第九十六話 レイダー星の大地
こんにちわ!
謎を秘めたレイダー星に関して説明できたらと思います。
「あの二人、今はどうしてるかな?」
「そろそろくたばってくれると嬉しんだが、上が公開処刑するって言うんじゃ仕方ないな。」
ボスにウインメタルとエリカの捕獲を報告していた五人のレイダー星人達は、二人の様子を見ようと第七番牢へと向かっていた。本来なら規律違反を犯した者への懲罰の為に作られた牢だが、ここのセキュリティーはガードが非常に固く、脱獄が成功した例など無い。ましてや、自分たちよりも文明が大きく劣った地球人にはどうしようもないと誰もが思っていた。とりあえず生かして三日後に処刑する。このスケジュールはどんな事があっても揺るがないと思っていたが、彼らはすぐさま異常事態に気づく。
「ん?おい、あれ!」
「なんだ、倒れてるぞ?」
牢の前で監視を担当していたレイダー星人が倒れているのをど人が見つけ、すぐに駆け寄って声をかける。
「おい、どうしたんだ?」
「何でこんなとこで寝てるんだ?」
体をゆすって監視担当を起こした五人。すると、監視担当はゆっくりと目を覚まし、はっと我に返った。
「た、大変です!奴らがいきなり部屋から出てきて、この私を襲ったんです!」
「な、何だと?!」
全員が信じられないといった表情をした。何せレイダー星人ですらこのシステム体そうできる者などいないと思っているのに、地球人がそれをしてしまうなんて考えられない事だからだ。五人はカードキーで部屋を開けて中をのぞくと案の定二人の姿はなかった。
「馬鹿な!」
「と、とにかくその辺を探すんだ!」
急いでフロア内を探すレイダー星人達。そして、一人がある事に気付いた。
「ちょ、ちょっと来てください!」
「どうしたんだ?」
「か、壁に穴が開いております!」
そう言って壁を指さしたレイダー星人。その方向には壁にぽっかりと大穴が開き、外が丸見えになっている様があった。
「クソ、奴らめ!やりやがった!」
「探すぞ!今度こそとっ捕まえてさらし首にしてやる!」
そう言った直後、レイダー星人は建物内に警報を鳴らし、騒ぎはどんどん広がって行ったのだった。
その頃、脱走したウインメタルとエリカは…。
「ここまで来れば大丈夫かな。」
「そうですね。色々整理していきたいので誰もいない場所がいいでしょう。」
閉じ込められていた建物から数キロ離れている郊外の山のような場所の中腹にいた。逃げられたとはいえ、まだまだ問題が多く残っているのも事実である。
「逃げたはいいけど、どうやって地球に帰るの?」
「現時点で無事に帰る方法はまだ見つけられません。」
ウインメタルの疑問はエリカの正論によって儚く砕かれた。いくら音速で飛べるとは言え、宇宙空間でそれを絶え間なく続けるのはほぼ不可能である。ましてやエネルギー切れなど起こしたらそれこそ二人とも無事では済まない。
「こうなったら…。」
「どうしたんですか?」
いきなり立ち上がったウインメタルにエリカが質問する。
「円盤を一機奪おう!もうそれしか早く地球に帰る方法ないよ!」
「確かにそう急に地球に戻るためには正しい方法ですが…。どうやってやるつもりですか?」
「う~ん、それを聞かれると困るな。まだ考えがまとまってないっていうか…。」
地球の技術では早く帰る事は厳しく、この星の乗り物を使う以外ない事はウインメタルも分かっていた。だが、どのように実行するかは正直悩んでいた。
「大丈夫ですよ。焦っても仕方ありません。ゆっくり考えましょう。」
エリカはそう言った。そしてウインメタルは一つ思っていた事を言った。
「それにしても…。不思議な風景だな。本当に違う世界だ。」
レイダー星という星の大地に立ち、その景色を見たウインメタルの感想だ。目の前に広がっている景色は何もかも地球と違ったからだ。緑色の空、薄紫色の土の上に黒光りした大小さまざまな岩がごろごろと転がっている。そして、ここまで逃げていいる間にもレイダー星の都市部を上空から見ていたのだが、それに関しても驚かざるを得なかった。
「都市部も地球とまるで違かった。SF映画に出てくるような場所が本当にあるとは思わなかったよ。」
ウインメタルは遠くに見える先ほどまでいた町の景色を見ながらそう言った。地球にはない未知の技術で作られたであろう鮮麗されたデザインの建物。町のいたる所では空飛ぶ車の様な物が行き交っており、交通標識や信号らしきものは空中に浮かびあがるホログラフィになっている。
「しかし、この星には植物ってないのかな?草一本見かけないけど。」
「この辺り一帯を分析してみましたが、今のところレイダー星人以外の生命反応は確認できません。」
確かにレイダー星はウインメタル達が見た限りだと都市部以外の誰もいない場所は非常に殺風景である。それに、何がレイダー星人達にあそこまでの悪行をさせたのかも気になっていた。
「このまま放置して地球に帰っても、また同じことを繰り返す気がするから少し調べてみようよ。」
「畏まりました。」
「女性が極端に減ったって言ったけど何かしらの理由があると思うんだ。まだ分からないけど間違いなくこの星は問題を抱えている。」
「そうですね。私も少し気になっていました。レイダー星人が何者なのか。この星はどんな星なのか。」
「この辺少し調べたら町に戻りたいけど、見つかったらまずいよね。多分奴らはもう僕達が脱走したのに気づいてるはずですし。」
「それでしたら、ステルスフィールドを使えばおそらく大丈夫です。地球での戦闘時に私達が円盤に忍び込んだ時、彼らは気付いている様子ではありませんでしたから。」
「なるほど、そうだね。とにかくまずは情報収集だ。それから円盤を奪取だ。」
「了解です!」
こうして二人は未知なる惑星で帰る方法を探しながらサバイバル生活をする事に決めた。この後に衝撃的な出来事が起こるとはまだ知る由もたかった。
こんにちわ!
レイダー星がどんな星か少し説明できましたが、まだまだ情報不足だと思います。
次の話でも少し明かしていきたいのでお楽しみに!




