目の前で相殺された。


「なんで俺と同じ感覚を」

「感覚くれませんか? と言ったはずです」

「訳が分からねぇよ……」

「第二感:空間斬エアスラッシュ


男子生徒はふらつきながら、一心不乱に公園の外へ逃げる。

赤いスーツの男は再び腕を横に()(はら)う、男子生徒は背中から無防備に空間斬エアスラッシュをくらい、倒れ込む。


しかし、男子生徒の胴体が真っ二つ……とはならず服は破けているだけで血も出ていない。 


「手加減したので死んではいないはずです、まだ若いですからね」


そう言うと赤いスーツの男は、服についた土埃(つちぼこり)をポンポンと払い、失神した二人を置いて公園から立ち去った。




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