第六十二話 認められた有牙人
こんにちわ。
その存在が確認された有牙人。
さあ、ウインメタル達はどう出るか?
ウインメタル達によって有牙人の研究、解析が進められ、色々なことが分かった翌日。イポー科学大学では大勢の報道関係者が詰め掛けていた。勿論有牙人に関することである。
「私は只今、イポー科学大学に来ております。昨日捕獲された牙が生えた人間をウインメタルの協力によって捕獲した関係者の会見がもう間もなく始まろうとしております。」
国営テレビのレポーターがカメラに向かってそう伝えた。そう、有牙人を新種もとい新人類として世間に認知させるための会見を行うためだ。大学構内の講堂は既に埋め尽くされ、前方にはリン警部とタン教授、そして隼人までいた。
「ねぇ、リン警部。何で僕まで会見しなきゃいけないの?」
「仕方ないだろ。捕獲したのは君なんだから。」
「正直リン警部とタン教授だけでよかったんじゃないの?捜査班と研究チームの代表だけいれば十分でしょ?」
「そうかもしれないが、君が我々に協力しているのはもう報道されているからな。『ウインメタルを出せ!』なんて言われかねないかもしれないし、まあそんなに長くかからないから文句言わないで。」
「わ、わかりました。」
隼人はそう言うと、手元のマイクの電源を入れていつでも質問に答えられるように準備した。関係佐hがすべてそろった所で会見が始まり、タン教授が話し始めた。
「本日はお忙しい中お集まりありがとうございます。私は研究の代表を務めておりますデニス・タンと申します。早速一連の事に関して発表いたします。」
タン教授はそう言って後ろのスクリーンに有牙人に関する情報を映し出した。
「近頃、牙が生えた人型の生物が目撃されていると聞き、地元警察及びウインメタルの協力も得て当該生物の捕獲及び研究を実行することが出来ました。その結果、当該生物はおよそ10万年前に現生人類の祖先であるホモ・エレクトスの一種であるジャワ原人から進化した、新種のヒト科の生物であることが判明いたしました。我々はその外見的特徴より『恐ろしい牙を持つ人』を意味する『ホモ・デイノドン』という学名を付け正式のその存在を認知致します。因みに、今回捕獲した有牙人は推定年齢25歳の女性で現在大学の研究室内で保護しており、詳しい生態を知るために近日発信機を付けた状態で元いた森へと返す予定です。何か質問がある方はいらっしゃいますか?」
タン教授が記者団にそう言うと、一人の記者が手を上げた。
「警察の方に質問です。人的被害はないと発表しておりましたが、そんな鋭い牙を持つ生物を取り締まろうとは思わなかったのですか?住民からは恐ろしくて外を歩きたくないという意見も出ておりますが。」
その質問にはリンが答えた。
「人的被害が出ていないのは本当です。もし物理的な被害が出た場合は警戒を強化することも検討いたしますが、被害が出ていない以上はこちらとしても様子を見るしかありません。」
リンが答えた直後に今度は別の記者が質問する。
「しかし、聞いた話では有牙人を捕獲する際にウインメタルと格闘したらしいじゃないですか。そうでしょう、ウインメタル?詳しい状況を教えて下さいよ。」
鋭く突っ込まれて隼人は一瞬驚きつつもマイクを手に取って答えた。
「まぁ、格闘はしましたよ。その時は今保護している女性の他、2人の男性有牙人がいて、女性をメタリックガンのショックモードで捕獲しようとしたら石を投げられました。説得しようにも相手は聞いたこともない言語を使うもんで、やむを得ずやや強硬気味になりましたけど。」
「大体何であなたは日本からここまで来たんですか?わざわざこんな遠くまで来るメリットがあるようには思えないんですけど。」
記者は立て続けに隼人に突っ込んだ。隼人は心の中でため息をつきつつ、冷静に答える。
「僕はウインメタルとして平和を脅かすような存在がいるならどこでも駆けつける覚悟はできてますからね。今回も市民の人々が怖がっていると聞いたんで何か起こる前に阻止しようとしただけですよ。結果的にそんなに危険性がないことが分かってホッとしましたが。」
隼人が質問に答え終わると今度は別の記者が質問する。
「今後、その有牙人とはどのように接していくおつもりなんですか?」
その質問に答えたのはタン教授だった。
「有牙人はまだ分からないことも多いので、念入りにその生活習慣などを研究して、ゆくゆくは共存していきたいと考えております。」
タン教授はそう言いきった。その後もいくつかの質問に答えた隼人達だったが、特にこれと言った騒動もなく無事に記者会見を終えたのだった。
こんにちわ!
今回はあまり動きがない記者会見だけの回でした。
次回は何か動きを入れてみたいと思います!
お楽しみに!




