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女の子が二人でVRMMO  作者: qazwsx(てぃー)
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09

お待たせしました。

やっと町から出れそう。

「あんまり人を舐めないことね、お坊ちゃん」


そして首筋に剣を当てる。


「そこまでッ!」


相変わらず声が大きいわ。集中して見てた人たちがビックリしてるじゃない。


バルドが寄ってきて話しかけてくる。

「プレイヤーは大体が武の無い日和った連中だと聞いていたが...お前は違うのか?」

「あら失礼ね。私はか弱い女性よ?」

「ぬかせ、ウィルのパワースラッシュは特に速さを追求した形だ。それをお前...見てから動きやがったな?」


バレてたみたいね。まぁ、ある程度の人が見たらわかることでしょうけど。


「次はあなたの番よ。バルド」

「ふん...いいだろう」


そう言ってお互いが位置につこうとしたところでボンボンが口を開く。


「お前...さっきの剣術は何だ?スキルもアーツも使ってないだろ」


アーツって何かしら...

答える義理はないのだけれど...半分八つ当たりに近い形だったし、特別に教えてあげましょうか。

「スキルでもアーツ?でもなく足捌きと体捌きって言うのよ。わかったらどいてちょうだい。邪魔よ」


私の答えを聞くと、ボンボンは下がっていった。今思ったのだけど、本当にボンボンなのかしら...第一印象だけでそう言ってきたけど間違ってたら恥ずかしいわね...


先ほどと同じ位置でバルドと向かい合う。その時アカネからメッセージが届いた。


『がんばってね愛しのマイ天使(エンジェル)


思わず振り返り、アカネを見ると、顔こそ普段とあまり変わらないもののしっぽがぶんぶんと動いている。

実にわかりやすいわね。アカネはいいものを手に入れてくれたわ。


「おい、そろそろいいか」

「ごめんなさい、始めましょうか」


再び向かい合い、集中を高めていく。さっきは剣術なんてものじゃなかったし、機会があれば剣術を出しましょうかね。


「では...始めっ!!」


お弟子さんの合図で勝負が始まった。


勝負開始から1分ほど経った。しかし、正眼に構えたままバルドは動かない。門下生も動かないバルドを訝し気に見ている。

ふふふ、わかるのね。

対する私は右足を後ろに引き、左を前の半身。そして腹につけるように腕を引き剣先を相手に向ける。いわゆる霞の構え。最も突きに移行しやすい構えだ。


「どうしたの?いらっしゃい」

「...」


無言のバルド。一歩も動いておらず、暑いわけでもないがその頬には汗が浮かんでいる。

そう、動けないでしょう?動き方を知らないのだから。

...わざと崩れましょうか、実際この構えは長時間睨みあうのには向いてないし。

まるで疲れたかのように息を乱し、手を揺らす。

すると、千載知遇の好機と言わんばかりの勢いでこっちへ向かってきた。


「デュアルスラスト!」


先ほどとは違う名前ね...スラストは突きだから2重の突き?

バルドの剣を持つ手がブレる。いや、ブレるほどのスピードを出してるのね。

ほぼタイムラグが無い2つの突き。しかも違うところを狙いに来ている。

突きとは、突き出した手を戻す際、無防備に近くなる。つまり一撃必殺。

なのにそれをほぼ同時に2回出せるなんて...スキルってすごいのね。

PS(プレイヤースキル)を重視するゲームと聞いていたし、スキルはあまり関係ないのかと思っていたけど、大有りじゃない。もしアステラにまた会えたらお仕置きね。

そんなことを思いながら私も踏み出した。


一瞬の交錯の後、宙を舞ったのはバルドであった。


間合いを詰め、剣を喉に当ててゲームセット。


「終わりね。まぁまぁ楽しかったわよ」

「そこまでっ!」


剣を籠に入れ、アカネの元へ向かう。しっぽの振りが凄いことになってるけど...千切れたりしないわよね?


「ミーオーン!何あれ!?どうやったの!?よくわかんなかったけど剣と剣が当たったと思ったらバルドさんがぶっ飛んで!!!」

「俺も聞きたい。お前一体何をした」


起き上がって話しかけてくるバルドの目には得体の知れないものを見たかのような畏れのようなものがある。ちょっと刺激が強かったかしら?


「あなたが2回突いてきたから私は3回突いただけよ」

「...まさか、俺のデュアルスラストに合わせたというのか?」

「そのまさかよ」


デュアルスラストの2回突きに完璧に突きを合わせ、その上でもう1回突く。


「無明剣三段突きっていうのよ」

「じゃあ俺を吹っ飛ばしたのはなんだ。お前にそれほどのSTRがあるとは思えんぞ」

「...人って案外簡単に飛ばせるのよ?」

「...」

「ふふっ、気が向いたらまた来るわ」

「...あぁ」


アカネを連れて通りへ出る。


ふと、視界の端に点滅するアイコンが映った。何かしら。

意識を向けるとどうやらログのようだ。


-スキル:剣術 のレベルが上がりました-

-スキル:剣術 のレベルが上がりました-

-スキル:剣術 のレベルが上がりました-

-レベルが上がりました-


あら。これは予想外。モンスターとやら相手でしか経験値を得られないかと思ったのだけど...


「アカネ。指南所で剣術と自分のレベルが上がったわ」

「えっ?そうなの!?モンスター以外でも上がるんだ~」


アカネも知らなかったようね。ということは皆他のプレイヤーもあまり知らないんじゃないかしら。


「それより外に行こうよぉ!ミオンと一緒に冒険したい!!」

「わかったわ。でもまずは準備よ」


そういえば、どこに武器があるのかしら。


「アカネ、その弓はどこにあったの?」

「アイテムのとこに入ってるよー」


ふむ、アイテム一覧とでも念じれば...

あったわ。初心者用の剣...これね。


【初心者用の剣】(加工不可)(販売不可)(譲渡不可)

ATK:10

耐久:∞

-ようこそUFOへ-


...耐久∞って普通に凄いわね。いつまでも使えるじゃない。

装備、と念じる。剣が実体化し鞘が腰に括りつけられた。


「ありがとうアカネ。それじゃ準備しにいきましょう」

「いえすまむっ!」



「ごめんねぇ、今日は急に人が増えて在庫が無くなっちゃったのよ...また来てちょうだい」


...道理ね。先行組とはいえ3万もの人が増えたのだもの。しかも半分くらいは狩りに行くでしょうし。ポーションが無いのは納得ね。


「ミオンー、あったー?」

「こっちは全滅ね。アカネは?」

「ダメダメー、どこもかしこも売り切れてるよぉ」


ポーションなんかが売ってるお店は全滅。プレイヤーが一部露店で売ってるけども、明らかに足元を見たとんでもないお値段。最初から持っているのが1000ルピスなのに、ポーション1本500ルピスって凄いわね。


私はローブを買い。アカネは木の胸当てを買った。弓って胸が大きい人は大変だものね。

ローブなんてリアルではほとんど着ないし、新鮮ね。


仕方が無いのでアカネを連れてフィールドへ出る門への道を歩いていると、


「よォ、カーワイイネェちゃんたち。これから狩り?俺らβ組だしつえェからさぁ、連れてってあげるよ」


なんだかガラの悪そうな男たちに絡まれた。


「私たちそういうの間に合ってるんで~」


歩く速度を全く変えないままにアカネが切り捨てる。


「あ?っちょぃ待てよっ!」


サービス開始から時間が経ったとはいえ、まだまだ凄い数の人で溢れかえっている。

その中をアカネに手を引かれながらスルリスルリと抜けていく。鮮やかね。

門に着くころにはしっかり撒けていた。


「慣れてるのね」

「街とか行くとしょっちゅうだからね~」


なるほど...アカネは控えめに見ても可愛いし、群がるのも仕方ないわね。



大勢の人と共に門を出る。抜けるような青空と草原。その中を伸びている街道。自然一杯ね。家の周りとは違う爽やかな感じが心地良いわ。


「さー、張り切っていきましょー!!」


アカネの声と共に私たちは歩き出した。


ミオン Lv.2

種族:天使

職業:見習い剣士

HP:520 +20

MP:640 +40

STR:580 +30

VIT:510 +10

AGI:650 +10

MND:570 +20

INT:540 +10

DEX:640 +20

LUK:210 +10


種族スキル:【飛行 Lv.1】【操翼Lv.1】【祝福Lv.1】【聖魔法Lv.1】


スキル:【剣術 Lv.4】


SP:35


所持金:500ルピス


ミオンちゃんはあんまりスキルを重要視していません。

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