第四話 キャンプ場襲撃事件
お待たさせしました。
久々の第四話目です!
ここは東北地方にあるとあるキャンプ場。全国的にメジャーと言うわけではないが、自然が多く、澄んだ川があり、空気も綺麗なので、キャンプ好きな人からは隠れた名所として扱われている。ここで男女合わせて五人組の若者がキャンプをしていた。この日は天気もよく、時間もちょうどお昼時だったのでバーベキューの準備をしていたのだが…
バシャン!
「何?」
「川に何かいるぞ!」
川辺から何かが飛び出してくるような音がし、辺りを見回すが、何もいない。
「大丈夫だって!どーせ魚か何かだろ?」
若い男性がそう言った直後だった…
グサッ!
「えっ…?」
若者の背中からいきなり緑色をしたい鋭い爪を持つ手が貫いた。手の持ち主が若者の体から手を引き抜くと、その手には心臓が握られ、若者は血を吐きながらその場に倒れ込んだ。
「うわっ!」
「化物だ!」
残りの四人はその場から逃げようとしたが…
「きゃあ!」
「そんな…」
川から更に二人の異形のものが現れて四人を襲撃。二人の女性は顔面を握り潰されて即死し、一人の男性は腹をえぐられ、血を吐きながらその場にぐったりと倒れ込んだ。
「し、死にたくない…」
一人残された若い男性は、腕と足を爪で切り裂かれていたが、よろけながらもなんとか逃げ切り、化物を巻くことが出来た。
「た、助けてくれ!キャンプ場で化物に襲われた!」
若者は近くを通った旅行客にすがり、血だらけのままその場に倒れ込んだ。
『昨日午前、宮城県内にあるキャンプ場で20代の男女五人グループが襲撃される事件がありました。この内の4人が死亡、一人が手足を切り裂かれる重症を負い、病院へと搬送されました。』
ここは田中の研究室。夕方、授業が終わった隼人は先日のショッピングモールでのテロの件の報告も込めて研究所に来ていた。その時に見ていた研究室内のテレビでは、夕方のニュースでキャンプ場襲撃事件のことをやっていた。
「何でわざわざキャンプ場なんか襲ったんだろう?街と違っていつも人がいる訳じゃないのに。」
隼人が田中に聞く。
「分からん。ただ、誰でも良かったから襲ったとなれば許されることではないな。」
田中が険しい顔で答える。バスジャック事件にしろ、ショッピングモールでのテロにしろ、ここの所多発する凶悪事件に田中は少し苛立っていた。すると、ニュースは生き残った被害者のインタビューを映し出した。
『河童です!いきなり三匹の河童が川から飛び出してきて襲ってきたんです!そして容赦なく僕の友達は惨殺されました…。あれは、あの動きは絶対に人間じゃありません!本物の河童ですよ、あれは!』
体中に包帯を巻いた若い男性はは必死の形相で記者の質問に答えていた。
「河童って本当にいるの?僕は本の中でしかみたことないけど。」
「昔から東北地方では河童伝説があるし、河童のミイラも残っているけどな。だが今回はどうなんだろう…」
隼人も田中も被害者の河童に関する発言には正直疑問に思っていた。
『宮城県警は捜査本部を置き、殺人事件として操作する方針です。また、キャンプ場の管理事務所は、事件が落ち着いて安全の確認が取れるまで運営を中止すると発表しました。』
そのニュースが終わると、隼人はテレビを消して田中に問う。
「所で、あれからアンドロイドに関する新しい情報は無いの?」
「うん、それなんだがね。いくつか開発者として怪しいのが出てきたんだ。」
「へぇ、どれ?」
隼人が助手が出した画面を覗き込む。するとそこには開発者の可能性がある三人が映し出されていた。
「一人は佐々木秋則、46歳。かつては江北大学のロボット工学研究所に所属していたが、無許可で武器搭載型軍事用ロボットを開発して、大学を追放されている。」
「へぇ、うちの大学じゃなくて良かった。」
「もう一人は高橋修一。51歳。国立科学研究所に所属。大学時代から電子頭脳の開発においては天才的な腕前を持っているが、裏ではサイバーテロ用のソフトを開発しているとの噂もある。」
「確定してないけど、放置もできないね。」
「ああ。最後は山本麻衣子。39歳。東南大学で機械工学の教授をしている。だが、かつて論文を改竄し、危険性があるロボットを安全上問題ないと偽って、博物館のガイドに導入。結果暴走し、多くの被害者を出したことがある。」
「みんな怪しいね。三人が組んでるとかは無いのかな?」
「可能性は無くもないな。もう少し詳しく調べてみよう。」
隼人の疑問に田中はそう答える。すると隼人が…
「あの河童事件、僕が調べてもいい?」
あの事件が気になるのか、自ら調査を志願した。
「ああ、言ってこい。気をつけてな。」
「捕獲するの?殲滅するの?」
「人間か本物の河童だったらな。だが、捕獲が困難なら殲滅も構わん!」
「分かった。行ってくるね!」
隼人は研究所を飛び出して…
「装甲起動!」
ウインメタルに変身し、フルパワーで現場のキャンプ場目指して走り抜けたのだった。
およそ2時間後。ウインメタルは問題のキャンプ場に到着。現在は県警が捜査をしているので、現場に入ることは出来ない。だが、ウインメタルは…
「ステルスモード!」
そう叫ぶと光学迷彩が展開され、姿が消えた。この状態になると姿を見ることは勿論、レーダーで探知することもできない。姿を消してこっそり現場に入り込んだウインメタルは、誰にも気付かれず、襲撃された場所までたどり着いた。現場では何人かの捜査員が忙しそうに捜査している。
(変わった所はないな。とりあえずハイパーサーチで調べてみよう。)
ステルスモードのまま、周囲を分析するウインメタル。すると、レーダーが川の中に動く物体を補足した。
(大型魚か?いや、それにしても大きすぎる。それにこの形は魚ではない…。)
「そこだ!」
ウインメタルはメタリックガンを取り出し、動く物体めがけてビームを発砲。すると、水面から爆発が起こる。
「何だ?」
「何の爆発だ?」
周りにいた捜査員が驚いて爆発した方向を振り向く。すると、川から何か飛び出してきた。
「やっぱりそこにいたのか。」
ウインメタルはステルスモードを解除し、その相手に向き合う。それは人間の大人とほぼ同じ大きさで全身は深緑色。頭に皿、背中には甲羅もあり、伝説の河童にそっくりだった。
「か、河童だ!それと、あの銀色のやつは何だ?」
「警部!あいつですよ!あのバスジャック事件を解決したっていう!」
現場にいた警察たちが驚いている。ウインメタルはそれを尻目に敵の正体及び弱点をサーチしていた。
「本物だったら生け捕りしたかったんだけど、残念ながらアンドロイドだね。それにしても頭の皿が弱点なのは本物の河童と同じか。」
隼人はそう言うとマキシムダガーを展開し、河童の皿目掛けて斬りかかろうとしたが…
「!?何だと…。」
後ろから更に2体の河童型アンドロイドが現れてウインメタルを羽交い締めにしていた。2体はウインメタルを持ち上げると、そのまま川に投げ込んでしまった。
「うあっ!敵襲だ!確保しろ!」
警察は必死で発砲し、河童にダメージを与えて確保しようとしたが、高性能アンドロイド相手に歯が立つ訳がなく、あっさり返り討ちに遭ってしまう。
(これは厄介だな。素早い上に数だけだと僕が不利だ。頭の皿をどうやって破壊すれば…)
ウインメタルは川から上がりながら必死で考えた。その間にも3体の河童は捜査員たちを襲撃している。
(まずは、相手を引き付けなきゃ!)
そう思ったウインメタルはメタリックガンを展開し…
「スパークビーム!」
閃光弾を空高く放った。案の定3体の河童がこちらを見ている。
「貴様らの相手は僕だよ。」
銃口を河童に向けて、挑発するウインメタル。そして一体に発砲したが、すぐに背中を向けられ、頑丈な甲羅に防がれてしまった。
「簡単には無理か。だったら…!」
ウインメタルはメタリックガンをしまい、今度はブーメランの様な物を展開させた。
「マトモにやっても防がれるなら、これしかないな!ステルスライサー!」
ブーメラン状の物を思いっきり投げるウインメタル。するとそれは高速で回転し消えてしまった。かと思いきや、3体の河童の首を切り落とし、いつの間にかウインメタルの右手に戻ってきていた。
「うん、うまく行った。」
ステルスライサーは非常に薄くて鋭利なブーメラン型の武器で、高速で回転することにより、消えたように見える。3体の河童は首を切り落とされても胴体だけでまだ襲いかかろうとしていた。
「胴体だけで倒せるほどウインメタルは甘くないよ!これで終わりだ!」
ウインメタルはメタリックガンを構え、無防備になった河童の頭の皿目掛けて発砲。皿は破壊され、河童型アンドロイドは今度こそ完全に動きを止めたのだ。
「やれやれ、東北まで来てこんな強敵相手にするなんて思わかなったよ。」
そう呟くウインメタル。そこには河童型アンドロイドの残骸と、負傷した捜査員たちが横たわっており、まさに惨事の後と言うべき光景が広がっていたのだ。
こんにちは!
久々の投稿です。
敵キャラや戦闘シーンを考えるのは結構難しいと痛感しました。
今回は少しグダグダになってしまいましたが…
少し引っ張り過ぎている部分もあるので、そろそろ物語に動きを出せたらなぁって思ってます。
それではまた次回。




