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 キャベツに似た細長い葉野菜を、一枚づつ剥がしては水を張った桶に入れる。

 剥がした葉は土を落としながら食べやすい大きさに千切る。

 葉は全体を水に沈めながら洗わないといけない。

 しかし、暗くてきちんと洗えているのかは確認出来ない。

 今までの経験から洗えていると思えるように洗う。


 篝火は多いのにやけに暗い場所で仕込みを手伝いながら、少年はそっとため息をつく。

 なぜ自分はダンジョンの中で食事の準備をしているのかと。


 思えば食事の仕込みに回されたからと言って、戦いから外されたというのが思い込みでしかなかったのだ。

 食事の仕込みは仕込みとして、それ以外の時間は練習場を走らされたし、他の人間から見ればわずかな時間とは言え、木の棒で突く練習にも参加させられた。

 この時点で多少の危機感はあったものの、練習に参加する人が減り、減った人数はそのままダンジョンの巡回を行ったと聞き、それから数日経っても自分には順番が回って来なかったことで安堵した。


 さらに数日経って、大規模な荷物の準備。とは言っても、ここで食事をしている人数、数十人がそのまま何日か食べるだけの食材を用意すると言われ、食材の量を数え、調理器具を持ち運べるように整えた。


 その結果がダンジョンでの調理である。


 ここが何階なのかはよく分かってないが、ダンジョンに降りてからさらに階段を下ったのは一回。それだけ見ると地下二階だろうか。階段以外の道は水平に伸びているのであれば。

 正直、洞窟然としたダンジョンの中では段差を上ったり降りたりと、階段として整備されていないだけで高さが変わる道は多くある。ここが何階なのかは良く分かっていない。



 輜重隊、という戦闘以外の荷物の運搬をする部隊が必要だとは何かで読んだ覚えがある。

 思ったよりもこの部隊の割合は大きいらしく、数十人でダンジョンに入ったうちの半分近くが輜重隊の扱いのようだ。


 調理を担当する人間、荷物の運搬、陣地の構築、篝火の維持、武器防具の修理、治療担当、周囲の警戒。

 周囲の警戒をしている人間は道中は交代で荷物の運搬もしていたし、自分も荷物を背負わされたから、一人一役というわけではないが、それだって結構な仕事がある。

 数日はここを拠点に周囲の調査を行うようだ。


 調査に出かける班は夜にはここに戻って休息を取る。

 当然、拠点では輜重隊の人間が周囲の警戒と篝火の維持を行う。それは昼も夜もだ。拠点の一方はダンジョンの壁に面しているとは言え、残り三方の警戒、交代人員だけでも結構な人数だし、その人数の食料として荷車何台分もの食料を持ち込んでいる。

 食料を持ち込めば調理する人間も必要になり、調理するならば鍋や薪が必要になる。

 そうして、最低限の荷物は膨大になり、輜重隊の人数も増えていく。


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