いきなりのピンチ
各々何を買うか迷いながらも、ショッピングモールへ買い出しに行く三人。
「クラス希望書、どこにするつもりなんだ?」
買い物の話も一段落つき、学校の話題を振るガレン。
生徒は希望のクラスを用紙に書き、午後5時までに提出する事。
という説明を入学式で受けていた。
「私は白石先生かな、女の先生のほうが安心するし」
「四組の花美先生は?」
「女の先生でも流石に <しばく> はね……」
幼馴染に釘バットを振るうような女子でも、あの一言には躊躇するようだ。
実際、感鋭学園教師の<しばく>がどのレベルまでの事を言っているのか分からない以上、警戒するに越したことはない。
「クラス希望書って何?」
入学式に集中していないなかったトウゴが、希望書の事を知っているはずもなく、頭の上に?が浮かぶ。
「お前きいてなかったのか?」
「えへへ」
「褒めてねえって」
「褒めてないわよ」
頭をかきながら照れるトウゴに、シアラとガレンは呆れた様子でツッコむ。
なんだかんだ、三人とも既に冗談やツッコミのしあえる距離感になっていた。
「逆にあの状況で何してたんだ?」
「暇だったから、学食の説明読んだり、窓の数を数えたりしてた」
「あの状況で、よくそんな事できるな」
常人なら、あのオーラが張り詰める中で暇つぶしをする余裕はない。ガレンが驚くのも当然だ。
「あの状況?」
しかし、トウゴからすれば教師達のオーラなど全く感じない為、ガレンの発言に違和感を感じる。
その後、シアラから希望書の説明を受けるトウゴ。
「僕は二人に合わせるよ」
「じゃあ俺も白石先生にしようかな」
希望のクラスも決め、東京で一番の大都市『紅段』で道に迷いながらも、三人は和気あいあいと話す。
「そーいや二人は何の感覚もってんだ?」
「え?」
「いや、何の感覚持ってんのか気になってさ」
ガレンの何気ない一言が和やかなムードをぶち壊す。
緊急事態にトウゴとシアラは、急いでアイコンタクトを試みる。
(どーしよう、まだ感覚の件どうやってごまかすか決めてない!)
(まだ決めてなかったの!? 朝、早く決めといた方が良いって言ったでしょ)
(えへへ)
(だから褒めてないって)
(今のはワザと)
(また朝みたいに殴られたいの?)
「急に見つめあってどうした?」
「い、いや何でもないよ、気にしないで」
適当に返答し、まばたき一つせず目線を合わせ続ける二人。
違和感を与える行動ではあるが、今は解決策を考えるほうが先だ。
(適当に答えちゃいなさい)
(適当って言われても……)
(実際にある感覚なら何でも良いから!)
(うーん)
何でも良いというのが一番困るんだよなぁと思いながらトウゴは悩む。
変な感覚を持っている設定にして、学園生活に支障をきたすわけにはいかない。
すると、トウゴの脳内でまたもや昨日やったドラグエがよぎった。
(これだ!!!)
ドラグエからインスピレーションを受けたトウゴに、名案もとい迷案が思い浮かぶ。
「僕の感覚は……」
構成上少し短くなってしまいました、すいません。
何かありましたら教えてくださると助かります!