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女の子が二人でVRMMO  作者: qazwsx(てぃー)
6/62

06

PK...プレイヤーキラー、MOBではなくプレイヤーを襲って身ぐるみ剥がしていくやつ。大体は嫌われる。

「ちょっと私の剣術がゲームでも通用するのか確かめに行くわ」

「えっ?ミオンって剣使えるの!?ってか使ったことあるの!?」

「昔にちょっとね」

「知られざる天使の壮絶な過去...ッ!気になる!気になるぞぉぉぉおお!!!」

「うるさいわ」


他愛もない話をしながらお城の近くまで来た。すると遠くで微かに剣と剣が打ち合う音が聞こえてきた。


「あっちね」

「なんでわかったの?」

「打ち合う音が聞こえたのよ」

「...マジ?」

「マジよ」


お喋りをしながら歩いていくと、徐々に音が大きくなる。


「マジだったよ...」

「だから言ったじゃない」


そして目の前に現れた大きな門には、


【バルド剣術指南所】


中からは剣が打ち合う音と気合の入った叫び声が聞こえる。


「さて、どんな人がいるのかしら。久しぶりに剣を振るから楽しみね」


中に入ると受付があり、その横に奥へと続く扉がある。鍛錬は裏でやってるのね。


「ちょっといいかしら」

「はい。門下生申し込みですか?」

「いいえ、バルドさんって方に剣術を見てもらいたくて」

「バルドは只今指導中ですので、しばらくお待ちいただけますか?」

「待つぐらいで会えるなら待つわ」

「では、この紙に名前を書いてしばらくお待ちください」


他の受付達に何だコイツ、という目を向けられる。それはそうよね。門下生になるでもなくいきなり指導者に合わせろ、試合をしろって言ってるのだから。むしろ会えるだけでも有難いわね。


しばらくアカネとしりとりをして暇をつぶしていると、声をかけられた。

振り返ると、筋骨隆々で黒光りするマッチョマンがいた。

...本当に剣士なのかしら?拳士と言われたほうが納得できるわね。


「おまえがミオンとかいうやつか」

「そうよ」

「ほぅ...で、何の用だ」

「剣術を見てもらいたいの」

「ほう、剣術スキルのレベルは?」


...初めて聞いたわ。そんなものがあるのね。


-スキル:剣術 を取得しますか?(SP-2)-


...気の利く子は好きよ。


-スキル:剣術 を取得しました-


「今取ったわ」

「は?流石にバカにし過ぎじゃないか?俺はここの師範だぞ」

「悪かったわ。ただ、私はスキルに頼らないだけよ」

「ふむ...そこまで言うならやってやろう。ただしどうなっても知らんぞ」

「えぇ、ありがとう」


そして裏のスペースへ出る。アカネはそこで分かれて端へ。

かなり広い裏庭のようなそこには恐らく休憩中であろう門下生が大量に座り込んでいた。


「聞けェ!!」


いきなり隣で大声を出さないでほしいわね。アカネの耳としっぽが逆立ってるじゃない。


「今からこのミオンと俺が試合をする!!しっかりと見るように!」


そして籠に入っている剣を投げてよこしてくる。危ないわね。


「刃は潰してある。死ぬことはない。まぁお前たちは死んでも何ともないかもしれんが」

「何とも無いことはないわ。ペナルティがあるわよ」

「生き返れるだけマシだろ」


それはごもっとも。ちなみに死んだときのペナルティはステータス半減、自身へのバフ無効、獲得経験値半減というキツめのもの。まぁPKにゾンビアタックされちゃ堪らないものね。


そして裏庭の真ん中で握手をし、いざ始めようとしたその時、声が掛かった。


「待ってください!」


私は集中したままそちらを見る。金髪で180cmくらいのいかにも由緒正しいですといった男がこちらを見ていた。


「...何だ」

「いきなり師範が試合をなされなくともよいではないですか、この通り体力も回復しました!私にやらせてください!」


いきなり出てきて何を言ってるのかしらこのボンボンは。折角始まりそうだったというのに。


「...いいだろう。こいつはウィルだ。一応門下生の中で一番の力を持ってる」

「ミオンとやら、お前の相手は俺だ。師範に出てもらうまでもない!」

「...どうしてそんなに自信満々なのか聞いてもいいかしら?」

「お前からは強者のオーラを感じないからだ!!」


その言葉を聞いて何年かぶりにイラっと来た。


「そう。いいわやってあげる。掛かってらっしゃい」

「それはこちらの台詞だ!」


間合いを取って剣を構える。久しぶりの感触とピリリとした空気に感覚が研ぎ澄まされていく。

...癪だけど心地いいわね。


「それでは始め!」


合図が出た途端、ボンボンが鋭い踏み込みでこちらへ一直線に駆けてくる。そしてあと数歩というとこで上段に振り上げた。

少しムッと来た。上段は攻撃に強い反面守りに非常に弱い。即ち上段に構えるということは攻撃に自信があるか、相手を舐めているかだ。

今回の場合は、速いとはいえ避けきれない速さではない上に、距離と勢いを見るにフェイントもない。つまり舐められてるわね。


だったらその自信を砕いてあげましょう。


「パワースラッシュ!」


振り下ろす直前にボンボンがそう言い放った。その瞬間、振り下ろしの重さと速度が上がった。構えに対して不自然なほどに加速する振り下ろし。なるほど、これが自信の源なのね。思うに、スキルは切っ掛けを作ってくれるもの。それをどう制御するかは自分次第ということ。恐らくパワースラッシュは振り下ろしを強化する切っ掛けなのでしょう。


急な変速を見せる上段振り下ろしの初動を動かずに見ていた私にボンボンはニヤりと笑う。

確かにこの変速は初見で対応するのは難しいでしょう。だけど、それは一般の人の話。


私にとっては大差なく遅いわ。


私は最初から突きの握りで中段の構え。この剣は西洋剣だけどなんとかなるわよね。

振り下ろしに入った時点で足と重心を動かし右半身になる。そして変速した瞬間に上体を動かし仰け反りながらベストポジションに来た剣を...突く!ボンボンには消えたように見えたでしょうね。


パリィィィン!


剣が、砕けた。

ボンボンは空ぶった態勢のまま唖然としている。


そして、45度くらい仰け反った体を戻し、言ってやりましょう。


「あんまり人を舐めないことね、お坊ちゃん」

剣術書いてますが魔法も生産もやる予定です。欲張りセットです。

書き溜めも設定も考えてないので更新不定期です。


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