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ことの起こりに一体何があったんだろうか。
正直さっぱり分からない。
思い出すのは朝、いつも通りに家を出て学校に向かったこと。
しかし、学校についた記憶はない。
であれば、通学中に何かあったんだろうか。
だめだ、まったく覚えてない。
霞がかった記憶なんてものじゃない。ぽっかりと空いた空洞のような断絶。
深呼吸をして考える。
頭が痛い。
暗闇が重い。
他人事のように考えるなら、通学中に何かあったんだろう。
他人事のように考えるなら、その衝撃で短期的な記憶喪失にでもなっているのかもしれない。
物語なんかではよくある話だが、自分に起こったなんて一切信じられないが、それでも。
暗闇の中、出口の分からない石室の中でひたすらに考える
明るければ出口が分かるのだろうか。
息苦しい。
通学は真面目に、といっても惰性に近い形で行っていた。
行ったからと言って面白いこともないけれど、休むのも、普段と違うことを決断するのが面倒だった。
何も考えずに生きていたから、毎日通学していた。
本当は家から出たくない。
部屋で本を読んでいるのが一番平和だ。
不測の事態なんて物語の中だけで十分だ。
何も見えないのに世界が回っているような感覚。
家に帰りたい。
引き篭もっていたい。
買い物はネットで済ませば家から出ずに済むだろうか。
コンビニ支払いは面倒だ。
大人になって、クレジットカードが作れるようになればネット通販もやり易くなる。
そうすれば引き篭もっても買い物に困らないかもしれない。
ああ、でもお金を稼がないとダメなのか。
部屋から出たくない。
自宅で出来る仕事ってなんだろう。
頭が、痛い。
息が、苦しい。




