第五話 事実とは…
久々に更新します!
大変お待たせしました!
「それで、何でお前はここに来たんだ?」
「あいつらを倒すためだよ。何度も言わせないで!」
ここは宮城県内にあるとある警察署の取調室。そう、キャンプ場殺人事件の捜査本部が置かれているところだ。犯人も河童型のアンドロイドと分かり、隼人=ウインメタルの活躍によって犯人は殲滅され、事件も解決したが、隼人も参考人として取調室に連行されてしまった。何度もしつこく質問され、隼人は相変わらず無表情を貫いていたが苛立っていた。既にアーマーは解除している。
「ふーん、わざわざこの宮城までね。ご苦労なこった。」
「何が言いたいの?そろそろ帰りたいんだけど。」
「ふざけるな!まだ話は終わってない!あのアンドロイドはお前が作ったのか?」
「だから違うって。そもそも製造者ならわざわざこんなとこに送り込んで倒すことはしないよ。」
「あんな高性能な物を作れるやつなんて限られている!お前のそのアーマーも同類だろ!」
「僕は救世主だよ!一緒にしないで!殺人マシンなんか作らないよ。そもそも作り方なんて知らないし。」
ウインメタルがアンドロイドを殲滅したとき、その場にいた捜査員たちは彼の協力で事件が解決したことに感謝はした。しかし、現場リーダーだった男性刑事はどこの馬の骨か分からない者に手柄を持って行かれて面白くなかったようだった。挙句の果に、高性能な物を持っているという理由だけで隼人を疑い始めたのだった。
「ふん!無敵のヒーローが現れたと思いきや、正体はこんな生意気な大学生か…。世も末だな。」
吐き捨てるように隼人に嫌味を言う初老の男性刑事。隼人はため息をつきながら刑事をじっと睨みつけた。その後も約2時間ほど取り調べが続いたが、証拠不十分として隼人は開放された。
「はーぁ。やっと自由になれたよ。疲れた…。」
隼人はあくびをしながら警察署を出た。すると…
「おーい、待ってくれー!」
男性の声が隼人を呼び止めた。振り向くと、襲撃時現場にいた若い男性捜査員が走ってきた。アンドロイドの攻撃で大怪我をして入院している捜査員は何人かいるが、彼は幸い軽症ですんだ。
「何?」
「いやぁ、隼人くんだよね。ごめんね!嫌な思いさせちゃって。」
「いいよ別に。」
「あの警部、署内でもうるさいって有名な鬼警部だからね。しかもすごい負けず嫌いで若手が活躍するとすぐに目をつける人なんだけど…民間人の君までこんなことになっちゃって申し訳ない!君のお陰で解決できたのに!」
「わかってくれる人がいるなら僕はいいよ。」
開放されたことにより、隼人のさっきまでの苛立ちはもう治まっていた。
「送っていこうか?」
「大丈夫。そっちもまだ仕事が残ってるんでしょう?僕もまだやることあるし、一人で帰れるから大丈夫。」
「そうかい?気をつけてね!」
「うん、じゃあね。」
そう言って隼人は警察署を後にした。そして連絡用端末を取り出して、田中を呼び出した。
「もしもし田中さん?」
『おう、隼人!大変だったみたいだな!テレビ見たぞ!』
「うん。お陰で夜まで取り調べ受ける羽目になった上に、犯人扱いまでされたよ。」
『そうか。でもお疲れ様!』
すっかり疲れ切っている隼人を田中は労った。そして隼人は一番聞きたかったことを聞いた。
「ところで新しい情報は何かないの?」
『おう、それならいい情報があるぞ。』
田中がそう言うと、隼人のディスプレイに写真が映し出された。写真にはスーツ姿の男性二人が、握手をしているところが映っている。
「これってもしかして…。」
『そう、佐々木だ。もう一人は柏木準一。表向きはバイクのエンジニアだが、正体は武器や乗り物の違法改造などを請け負っている闇の技術者だ。』
「じゃあ、こいつらが組んであのアンドロイドを作ったってこと?」
『可能性は高い。もう少し詳しく調べてみよう。』
「分かった。これから戻るね。」
そう言って隼人は通信を切った。
(段々犯人は割り出されてきているけど、目的は何だ?何でこんなに殺戮するんだ?)
隼人はすっかり暗くなった道を歩きながら考え込んでいた。今までに出現したアンドロイドは出現した場所や時間帯は異なっているものの、明らかな殺意を持っていることに共通している。異常なほどに。何のためにここまで殺意を込めてアンドロイドを作ったのか?誰を恨んでいるのか?そんなことを疑問に思っていた。そして、川にかかる橋を渡ろうとした時だった。
「か、勘弁してください…。」
「うっせーんだよ!さっさと金出せや!」
Tシャツにスカートを履いた若い女性が、金髪にガングロメイクのヤンキー風の女性に頭を踏みつけられて呻いていた。ヤンキー風の女性は傷だらけの女性の方髪の毛を掴み上げ、更に迫ってくる。
「てめぇ…覚悟はできてんだよな!」
「や、やめてください…。」
「うるせぇ!しねぇぇ!」
ヤンキー風の女性は手に持っていた金属バットで女性を殴ろうとした。すると…。ガシィ!
「な、何?」
「弱いものいじめか…。これだから女って嫌いなんだよね。」
ウインメタルに変身した隼人が、右手で金属バットを止めていた。
「なんだよテメェ!ヤンのか?」
「僕はただの救世主だよ。だから君みたいなろくでなしを退治しに来た。」
「て、テメェ!その口二度と利けないようにしてやろうか!」
ヤンキー風の女性は、金属バットをウインメタルに向けて襲い掛かってくる。しかし。
「うん、こんなことしたくないけど仕方ないね。マキシムダガー!」
ウインメタルはマキシムダガーを展開すると、金属バットを真っ二つに切ってしまった。そして、丸腰になった女性の顔をつかみ上げ、そのまま地面に顔面から投げつける。鈍い音が響き、再び女性を掴み上げると、顔のあちこちが擦り剥け、鼻からは大量の血が流れている。
「や、やめてくれ…。」
「さっきその人がやめてっていったのにやめなかったよね。たがらやめない。」
ウインメタルはそう言うと、左手で女性の右腕を掴み、そのまま力を入れていく。そしてどんどん力を入れた左手は、女性の右腕の骨を粉々に砕いていた。
「ぎゃぁぁ!」
「これでとどめだよ。」
右腕を粉砕され、激痛に悶える女性だがウインメタルは頭を掴んでいる右手で、そのまま女性を川に投げ込んだ。バシャンと水音が響き渡たり、落ちた女性はうめき声を上げながら川岸に上がり、よろけながら逃亡した。
「なーんだ。張り合いなくてつまんない奴。」
ウインメタルがそう吐き捨て、立ち去ろうとしたとき、傷だらけの女性がウインメタルの右腕を掴んでいた。
「あ、あの!助けてくれてありがとうございます!」
「いいよ。そんな畏まらなくて。このあと用あるから僕はもう帰るね。」
「ま、待ってください!せめてお名前をお伺いしてもいいですか?」
女性がそう言うと、ウインメタルは答えた。
「僕はウインメタル。別に忘れてもいいから。じゃあね。」
そう言い残し、ウインメタルは新しい情報の共有と、前の事件の報告をするために、研究所へ向けて猛スピードで走り抜けたのだった。
こんばんわ!
今回は戦闘シーンは割りと大人しめで、やり取り中心でした。
派手なバトルアクションを期待していた人、ごめんなさい。
段々真相が見え始めたので、次回も何かわかってくるといいですね!
それではまた次回!




