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真っ暗な闇の中、それは目覚めた。
完全な闇の中、そこでは時間が経とうと目が慣れるわけもなく、それには周囲の状況すらも掴めなかった。
そのうち、それは床の上を這いずるようにして、一つ一つ、自分の居場所を確かめ始めた。
石の床
指で触れたそれは木ではなく、冷たい石だった。
やがて、ゆっくりと、だが這いずるように移動し、壁にぶつかる。
その壁もまた、床と同じ、冷たい石。
そして壁にそって横へ。
再び壁にぶつかり、横へ。
長い時間を掛けて這いずりまわり、わかったこと、それは四方を石の壁に囲まれているということだった。
……石の中にいる……
どこかで見たフレーズが頭をよぎる。
「ここはどこだ」
乾いた声が狭い石室に響き渡った。