異世界なんて無かった。
アパートのワンルームは今日、生涯を終えた。
このワンルームは色々な人生を見た。
都会の生活に夢見る者。夢やぶれて絶望に泣く者。
そして火をつけたこの男の勇姿を。
火は加速する。燃える景色、騒がしくなる路上。
男はただ火を眺め続ける。我を忘れてただ眺める。
サイレンの音で我に返る。途端に炎の温度を感じる。
「熱っ」
男は急いで玄関に向かおうとするが、火で進めそうにない。
「嫌だ嫌だ死にたくない!!」
男が情緒不安定になっている時、玄関が消防隊によって開けられた。
すかさず男は消防隊に火炎瓶を投げる。
「うわぁぁぁあああぁん」
これが消防隊の見た最後の景色だった。
火はどんどん広がり、やがて世界を飲み込むんだけどそれはまた別のお話。
久しぶりの投稿でキレが悪くなったってレベルじゃねーぞ