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甲鉄戦士ウインメタル  作者: 東洋連合
第五章 有牙人編
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第六十八話 命の重さ

こんにちわ!

久々に更新します!

ウインメタルとエリカは有牙人の集落内にて、妊婦である有牙人女性が出産する瞬間を目にした。ウインメタルはそれを見て、人間も有牙人も命があることに変わりないから、彼らを護り、共存したいという思いを一層強めた。しかし、そんな中、予期せぬことが起こる。

「大変です!この集落に、大勢の何かが接近しています!」

「僕もキャッチしたよ!これは…?」

エリカとウインメタルは万が一に備え、臨戦態勢を整える。有牙人達も何か気配を察していたのか、集落の奥の方へと逃げるように集まった。そして、しばらくすると大きな音と共に、目の前の木々がなぎ倒されて、それは現れた。

「ほら見ろ、やっぱりここにあったぜ!」

「ああ、本当に有牙人だ!」

やってきたのはブルドーザーに乗った作業着姿の男と、その仲間と思しき町の人々だった。観た所30人位いる上に、一番最後にはショベルカーまで現れた。

「な、何だこいつら?」

「分かりません!町の人々であることには間違いないのですが。」

ウインメタルとエリカはステルスモードを展開中なので彼らに気づかれていない。しかし、目的も不明なまま突然現れた人々に戸惑うばかりだった。

「よーし、みんな!やっちまいな!」

「「おおー!」」

そう言うとブルドーザーに乗った男は徐にブルドーザーを発進させ、村のあちこちを破壊しようとした。更にそれに続くようにショベルカーが有牙人の家屋の屋根に穴をあける。

「俺達の敵、有牙人をぶっ殺せー!」

「死ね、有牙人!」

また、ある人達は了銃を構え、有牙人達向けて発砲。更に逃げ遅れた有牙人の子供を羽交い絞めにし、リンチし始めた。

「これはまずい!行こう、エリカ!」

「了解です!」

二人はすぐさまステルスモードを解除し、ウインメタルはブルドーザーとショベルカーに向けてメタリックガンを発砲、エリカは腕を伸ばし、武器を持っている人々からそれを取り上げた。

「お前たち、これは何のつもりだ!」

ウインメタルは怒りが籠った口調でメタリックガンを向けながらブルドーザーの男に問う。

「ちっ、ウインメタルもいたのか!俺達の邪魔すんな!」

「そうはいかないね!こんな無差別殺戮は許さない!」

反省の色が見えないブルドーザーの男たちに今度はエリカが問う。

「あなた達は一体何なのですか?何でこんなひどいことを?」

エリカがそう言うと、ブルドーザーの隣にいた別の男が答えた。

「俺達はな、有牙人を撲滅させる会のメンバーだ!」

「撲滅だと?どうしてそんなことするんだ?」

ウインメタルはさらに激しい口調で問い詰めると、皆一斉に声をあげた。

「俺達はこいつらにずいぶん迷惑してるんだよ!」

「こんなのがうろうろしてるんじゃ、怖くて子供を学校に行かせることも出来やしない!」

「みんな怖がって家から出たがらないから、店に客が来なくなっちまうんだ!」

「そいつは悪魔じゃ!いてはならない存在じゃ!」

「だから、有牙人を撲滅してここをヤシ農園にする!そうすれば町の人のためになるんだよ!」

ウインメタルはそれを聞いて完全に呆れかえるとともに怒りが頂点に達した。それでも町の人達は今度はウインメタルに対して言葉攻めをする。

「そもそもお前のせいで騒ぎが大きくなったんじゃないか!」

「あなたが有牙人を捕獲しなければ、うちの子は有牙人の襲撃に巻き込まれて怪我をすることもなかったのよ!」

「そうだそうだ!壊されたうちの車、どうしてくれんだよ?!」

完全に怒りが噴火したウインメタルは、まずメタリックビュートでブルドーザーとショベルカーから運転していた男たちを引きずり降ろし、そしてステルスライサーで両方ともバラバラにしてしまった。唖然とする男たちは、案の定ウインメタルに詰め寄る。

「何しやがんだ!」

「てめぇ、有牙人の味方するってのか?!」

怒り狂う男たちにウインメタルは声に怒りの感情を込めながら言った。

「みんなずいぶん身勝手だね。ちょっとひどい目にあったからって相手の命まで奪おうとするなんて。人がこうして平和に暮らしているのにそれを壊して殺そうとするなんて人間以下だよ、君達は。」

「人じゃない、有牙人だ!」

「じゃあ俺達はずっと怯えながら暮らせって言うのかよ!」

「そうだそうだ!」

町の人達は尚もウインメタルに反発する。そして、ウインメタルは彼らにある方向を指さしながら言った。

「みんな、あれを見ろ!」

その方向には、先ほど出産したばかりの有牙人女性が子供を守るように抱きかかえているのが見えた。

「有牙人の…。」

「子供?」

それを見て驚いた人たちにウインメタルはさらに続ける。

「彼女は先ほど新たな命を産んだ。そして、今は母親として必死であの子と共に生きていこうとしているんだ!命があり、平和に生きていきたいという気持ちは有牙人も人間も変わらない!人間が有牙人の平和を犯し、命を奪っていい理由にはならないよ!」

ウインメタルのその言葉にみんなは何かを思ったのか黙り込んだ。そして、人々は再び口を開く。

「そりゃあ、そうだけど。」

「どうすりゃあいいんだよ?」

「何かあったらまた襲われそうだし…。」

町の人達はやはりまだ不安が残っているみたいだった。すると、エリカが話し始める。

「共存するのです。いちばん平和的に解決するにはそれしかありません!我々が有牙人を調査目的で捕獲し、それが原因で町が被害を受けたことは謝ります。しかし、彼らは我々人類の事がよくわからなかったから襲うということしかできませんでした。そして、人類も有牙人の事をよくわかっていないからこうなるのです。だからこそ、今こうしてお互いに理解することが出来れば有牙人も人類も不安に駆られることなく暮らすことが出来るはずです!そして、それを始めるのは今この時です!」

エリカの言葉に町の人達はすっかり黙り込んでしまった。そして、しばらく考え込んだうちに人々は口を開く。

「まぁ、一理はあるな。」

「確かに少しやりすぎたかも。」

「人間の親戚みたいだし、少し興味湧いたかな。」

必死の説得が耳に届いたのか、人々の考えは変わり始め、皆ぞろぞろと元来た道を引き返し始めた。

「助かりましたね。」

「うん。」

その様子を見て、エリカとウインメタルはホッと胸をなでおろした。

「にしてもエリカ。」

「どうしました?」

「我々人類って言ってたけど、エリカはロボットじゃん。」

「それは突っ込んではいけない部分ですよ。」

ジョークを言い合い、二人に笑顔が戻った所で集落の奥に隠れていたイブが近付いてきた。

「ガァ!」

「どうした、イブ?」

ウインメタルは振り返ってイブにそう聞き返す。するとイブはまた口を開いた。

「ガハァ、ガァガァ!」

それをスピリットセンサーで受け取ったウインメタルは微笑みながら言った。

「ありがとう、ね。ううん、こちらこそ!」

その後、男たちが狩猟から帰ってきた後、ウインメタルとエリカは残骸の回収、処分及び家屋の修復作業を手伝った。

「帰ろうか、エリカ!」

「了解しました。」

ウインメタルはメタルウイングを展開してエリカを乗せ、再び町に向けて飛び立つ。

「こちらウインメタル!調査終了、これより帰還する!」

ウインメタルはタン教授達に一報を入れ、エリカ共に有牙人達の集落から去って行った。

こんにちわ!

命を守れてよかったですね!

さあ、有牙人編も次回で最後です!

お楽しみに!

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