第九十五話 囚われた二人
おはようございます。
レイダー星へ連れ去られたウインメタルとエリカはどうなったのか?
「うう…」
唸り声を上げて隼人は床から体を起こした。円盤の中でレイダー星人達とドンパチした結果、返り討ちにあってエネルギーを使い果たしたので変身はすでに解けている。
「くそっ、僕とした事がやられるなんて。」
悔しそうに床を殴りつけた隼人。そして、横で寝ていたエリカに声をかける。
「ねえ、エリカ。起きてよ!寝てる場合じゃないよ!」
エリカを起こす隼人。そして、エリカその声に反応したのか再起動した。
「隼人。すみません。先ほどの戦闘でエネルギーを使い果たしてしまい、ようやく回復しました。」
申し訳なさそうに謝罪するエリカ。ちなみにエリカの動力源は電力であるが、体内に物質変換発電装置が搭載されており、地上では大気中の窒素を取り込んで発電しているので充電は不要である。
「ここはどこなんでしょう?」
「レイダー星でしょ。僕らは仲良く囚人扱いだ。」
そう言う隼人。現在隼人とエリカが居る場所は、真っ白でなにも無い無機質な部屋だった。窓もドアも無く、本当にただ白いだけの空間といったところだ。
「なんとかここから脱出したいけど、ここまで何もないんじゃどうしようもない。奴らはどうやって僕達をここに入れたんだ?」
「少々お待ち下さい。ここのシステムを解析してロックを解除してみます。」
「でも、地球の物と全然原理が違うのにそんなことできるの?さっきも捕まった時解除できなかったじゃん。」
「先ほどのは戦闘中なのと、エネルギーの残量が少なかったのもあり、瞬時に解除できませんでした。レイダー星人達もしばらくは私達を放置すると信じてその間に解析して解除します。」
「さすが、頼りにになるアンドロイドだ。よし、じゃあ僕も手伝うよ。奴らはシステムがジャックされないように偽装工作してるはずだ。ダミーキャンセラーを使う!装甲起動!」
隼人はウインメタルに、エリカも人間体からアンドロイドモードにフォームシフトし、この部屋からの脱出を試みた。
その頃、ウインメタルとエリカを捕らえた5人のレイダー星人達はその事を上司と思われる者に報告していた。
「ボス!我々の作戦を邪魔する地球人一人と機械人形一体を捕獲しました。」
「機械人形だと?」
ボスと呼ばれた上司と思しきレイダー星人がその事に眉をひそめる。
「はい、捕獲後詳しく分析したら男の方は人間でしたが、女の方は全身が機械でできておりました。前にその女の子宮を取ろうとして銀色の奴に邪魔された事がありましたが、グルだった上にまさか機械だなんて。見抜けなくて申し訳ありません。」
報告をしていたレイダー星人が謝る。しかし、ボスは特に責めることも無く5人に質問をする。
「別にかまわん。捕らえた二人はどうしている?」
「はっ!第7番牢に閉じ込めております。」
「よし。そのまま閉じ込めておけ。3日後に公開処刑にしよう。」
「畏まりました。」
レイダー星人達は報告を終えるとそのまま部屋を後にした。
「解析完了!これでいつでもロックを解除できます。」
「よし。外に監視がいないか確認しよう。ハイパーサーチ!」
既にシステム解析を終えたエリカに、外の状況を把握するウインメタル。この部屋は二人を警戒してか、ドアが見つからないように特殊な方法でカモフラージュが施されていた。更にそのカモフラージュは仕掛けられた盗聴器やカメラを隠す為でもあった。しかし、ダミーキャンセラーによって全て露になり、もう部屋を出る所まで来ている。
「部屋の前に一人いるよ。」
「分かりました。脱出と同時に気絶させてください。監視カメラと盗聴器には偽の情報を流しこんでありますから、他の仲間に気付かれる事はありません。」
「ありがとう。じゃあ行くよ!」
「畏まりました。ロック解除!」
エリカがそう言ってドアのロックを解除。すーっとドアが開くと、目の前にいた監視役のレイダー星人が驚いた表情で立っていた。
「な、何だ貴様ら。どうやって部屋のロックを?!」
「ごめん、それは企業秘密。ショックモード!」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
ウインメタルはメタリックガンからショック光線を放ち、監視役のレイダー星人を気絶させた。
「エリカ、この建物の構造を解析してくれ。」
「畏まりました。少々お待ち下さい。」
建物の構造解析を始めるエリカ。ウインメタルがそれを指示した理由は脱出経路や内部にいる他のレイダー星人の位置情報を知り、速やかに外に出るためだった。そして、数分後に解析は終了した。
「解析終了です。私達は今、地上400mの所にいます。エレベーターもありますが、それでは見つかる可能性が高いかと。」
「だよねぇ。仕方ない。壁をぶち破って飛んで逃げようか。」
「それでしたら、この先に外に面している壁がありますのでそこに行きましょう。」
「了解。一応ステルスフィールドを展開しておこう。」
ウインメタルはそう言ってステルスフィールドで自分とエリカを包み込み、壁まで向かう。到着した場所に有った壁の周りにも窓はないので外の様子は分からない。
「よし。この間搭載して貰った新機能を使おう。メタリックガン、アシッドモード!」
ウインメタルはメタリックガンから強力な溶解液を噴射した。これならビーム発射時のように大きな音も衝撃も無いから敵に気づかれにくい。円盤との戦いでは攻撃時にバリアーを張られてしまったが、さすがに建物内部の壁にはバリアー機能の様な物はなく、壁はあっという間に溶けてしまった。
「さあ、脱出だ。乗って、エリカ!」
「了解です!」
ウインメタルはメタルウイングを展開すると、エリカを乗せて壁に空いた穴から外へ飛び出した。
「取り合えず脱出成功。地球に戻る方法は後で考えよう。」
「了解です。とにかく遠くまで逃げましょう。」
「分かった。」
こうしてウインメタルとエリカはレイダー星の上空を飛び去って行った。レイダー星人達はエリカによって偽の情報を掴まされた上に監視役まで眠らされていたので、この時二人が脱走していた事など知る由も無かったのだった。
おはようございます。
あっけなく脱出してしまいましたがどうやって地球に戻るのでしょうか?
次回はレイダー星に関してもっと触れたいと思います。
お楽しみに!




