31 茜視点5
お待たせしました。
あと1か2話で終わるかな?
光点が示す場所についた。普通の一軒家だなぁ、ほんとに合ってるか不安になって来たよ...。
コンコンとノックをして、
「ごめんくださーい」
反応が無い、ただの屍のようだ...じゃなくて!
「ごめんくださーい!!」
すると中から扉が開く。
そこから顔を出したのはちょっとボサっとした髪の毛の20代後半くらいの男性。
顔に見合わず身体はカッチリしてるね、流石高ランク冒険者。
「あぁん?さっきからうっせーんだよ!」
そう言って扉を閉めようとする。そこでこの言葉だ。
「マナさんからの紹介で来ました!」
扉が止まり、再び顔を出す男。
「今、マナっつったか?」
「はい!魔術ギルドのマナさんの紹介です!」
満面の笑顔で言い切ってやる。うっわ、凄い苦々しい顔してる...。こりゃよっぽど大きな借りがあるとみた。
「...仕方ねぇ。入りな」
「お邪魔しまーす」
「ホントだよ」
「魔術ギルドに矢文を飛ばしちゃおうかな~」
「わかったわかった。だからそんな物騒なこと思いつくな!」
マナさんって一体何者なんだろう...。
「んで、何の用だ」
「魔法でアシストする弓術があるって聞いて、それをご教授願いたいです!」
「あん?お前も酔狂なやつだな。その様子だと風魔法使えんだろ?だったら魔法使いすりゃいいじゃねぇか」
「私獣人ですから!魔力とか多くないし!」
「あー、そうだな。スマンかった」
「別に魔法使い目指してるわけじゃないですから!それよりも教えてもらえますか?」
「断ってもマナがこえぇしな...いいぜ、教えてやるよ。ただ、結構難しいから途中で音を上げんなよ?」
「ありがとうございます!」
無事に教えてもらえそうで何よりだね!
「そんじゃ早速始めるか。お前、名前は?」
「アカネです!」
「俺はハーミット。女っぽいって笑うなよ?」
「了解です!」
ハーミット...オシャレなイメージかな?でもこの人はどっちかというとガサツっぽいよね。
そのまま家の裏庭へ。ハーミットさんは弓を取り出す。
「アカネ。風魔法のレベルは?」
「...あっ」
肝心の風魔法を取ってない!急いで取得した。
「お前まさか...」
「今取りました!適正はあるらしいんで何とかします!」
「...ハァ。んじゃ、まずは説明だ。風魔法で矢をアシストするには2つの方法がある。風そのものを操って矢を風に乗せる方法。それと魔力で道を作って後ろから押す方法だ」
魔力で道を作るって...難しそう?
「1つ目は簡単だが周りの環境に影響を受ける。それにそうとう経験を積まねぇと矢をコントロールするのが難しい上に超遠距離は怪しい。2つ目は周りの環境に影響されず、どの距離だろうがほぼ確実に命中する。ただし、魔力の消費が激しいし、難しい。どっちか選べ」
うーん...現実なら簡単な方に行くんだけど、やっぱりゲームだし難しい方やってみたいよね。カッコいいし。
「2つ目で!」
「そうか。じゃあ実際にやって見せるぞ」
そう言って矢を構えて集中するハーミットさん。数秒後、矢を放つ。
わぁお、矢が複雑に飛び回って、八の字とか螺旋とかとんでもない軌道を描いて最終的に的に刺さった。
...ふぁんたじー。
「今のが魔力で道を作ってやるってことだ。今のでMPを5000くらい使う」
「5000!?」
「複雑に動かそうと思えば動かすほど増えるんだよ。だけどこの方法は障害物越しでも当てれるってのが最大の利点だ。最終的にはこんくらいできるようになれよ?」
「いつになるかわからないけどガンバリマス!」
5000って...私今200くらいだよ?ほんとに何時になるかわからんね。
「よし、じゃああの的まで一直線に魔力を伸ばしてみろ」
そう言われても...魔力って体外にそのまま出せるんだねーってレベルなんですけど。
取り合えず、やってみようとする。ふぬぬぬぬ...あっちょっと出た。ってうわ!力が抜けるっ...。
「バカ野郎、何で全部出そうとしてんだ。矢が通る分だけでいいんだよ」
「そうならそうと言ってくださいよ...あと野郎じゃないですー!」
矢が通る分...実際に矢を取り出してみる。羽まで含めると大体直径4cmくらいかな?
直径4cmくらいを意識する。スルスルっと魔力が出て来た。それを...伸ばして...到着!
「お?できたか?中々筋がいいじゃねぇか」
「えっへへー」
「次はそれを弓を構えて矢からやるんだ」
よっし...弓を持って矢をつがえて、魔力を出す...あれ?全然出ない。
「全然出ないんですけど」
「矢に魔力を通して矢から出すんだよ」
成程。身体から出そうとしてましたわー。気を取り直して矢に魔力を通す。通ったかな?そこから的へ...。
ぐぬぬ。身体から出すのとは全然違う...なんというか、マジックハンドで紅茶を入れるみたいな感じ?慣れれば何とかなりそうだね。
そして、何とかかんとか矢から魔力を繋げられるようになった。そこでMPが半分を切った。
「ほら、これ使え」
そう言って差し出されたのは青色の液体が入った瓶。
「これは?」
「MPポーションだよ」
ほほぅ。現在絶賛品薄状態のMPポーションですか...
「今ポーション類は品薄なんですよ?こんな貴重な物貰えませんよ!」
「俺はポーション関係に個人的な伝手があんだよ。それに、初めて俺以外にこの技術が使えそうな奴がいるんだ。俺も期待してんだよ、お前に」
...そんなこと言われたら嫌でもやる気出るじゃん。体裁によらずお上手なんだね。
「わかりましたよ、頂きます!」
「おう」
訓練を続けて5時間ほど。MPポーションを8本飲んだところで、ようやく色々な体勢から安定して魔力の道が作れるようになった。
「よし、魔力の道の構築は出来るようになったな。次はその中から空気を取り除け」
真空ってことだよね。空気を抜き続けるとかすごいMP使いそう...。
「ここがスゲェ難しい。MPの消費も激しいし皆辞めてくとこだ。やるか?」
「...やってやりますよ」
自分でもびっくりしたんだけど、私は意外と...負けず嫌いらしい。
難しい、みんな出来ない、その言葉に奮い立った。
そうやって謎の闘争心を発揮すること1時間。私は魔力の道を真空にすることが出来るようになった。
いやー、矢から魔力を出すのに比べて4分の1の時間だよ?ハーミットさんも驚いてるけど、私が1番驚いてる。
「お前...本当に獣人か?」
「私が1番ソコを疑ってます」
私ってもしかして魔法の適正高いのかな?
とはいえ、所詮獣人の魔力。そんなに長い時間は保ってられない。つまり、私は1回で必ず急所に当てないといけないわけだ。いやー、ハードモードだね。
「よし、次は魔力の道を曲げろ。実戦で的が止まってるなんてことはほとんどねぇ。そういう時はリアルタイムで道を動かして当てなきゃなんねぇ」
ですよねー。さて、いっちょ頑張りますか。
そこから更に1時間かけて曲げれるようにした。
「よし、最後に矢を速くする方法だ。抜いた空気を手元に溜めろ。矢を撃ったら解放して追い風にしてやれ」
そしていよいよ実践。的に向かって2回曲がる道を繋げる。空気を手元に持ってきて真空にする。そして、矢を放つ。
それと同時に手元の圧縮空気を解放。矢は凄いスピードで加速して2回曲がり、的に突き刺さった。
...これは文句無しでしょ!
「まさかマジで出来るようになるとはな...マナの見立ては正しかったって訳か。その魔力の道の名前は風洞。俺のオリジナル魔法だ」
風洞。これが私の新しい力。...感慨深いね。
「ハーミットさん。ありがとうございました!」
「おうよ。...お前は獣人だ。元々魔法に向いてる種族じゃねぇ。それでもそれを主力に据えるってんなら、常に修練を怠るなよ」
「はい!」
それからしばらく自分で修行をする。途中でミオンが夜の北の山へ行くと言い出した。勿論着いていきたかったけど、訓練の途中だったから泣く泣く諦めた。
そして、ログイン制限残り1時間半を切ったころようやくミオンが北の山から戻ってきた。
「ミーオーンー!」
私はミオンの背中に飛びついた。
人に教わって苦労して強くなる辺りアカネの方が主人公っぽいですね。
もう一人の主人公なんでいいんですけどね!




