第八十三話 今こそ立ち直る時
こんにちわ!
「二人の過去編」はこれが最後です!
隼人によって気絶させられた山崎は、すぐさま駆けつけた警察に引き渡された。その後、取り調べが行われ、山崎は窃盗、器物損壊、恐喝、殺人、更に明らかになった田中の家に放火し、田中の妻子殺害した件でも逮捕、起訴された。しかし、山崎の方は全くもって反省する気配がない。
「フン、警察の分際でこの俺を罰せられるとでも思ったか。残念だったな。たとえ牢屋に送り込まれても俺には親父がCEOを務めてる山崎エレクトロニクスっていう強力なバックアップがあるんだ。それにこの俺の優秀な頭を社会的に葬ったらそれこそ日本にダメージを与えるぜ。」
取り調べ中も、ふてぶてしい態度を取り続ける山崎。だが、取り調べを担当している刑事は険しい顔で冷静に言い放った。
「何も分かっていないのはお前だぞ、山崎。これを見ろ。」
そう言って刑事は山崎に新聞を差し出した。山崎は新聞のその面を見た瞬間愕然とした。
「そ、そんなバカな!」
その記事には『山崎エレクトロニクス、経営不振及び六十億円の脱税により行政処分決行。来月には倒産へ。』との見出しが書かれていた。山崎の父親の会社、山崎エレクトロニクスは日本有数の電気機器メーカーだ。御曹司である山崎はたとえ研究が続けられなくなっても父親の鶴の一声で後継のポストが保証されている。そう考えていた。しかし、傲慢且つ無茶な経営方針は元々社員達からも不評だった上に今回の脱税が発覚。更に御曹司である山崎の度重なる悪行が更にイメージを悪化させ、経営は泥沼化。ついに倒産することになり、山崎は行き場を完全に失ってしまったのだ。
「お前みたいに弱者を食い物にするような人間こそ、世間が行為を許してくれると思ったら大間違いだ。」
「く、くそぉ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
自分の財力と頭脳に溺れ、悪行を繰り返した山崎の末路は何とも悲惨なものであった。
事件が終わった数日後、田中は隼人とエリカの三人である場所にいた。
「これが…。」
「田中博士の亡くなったご家族…。」
「そうだ。」
ここは郊外にある墓地。そして今三人の目の前にある墓石の下には田中の妻子が眠っている。
「恵里、春香。久しぶりだな。お前達を苦しめた山崎は逮捕されたし、あの事件も全貌が明らかになった。これで今度こそ安心できるぞ。」
田中は墓石に少し微笑みながらそう話した。
「エリカの名前、田中さんの奥さんと娘さんからも肖ってたんだね。」
「そうだ。二人がいたってことを何らかの形で残せたらと思って。」
「そうでしたか。私もお二方の名前、顔、人格を受け継いだ以上、平和のために頑張ります。」
隼人とエリカにもわずかながら笑顔が見られる。因みに、ダークメタルを倒した際に回収したラドミウム合金とゲノムドライブは溶解炉に入れて完全に消失し、山崎のアジトに残っていたそれぞれのデータも完全に消去された。これで今度こそあのような危険な存在はもう出てくることはなくなったのだ。
「田中さん。」
「何だ、隼人?」
「僕はこのウインメタルって力を大切にするよ。勿論、世のため人のために。そのために僕は戦ううんだから。」
「そうだな。これからもよろしくな、隼人!エリカ!」
「「はい!」」
最大にピンチを乗り越え、悲しい真実とも向き合えた三人。これからも平和を守るために彼らの戦いは続く。
こんにちわ!
ようやくこの章が終わりました!
次回からまた新しい章に入ります!
お楽しみに!




