第八十四話 キャトルミューティレーション
こんにちわ!
今日から新章です!
ここは秋田県秋田市の郊外。時刻は夜の7時。すっかり暗くなった道を20代前半の若い女性が急ぎ足で自宅へ向かっていた。
「おなか減った。早く帰って夕飯にしたいわ!」
女性は尚も小走りで自宅へ向かおうとした。ようやく自宅に近づいてきたとき、彼女に異変が起きる。
「え?」
道に街灯はなく、月明かり以外の光はないはずなのに突如彼女の目の前が蛍光灯で照らされたみたいに明るくなった。
「ちょっと、何なのこれ?」
戸惑っている彼女をさらなる異変が襲う。なんと、彼女の体が宙に浮き始めたのだった。
「何よ、何が起こっているの?」
彼女はどんどん上昇し、ふと上を見る。その上には銀色で丸く、巨大で無機質な物体が回転しながら中に浮かんでいた。
「ヤダヤダ!離して!私をうちに帰してぇぇ!」
女性の叫びも虚しく、彼女はその謎の物体の中へと吸い込まれていった。
翌朝。
「いやぁ、いい天気だ。絶好の収穫日和だべ!」
「んだ!今日も頑張るか!」
作業着を着た二人の老人が農作業をすべく自分たちの畑へと向かっていた。そして畑に到着後、二人は異変に気づく。
「ん、なんだ?」
「誰か倒れてるぞ?」
「若いねーちゃんだ。」
「どーせ、コンパか何かで酔い潰れて寝ちまったんだべ?」
「迷惑な話だな。起こしてやるべ!」
二人は畑の中に入ってその女性に近づいた。
「お嬢さん、起きな!」
「オラ達これから畑仕事しなきゃなんねーから起きて!」
二人は女性の体をゆすったがピクリとも動かない。そして、二人は直後に衝撃の事実を知る。
「う、うわぁぁぁ!」
「し、死んでる!」
二人が悲鳴を上げたのも無理はない。その女性はすでに息をしておらず、しかもお腹には大きな穴が開いていたのだった。そう、この女性こそ昨晩謎の現象に巻き込まれた女性だったのだ。
『今朝午前6時頃、秋田県秋田市郊外の畑の中で若い女性の遺体が、作業に来た農家の男性二人によって発見されました。被害者は秋田市内の大学に通う桜木知美さん21歳。桜木さんは昨日夜6時30分頃に、シェアハウスのルームメイトに「バイトが終わったから帰る」と電話をしたのを最後に連絡が途絶えておりました。また、桜木さんの遺体には大きな穴が開いており、子宮が抜き取られていた為、警察では殺人の可能性があるとして捜査を進めております。』
「また変な事件が起きたな。大丈夫か、日本?」
ここは埼玉県の北武蔵大学にある多目的ホール。次の授業まで時間がある隼人はここで時間を潰していた。丁度テレビでニュースを見ていた隼人はその内容に眉をひそめる。
「よう、隼人!」
「広人か。授業は?」
「まだ時間があるからここで時間潰そうと思って。」
「僕もだよ。」
隼人の友人である黒木広人が来た。そして隼人は先ほどのニュースの話題を切り出す。
「知ってるか?若い女性が次々に殺されてるあの事件。」
「ん?ああ、あれか。気持ち悪いよな。殺すだけじゃなく、腹に穴開けて子宮を抜き取るなんて。」
「全く次から次へと変な事件が起きて、心配になるよな。世界各地で似たような事件が起きているみたいだけど、日本だけでもう12件もやられてるんだよ。」
溜息交じりにそう話す隼人。そうしている間に授業の時間になり、二人はそれぞれの教室へと向かったのだ。
「今日はここまで。じゃあ、また明日。」
放課後。全ての授業を終えた隼人は少々疲れ気味の表情で教室を出た。ダークメタル襲撃以降、構内ではまだ瓦礫の撤去作業が行われている。それに加え、事件に巻き込まれて負傷した生徒、あるいは亡くなった生徒の友人、遺族の中には精神的ダメージを受けた者も多く、大学内は暗い雰囲気が拭えないでいた。そんな中、隼人に連絡が入る。
「もしもし?」
「隼人、今大丈夫ですか?」
連絡の主はエリカだった。エリカはいつも通り冷静に続ける。
「今、世界各地で若い女性が襲われて子宮を抜き取られる事件が多発しています。」
「知ってる。嫌な事件だよね。」
「その件で、研究所の方に正式な協力要請が入りました。」
「まあ、そんな要請が無くても僕らは調べに行ったと思うけど。」
「そうですよね。そして、要請した方が今研究所にいらっしゃっており、ウインメタルに会いたいと言っておりますが。」
「そう、分かった。じゃあすぐに行くから待っててもらって。」
「了解です。」
連絡を終えた隼人は足早に研究所に向かう。
「今回も変な事件だけど、ウインメタルにかかればあっという間だ。」
隼人は自信気にそう言った。だが、これから隼人達を待ち受けていたのは予想外の事実だった。
こんにちわ。
また気持ち悪い事件が起きてしまいました。
そして、ウインメタル達に捜査協力を依頼したのは一体誰なのか?
次回もお楽しみに!




